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【インタビュー】 まちや暮らしについて安心して話せる場所をつくる大人の学び場 ー「シブヤ大学」学長大澤悠季さんー

大人になった今こそ何かを学びたい!と思ったことはありませんか?

学校に入学するまでではないけれど、気になる話題や好きなことを少し深掘りして考えてみたい。できればひとりじゃなくて、誰かに相談したりみんなと一緒にやってみたいけど、何から始めたらいいんだろう?そんな風に考えたことのある人は多いのではないでしょうか。

今回は、そんな人の背中をそっと押してくれる「NPO法人シブヤ大学」の学長、大澤悠季さんにお話を伺いました。

「気になる!」と出会い、「学びたい!」を実現できる場所
シブヤ大学とは、入学試験も入学金も授業料もない、誰もが参加できるまちの学校です。

授業3 (1)


授業を見てみると、「明治神宮での田植え体験」「浴衣の着付け講座」「ジャズピアニストと遊ぼう」「台湾の食」などなど体験型の授業から、「社会に対して声を上げるには?」「民主主義ってどうつくる?」「自分に合った働き方って?」「心地よいパートナーシップとは?」などの深いテーマについて対話する授業まで、様々なものがあります。

「ボランティアスタッフや事務局が興味のあることや好きなことをテーマにしているので、本当に内容はばらばらですね(笑)。一番大切にしているのは、自分が一人目の生徒としてその授業を受けたいかどうか。自分が受けたい授業を自分でつくることが基本なので、熱量がすごいんです。なので、逆に教える側として”こんな授業をやりたい”とお問合せが来ても受けないこともあります。肝心なのは、それを学びたい人がいるかどうかです。」と大澤さんは話します。

「大人の学びの場」の可能性って?

そんな大澤さんが大人の学び場づくりに興味を持ったのは、イギリスでの留学経験と沖縄の公営塾で働いた経験がきっかけだと言います。

「私は東日本大震災が起きた年に大学に入りました。原発や被災地の問題を友達と話したいけど、引かれそうで怖かったんです。とはいえ自分からアクションを起こすこともできないまま、もやもやと過ごしていました。

だけど留学時代に出会ったクラスメイトは、まるで恋愛の話と同じように、テロや難民政策などの社会問題をいつも自然に話していました。

私は日本人としてアジアの問題についてどう思うか聞かれましたが、英語力以前に知識も自分の意見もないことに気付きました。カルチャーショックでしたが、誰もがフラットでいられる”学びの場”だからこそできる対話なのかもしれないと可能性を感じました。」

帰国した大澤さんは、沖縄にある高校の空き教室を活用した公営塾の立ち上げに関わります。

「塾の対象は高校生でしたが、せっかくなら地域の大人も呼んで、一緒に学ぶ時間をつくってみたんです。80歳のおばあちゃんがやってきて高校生と英語を勉強したり、50歳を過ぎて介護の資格を取ろうとしている方が勉強に来たり。地域の魅力を考えるワークショップには、高校生も農家さんも議員さんもみんなが参加して、対等に意見を交わしてくれたり。とても素敵な景色が生まれました。そんな経験から、大人の学び場がもっと広がったらいいなと、シブヤ大学での仕事を始めました。」

「もやもや」したままでもいい。みんなの背中をそっと押す存在に

やりたいことがあっても自分ひとりで行動できる人ばかりではありません。シブヤ大学は、もやもやしている人が何かを始める入り口に立ったり、自分が見つけたい学びと出会える辞書のような、「きっかけ」の存在でありたいと大澤さんは言います。

授業後の振り返り会(ボランティアスタッフ) (1)

「私たちがやりたいことを一言で言うと、自分たちが暮らしてる社会や街について、安心して話せる場所をつくるっていうことなんです。

今はSNSやネットニュースからどんどん情報が流れてきますよね。なんとなく聞いたことのある言葉やテーマがあっても、立ち止まって考えたり、言葉にする時間ってあんまりない。インプットが多すぎて、”自分はどう感じているんだろう?”っていうことを振り返る時間がないように感じます。もやもやしたままでも言葉にして誰かに伝えてみる、みんなと一緒に考えてみる。そんなことができる場所でありたいと思っています。」

