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顧客満足を考える2 やさしいUX(ユーザーエクスペリエンス)の考え方

マーケティングに限らず、経営学全般において顧客満足は重要な考え方です。例えば企業のコア・コンピタンスを有効に活用するためにも欠かせない視点です。顧客満足を考える上で、例えばマーケティングでは、一般的にユーザー・モデル(ペルソナマーケティングという言い方をされます)やカスタマージャーニーマップなどを使用します。近年ではUX(ユーザー・エクスペリエンス)が重視されるようになりました。日本語では「ユーザー体験」や「ユーザー経験」と訳されています。(「体験」と「経験」については、経営学やロジカルシンキングのマガジンであらためて記します)。時々「経験価値」と混同されている用例も見られます。

UXはデザインの世界で頻繁に目にするように感じます。特にweb業界で使用されていますが、これも殆どの場合が、UI(ユーザーインターフェイス)と混同されているように感じます。
また「モノからコト」という話の中でも使用されることがありますが、これについても違和感を感じます。例えばサービスでもUXが重要視されていますが、元来サービスに「モノ」は存在しません。
かなり手前みそになりますが、前回顧客満足について記した「顧客の笑顔で自分が笑顔になれる」という表現は、それなりに的を得ていると思っています。

企業のお手伝いをする時でも、UXを考える仕事が増えました。「どうやったら売れるのか」を考えたり、接客の品質を上げるなど、顧客満足を向上させるためです。
この時僕は右肩上がりの直線状に、様々なユーザーの行動と感情を記すようにしています。なぜなら経験は時間軸上にあるものだからです。またこの時、カスタマージャーニーマップは使用しません。何故ならユーザーの行動の反応を示しているからです。直線状で、人がどのような経験をし、どのように感じるかを、可能な限り細かく記していきます。

UX白書では、UXの種類を以下のように分類しています。

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つまりUXとは、ユーザーが時間軸の上で経験したことや、その環境から得る感情なども含まれます。例えば尊敬する人から紹介されたものは、そのモノを知った時点で好意的に捉えられていますし、その逆も成り立ちます。「あばたもえくぼ」や「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」が成立するわけです。

ここまでくると「どうやったらあの人に振り向いてもらえるのか」だったり、「どうしたらモテるのか」と変わりません(笑)

こうなると多くの人から尊敬されている人や、多くの人から好かれている人の姿勢や考え方、言葉遣いや態度といったものが、どのような考えから生まれてくるのかを学ぶしかなくなってしまいます。

実際には、例えばマーチャンダイジングの基礎やセグメンテーションの基礎、市場原理、意思決定メカニズムなどの、多くの理論が解っていなければ、選択基準や購買行動の根拠を示せませんし、それだけでもターゲットが感じることを理解するのは至難の業です。またCSRやSDGsなど、様々な社会の在り方についての考え方も理解していなければなりません。

ここまでの話では随分難しいことのようですが、僕は、実は日本人は元々UXを理解することが得意なのではないかと思っています。

多くの理論や事例を学ぶより、まずは「謙虚と誠意と思いやり」で、UXを慮ることができるように思います。

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