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HPの枯渇ではなくMP0で死ぬ時代

姫路から帰る新幹線に座った瞬間に寝落ちしていた。
危うく東京へ運ばれるところだった。ギリギリで起きてスッと降りる。
体感5秒の姫路ー京都間。少しだけ考えて帰って寝ることにする。

5月が終わる。
浜松x2、奈良、滋賀、福井・高浜、兵庫・神河、姫路x2、鳥取。
カレンダーを見ると何も予定がない日が1日のみだった。
それは疲れる。でも、全ていい旅だった。そして、新しいことが始まる。

色々プロジェクトが動いていると緊張の糸が貼り続けている。
リサーチでも会議でも移動でも、常にスイッチが入った状態で走り続けている。
それがホテルにいるときも、目的はリサーチなので休むのとはまた違う。
いろんなインプットが目から耳から口から肌から入ってくる。

家に着いたあたりで電源が急に落ちる。
布団に倒れ込み、眠りに落ちる。数時間寝て、ぼうっと猫を撫でる。
子供たちと最近のことを話して、電波につながった端末は常に仕事のやりとりが飛び交っている。

忙しすぎると常に接続されていないといけないと思ってしまう。
全てサイレントにして急遽お休みに。
修理に出していた自転車をパジャマで取りに行く。
息子と一緒に音楽を聴く。家族全員でお絵描きをする。

子供たちの髪を乾かして、一人映画を見る。
仕事に夢中なことはいいことだ。でも、それはMPみたいなものを消費している。
それはいくら寝ても回復しない。心が空腹状態に近い。

MPが少ない状態で頑張りすぎると潰れる。
これは仕事の中で学んだ。人が潰れるのはHPじゃなくてMPの方。
RPGとはちょっと勝手が違う。今はMP切れでぶっ倒れる。そんな時代。

「何もしないこと」に不慣れな僕ら現代人は、生産性とか効率とか考えすぎて少しおかしくなってきている。そんな気がしてならない。でも実際に人はもっと不明瞭で不完全で適当な存在だ。右へ左へ揺らめいて進んでいる。その揺らぎや余白がない状態では、必ず何処かが故障する。

なんてことない時間をすごすことは、僕らの働きを滑らかにしていく。
潤滑油みたいなものかもしれない。そういう些細だけれど長く走れるためのメンテナンスを忘れてはいけないと思っている。

どれだけ良い自転車でも大事にメンテナンスしないと、いつかはダメになる。
それと一緒だなぁと思いながら修理から帰ってきた自転車を漕ぐ。

風が気持ちいいから、ちょっと遠回りしよう。
そんな一件無駄な時間が、僕らの日常を滑らかに動かしている。
それでは、おやすみ。

いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。