満員で安心

就職して浦和に住み始めた頃、自宅から会社までの通勤にバスを使っていた。
自宅からバス停まで徒歩5分。バスに乗って浦和駅まで10分弱。駅から会社まで徒歩15分。浦和駅の西口からなら12分で着いたが、僕が乗るバスは東口行きで、当時の浦和駅は東西の通り抜けができなかったから、回り道しないといけなかった。駅の一つ前で降りた方が西口に出るのにはほんの少し早いのだが、そのために満員のバスの車内で、人をかき分けなが、降りるのが面倒で、いつも終点まで乗っていた。
ただバスは時刻表どおりにはほとんど来ないし、遅れを見越してゆっくりめにバス停に行ったときに限って時間どおりに来て、乗り過ごしてしまうなど、我慢強くなかった僕はイライラすることが多かった。自宅から会社まで直接歩いて行けば30分ぐらいで、そのうちの20分を10分に縮めるためにバスを使っていたようなもので、文句を言うなら全部歩けばいいのだが、当時はそれほど歩くのが好きではなかったから、歩いて通勤したのは延べ10回ほどだろう。
夏ぐらいに原付バイクを買ったことで、通勤の悩みは一気に解決され、9時に出社するのに、8時50分に自宅を出ればよくなった。そのかわり徐々に足腰が弱り、太っていったのだが。

就職から数ヶ月、その期間のバスは、僕にとってすごく便利なものではなかった。
だが駅から遠くに住んでいたときにはなくてはならないもので、まったく苦にはならなかった。
中学、高校の6年間は実家から徒歩1分のところにバスターミナルがあったし、折り返し点だったから発車時刻は正確。よほどのことがなければ座れた。そして途中でお年寄りに席を譲ることが多い、真面目なお坊ちゃんだった。
中学のときは、持ち物が多かったのでそれは大変だったが、とにかくそれしか通学手段がなかったのだから文句を言う発想すらなかったと思う。中学校まで歩いたら、1時間20分くらいかかったのだから。
高校はさらに駅から電車(汽車)を利用するので、毎朝6時に起きて6時35分発のバスに乗るという、3年間だった。

Jリーグが始まって今の仕事を始めてから羽田空港を利用することが多くなった。武蔵浦和に住み始めて15年になるが、途中から浦和発武蔵浦和経由羽田空港行きの高速バスが運行されるようになり、すごくありがたかった。荷物が多くて重かったので、電車だと乗り換えが2回あるのが結構苦痛だったのだか、それが解消された。
電車で行くより料金はやや高いし、道路事情で到着がかなり遅れることがあるというリスクもごく稀にあるが(僕が15分以上の遅れを経験したのは約10年間で一度だけだ)、それらを上回る便利さを感じている。万一の遅延を考えて余裕をもって出ているので、家を出る時間は電車よりも早くなるが、空港に着くまでの時間、仕事もできるし本も読めるし寝られもする。空港に着いてからも手続きを済ませれば、搭乗待合室で同様に過ごせる。寝てるのはちょっと恥ずかしいが。

というわけで大変重宝している、この高速バスだが、日によっては乗っているのが僕1人あるいは数人という時もある。そんなときは、ヤバイな。こんな利用状況だと赤字路線として廃止されちゃうかも、と不安になる。一方で満員に近いこともあり、そんなときは、よしこれなら廃線にはなるまい、と胸をなで下ろす。

今日は鹿児島に来るために朝4時50分の始発に乗ったのだが、これがほぼ満員。時節柄か家族連れが多かったな。今日も満員で安心したのだった。

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1957年、石川県加賀市生まれ。1981年、埼玉新聞社に入り浦和の住人に。1992年から、浦和レッズオフィシャルマッチデープログラム(MDP)の編集を担当。2005年に退職し、フリーでMDPの編集を請け負っている。清風庵(http://saywhoand.jp/)庵主。
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