顧客視点って、つまり?『カスタマーセントリック思考-真の課題発見が市場をつくる-』

広報が専門の人というポジションで仕事をすることになった。
専門扱いされると急に、自分の経験だけでは心もとない気がして、理論武装がしたくなった。そこで、手にとってみた本のひとつ。

参考になるところが多く、さっそく、PRのプランニングでも活用してみた。ここ重要と思ったところに、あちこち付箋をはったけれど、結局、この本でいちばん線を引きたくなったのは、テクニックに関する記述ではなかった。

このスタンス、すごくいいなと思ったのが、カスタマーセントリックの意味を説明するところで書かれていた、”そもそも、企業は消費者の生活をよくしたい・豊かにしたいという思いがあり、それを実現するために事業活動を行なっているはずだ”という前提条件だ。

適当なものをつくりたいとか、そこそこの感じのものを売りつけたいと思っている企業はなくて、本来、企業というのは消費者に価値あるものを提供しようと思っているはず••••••性善説的というか、ちょっと夢みたいにも感じてしまうけれど、この前提、好きだなと思った。

もともと価値を提供したいと思って仕事してるんだから、それを突きつめることこそ消費者のためだし、そこのところの努力を顧客視点のストーリーに編み直せば、無理くり宣伝して押し付けなくても、伝わる消費者に伝わるし、動くんじゃないか。

いくつものベンチャー企業を取材して、創業者の方から話を聞かせてもらってきたけれど、確かに、多くの事業の原点は価値あるものを提供することだったと思う。
何が価値あるものだと思うかとか、どうやってその価値あるものをつくるかとかは企業の個性によってそれぞれだ。できあがったモノやサービスを見て、後から色々いうことはできる。でも、目指しているところは、価値あるものを提供すること。

なんというか、そうやって信じることで、上辺だけじゃないPRができるのかなと感じた。

先日読んだ、自分はこれに対して斜に構えると決めると批判的な視点が、素直に捉えると決めると肯定的な視点がどんどん出てくるという記事を思いだす。

この企業は、生活者に価値を提供しようと思って活動しているという目で見てみると、きっと好感が持てる素材がいっぱい出てきて、「ほらね。この企業はこんないいところがあるんだよ」「この製品はこんな素敵なところがあるんだよ」と自然に伝えられるんじゃないかという気がする。

あまり嘘をついたり、話を盛ったりするのは得意じゃないから、自分も素直にいいと思える企業やモノやサービスに関する仕事をしたいと常々、思っていた。いいと思えば、広報とかマーケティングとか PRとかそういう枠に関係なく、持ち得るスキルや知識を総動員して、世の中に紹介したい。だって、いいと思うから。

でも、自分がいいと思えたものと最初から限定するのでではなくて、企業はそもそも価値あるものを提供しようとしているという前提にたって、いいところを探してみるというのもできるかもしれないと思った。

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