見出し画像

家族の時間はとても短い

家族の時間はとても短い。
生まれて18歳くらいには家を出てしまう。
子供が生まれた時から、ずっと今でも思っている。

僕を父にしてくれたのは子供たちだし、
子供を産んでくれた妻のおかげだ。妻とは歳を重ね老いを楽しみ、その時々の美しさに惚れ続けるのだろうと思う。結婚生活10年を越え、愛情が変わらないということは常に今の妻を好きなのだろう。

今日は妻はお出かけに出ている。
僕も久々に家で仕事ができて、この数ヶ月の慌ただしさで不足した家族愛を満たしているところだ。スーパーに食材を買いに行って自分のレパートリーのなさに凹み、ごまかそうと子供たちが好きなカニかまぼこをたくさん買ってきた。

スーパーを出ると雨脚が強まり、パジャマ同然の僕はビジョビジョで家につく。
まるでプールの中を走ってるみたい。そのくらいじとっとした湿気が街を覆っている。同じように雨から逃げる高校生がプールみたいだ!と叫んでいて、なんだか少し嬉しくなる。街行く人がプールを歩いている。

息子は10歳になった。もういっしょに入れる時間は折り返している。
少しずつ大人になり、表情も今まで見たことない大人びた瞬間を見せる。
かつて僕もそこにいて、僕が今いるところに親父がいたのだろう。

子供の頃、僕の父は単身赴任で家にいない時期が多かった。
空港で見送るとき、泣きじゃくっていた思い出がある。
寂しさというものに気付いた瞬間かもしれない。その時の寂しさを今でも思い出せる。子供にとって親とはそういう存在なんだと、寂しさの輪郭で親への愛情を感じる。

どう見たって仕事が忙しい。
でも、頑なに残業せず出来るだけ子供たちと一緒に食事をし、
風呂に入ったりゲームをしたりと子供たちとの時間を大切にしている。
普通に働いてる世の中のお父さんたちよりは、少し一緒に入れる時間は多いかもしれない。

夫婦で入れる時間はながい。
でも、家族で入れる時間というのは、実はとても短い。
そう思わない?いつかは一緒に食卓を囲まなくなり、離れたところで青春の中をいきていくんだ。自炊してまずい飯に驚いて母親の偉大さに気付くんだ。
はじめてのバイトで父親の仕事の苦労に気付くんだ。
子供たちはいつか僕らが来た道を歩むのだ。そして、自分なりの時間を重ねて、自分だけの人生になっていく。

僕ら親はその出発点なのだ。
遠くまで、挫けず、優しく、力強く歩んでいけるように
今日も一緒に食卓を囲む。きゃっきゃと遊ぶ。ぐっすり眠る。

いつか旅立つ背中を見守るまで
限られた家族の時間を僕は大切にしたい。

いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。