広告の費用対効果を聞かれて困ったら

「費用対効果はどうなの?」

右も左も分からない広告担当者さんにとって、上司のそんなひと言も困惑の種ではないでしょうか。

最初は発注するだけで精一杯、その後の効果まで考える余裕がないというのが実情だと思います。答えられない質問をされて、問いつめられているように感じる方もいるかもしれません。

でも、大丈夫。費用対効果という言葉の意味さえ理解すれば、「どうなの?」という問いかけにも自信を持って対応できるようになります。

さて、費用対効果という言葉。

コストパフォーマンスや略してコスパとも言われ、日常的にも使われます。
たとえば、車の燃費。あるいは効果が目に見える化粧品。
かかった費用のわりに効果が高いものを「コストパフォーマンスが高い」と表現します。「費用(に)対(する)効果」が高いということですね。

では、広告の費用対効果とは、どういうことなのか。

図式化すると、こんなイメージです。

左側の広告主を見てください。広告をするにはまず費用を投入しますね。

広告にかかる費用は制作費、掲載費、管理費など、見積り書などを見ればすぐに分かります。これらを合計したものが「費用」です。

で、途中の過程は省きますが、色々と手配をすませると制作物ができ上がります。広告の原稿ですね。これは「効果」ではなく、「アウトプット」です。

では、「効果」は何でしょうか。

「効果」は広告を見た消費者の反応です。

Webであれば、数字を押さえることもできます。広告がクリックされた数や自社サイトにアクセスした数などです。
紙媒体でも、掲載商品の問い合わせの数などで反響は分かりますし、専門の会社に効果測定を頼めば、「効果」も分析できます。

「費用」は広告にかかった一切のお金、「効果」は広告に接した消費者のリアクションでした。

ということは、「コスパ」が悪いというのは、広告費がかかったわりに消費者の反応が今ひとつの状態、「コスパ」がいいというのは、広告費をかけた以上に消費者がよく反応する状態のことです。

つまり「費用対効果はどうなの?」という質問はいいかえれば「この広告をしたら、費用に見合うぐらいの反応が消費者から得られそうか?」という質問になります。

ところが、「費用」はともかく「効果」がいかほどかというのは、簡単には把握できないものです。
過去に類似例があれば大まかな予想はできますが、やってみないと実際のところどのぐらいの人が反応するか分かりません。やってみた後でも、本当に正確な「効果」を知るのは不可能です。

たとえば、Web広告の効果があるのはいつまででしょうか。
掲載期間が終われば終わりのようにも思えますが、インターネット上に残っている履歴を見る人もいるかもしれませんし、広告を見て名前だけ記憶した人が後になってから自分で検索するかもしれません。
逆に、掲載期間中にクリックした人がいたからといって、本当に広告が見たかったのか、手が滑ってクリックしてしまっただけなのかは数字上は区別がつきません。

何が言いたいかというと、正確な「効果」なんて誰も分からないのです。どの期間で区切って、どこまでを対象に「効果」を測るかによって、いくらでも数字は変わってくるのです。

そもそも、広告をした場合としない場合を比較しないと、それが本当に広告の効果だったかどうかは分かりません。

「費用」は誰が見ても同じですが、「効果」は人によって捉えかたが変わってきます。
馴染みの客先で「今度の広告いいじゃない」と言われれば効果があったと感じる人もいれば、広告をうった直後にクリック数があがらないと効果があったと感じない人もいます。

「効果」がうまく測れない以上、絶対にこれが最強の広告という正解はないのです。

とはいえ、それは「効果」を考える意味がないということではありません。狙ってやったことは、少なくとも何も考えずにやるよりも良い結果が出るはず。だから、費用対効果を問われるのです。

いろいろな可能性のなかから、どうするのが最も消費者の反応がよくなるのだろう?他に方法はないかな?と考えてみる。そして、自分なりに検討して選択する。
それができたら、きっと「費用対効果はどうなの?」という質問にも自信をもって答えられるはずです。












この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?