江戸時代の人たちが見ていたもの―『和算で数に強くなる!』[読書ノート 01]
江戸時代の人たちと今の私たちって、こんなに違うんだという驚きがあった。
和服を着ていて、身分制度があって、苗字がなくて…
それだけでもだいぶ違うと思うけれど、それだけじゃなかった。
「0という量」「速度」「角度」
この概念がみんな、江戸時代にはなかったらしい。
どれも小学生で習った気がするけれど、そんなに最近まで大人も知らないことだったとは!!!
しかも、なぜ、その発想がなかったのか、という理由がおもしろい。
たとえば、速さ。
距離が長ければ、その分、時間もかかることは分かっていたけれど、時間あたりに進む距離を速さとして表すことはなかった。
なぜなら、特に速さを比べる必要がなかったから。そして、そもそも時間の長さが一定じゃなかったから。
えええ?! 1時間の長さが季節によって違うの?!
今の生活からはとても考えられないけれど、それって豊かでいいなと思った。自然のリズムに合わせて、人の昼夜の感じかたに合わせて、時間の長さの方が変わる。時間に人が合わせるわけじゃない。
しかも、速さといったら、せいぜいカゴと徒歩の違いぐらい。こだま→ひかり→のぞみみたいに、カゴのスピードを速くしようとはしないし、陸路と海路とどっちが速いなんて細かくつめたりしない。あくせくしてない。
尺とか、寸とか、長さの単位が身体の大きさを基準にしていたのは知っていたけれど、時間もそうだったとは思わなかった。
なにかこう、まさにヒューマンスケールっていう感じがする。
同じ国に生きているのに、こんなに世界の見えかたが違っていたというのは衝撃だった。
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