干支は「おひつじ」

Jリーグ開催時のプログラムを作るのが僕の生業だから、3月以降は押しも押されもせぬ「無収入」である。ラジオ出演の仕事をいただいているので完全なゼロではないが、いわゆる「前年対比」で9割減どころではない。9割5分以上の減だ。7月からJリーグが再開するが、プログラムが発行される可能性は低そうだ。少なくとも8月か9月まではこの状態が続くだろう。

これまで収入に合わせて支出をしてきたが、これではとうてい無理だ。曲がりなりにも中小、いや零細企業なので、持続化給付金も申し込むつもりだが、それでは足りないので日本政策金融公庫に借り入れを申請した。

しばらくすると公庫からハガキが来た。内容は「申し込みを受領したが、込んでいるので手続きに時間がかかる。もう少し待たれよ」というものだった。こちらも、まさか申し込んで1週間や2週間で貸してくれるとは思っていない。なしのつぶてでは心配するだろうから、とりあえず連絡をくれたということだろう。

そうしたら昨日、公庫から電話がかかってきた。「お、早いじゃん」と思って出ると「本人確認のために生年月日を言ってください」と言う。なるほど。ここで若く見せる必要はないので「1957年3月31日」と答えた。すると「もう一つ確認のために、生まれた年の干支はなんですか?」と聞く。

えとぉ?

パチンコ屋にいる高校生が、巡回している補導員から年齢を聞かれたら「18歳」と答えるのはいいが「干支は?」と問われてすぐに答えられないとバレてしまう。だから18歳の干支も頭に入れておかないといけない、という話を思い出した(実体験ではなく友人の話)。

本人確認のために「もう一つ確認」と言われたとき、会社の設立年月日とか住所を聞かれるのだとばかり思っていた僕は、干支と聞かれて笑いそうになったが、ちゃんと「トリです」と答えた。してみると、この人は電話の横に「干支一覧表」を置いているのだろうか。その図も想像すると面白い。

さて本人確認が終わると「今日は担当が私に決まったので、まずはその連絡だけ」ということだった。病院でいうと大勢の待合室から中の待合室に進んだようなものか。申請者が多いのでそれも仕方がないが、その連絡のために干支まで聞くか?

昔、レッズの新人で、先輩から「干支は?」と聞かれて、「えと」という言葉を知らずに、生まれ月の星座かと思って「カニ」と答えたヤツがいた。僕も「おひつじ」と答えたら、担当者は笑ってくれただろうか。いや、忙しい人たちにそんな無駄な時間を使わせてはいけない。

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