シブヤ大学から発信していきたいこと

これから挑戦したいことについて、「渋谷のオアシスのように安心できる居場所づくりはこれからも大切にしていきたいです。その上で、日本の中心でもある渋谷の”大学”として、社会に発信したいことってなんだろう?と最近は考え始めています。」と大澤さんは話します。

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「SDGsや多様性など、巷で溢れすぎてなんだかよくわからなくなっているキーワードを改めて考えたり、選択的夫婦別姓や沖縄の基地問題など政治や歴史的なテーマも扱いたいです。こういうことこそひとりで考えるには限界があると思うんです。まずは私自身がどういう切り口で学びたいだろう?ということから考えていきたいです。」

「学びたい」という純粋なエネルギーが循環するシブヤ大学。これからの展開にも注目していきます。そんなシブヤ大学の授業にはこちらから参加することができます!

大澤悠季 シブヤ大学学長 
1992年東京都生まれ。
東日本大震災の直後に立教大学観光学部へ入学。留学先のイギリスで見た、社会的なトピックが気軽に話される光景に衝撃を受ける。卒業後は沖縄県今帰仁村にて高校魅力化プロジェクトに携わり、地域における大人の学び続ける姿勢の大切さに気付く。自分たちの生きる社会のことを安心して話すことができるプラットホームをつくるため、シブヤ大学で授業企画・ブランディングに取り組んでいる。

ー「渋谷」のイメージって?
いつも人がいっぱいいて、いつもみんなが忙しそうで、お休みの日に行くには人混みにやられないようにちょっと気合いがいる感じ(笑)。ビジネスや消費でいっぱいなイメージがあるからこそ、シブヤ大学はその逆を取りたいと思っています。ほっとして安心できて、無料で受けられる、「渋谷」のイメージとはいい意味でギャップがあると思うので、その良さを見せていきたいですね。

ー渋谷の好きなところは?
昨年末代官山にオフィスを移したのですが、そのすぐ近くの重要文化財、旧朝倉家住宅が好きです。渋谷は一見新しいものばかり目に付きますが、歩いているとビルの間に古い路地や神社がたくさんあって、奥深いまちだなと感じています。

ーシブヤ大学の好きなところは?
シブヤ大学の授業には職場帰りの社会人もたくさん参加しているのに、名刺交換が行われないんです。ふつうは「どこそこの会社のまるまるです」って自己紹介が始まると思うんですけど、シブヤ大学に来ると、普段の肩書きや役割を捨てて個になれるってことなのかなって。そういう雰囲気が心地いいと思ってくれるからこそリピートしてくださる方々が多いのかと思っています。

ー最近はどんな授業がある?
授業と並ぶ新しい学びの形式として、「シブダイラボ」という取組みを始めました。先生もファシリテーターもいなくて、目標や決められたアウトプットもラボの種類によって違います。今は実験的に第0期をスタートしていて、「笑い」というテーマのもと、参加者それぞれが自分のペースで関心を掘り下げています。今後は、「学びたいことを見つけ授業をつくるラボ」や「一つのまちや場所についてとことん調べてみるラボ」など、様々な種類のラボを立ち上げる予定です。
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説明サイト https://goodpass.app
会員サイト https://portal.goodpass.me
渋谷の街づくりやコミュニティの活動支援につながる、まちにも地球にもgoodな電気shibuya good energy、参加者募集中!

シブヤ大学をはじめとして、自分が応援したい団体に選んで支援することができます。支援先団体:シブヤ大学、渋谷の遊び場を考える会、ささはたまちのお手伝いマネージャー、ストライドクラブ
受付サイト: https://goodenergy.jp







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