色のない世界

私の世界には色が無い。

どちらかといえば色褪せてたんだ。最後に彩ってくれたのはあなただ。
私に「幸せ」「優しさ」「楽しさ」を教えてくれたんだ。

でもそれは一時的な優しさで、裏切って当然だと言わんばかりに私を突き放した。

ずっと彩ってくれなきゃ意味がないんだよ。
あなたいろに染まりたかった。でも、お互いが染まりあわなければ意味がなくて。

次第に忘れていく。薄れていくの、あなたの色も、思い出も。
でも、痛みだけは離れなくて

色んな人が彩ってくれたはずなのに今は色を持たない私。
痛みと寂しさが残った私。

私を表すなら道路の掠れた白線。いつか消えてくんだよ。
そうして新たな白線が引かれてその道路は成り立っていく。道として続く。あなたの恋愛みたいだね。

人をパレットで表そう。
あなたたちは色をたくさんつけてくれるんだ。気が済むまで色づけることが出来る。
でも、飽きたら新しいパレットへ、移る。

あなたたちは新しい色をつけることが楽しい。

でも、私はパレットだから誰かが洗ってくれるまで、自分で洗うまではそのままなんだよ

あなたが彩ってくれた過去、あなたがいなくなったらもう悲しい過去なんだ。
それ以上の幸せを彩ってくれる人なんていなかった。
だから自分で忘れるしか無かった。必死に水で洗っても洗剤で洗っても取れないの。

あなたとの幸せだった、たくさんの色に包まれていた日々が思い浮かんで忘れられないの。
どうやって忘れれば良いんだ。どうやったら元の真っ白な私に戻れるの？

初めは時間が解決してくれると思った。現実は違った。
過ぎていくたびに、もっと気持ちが強くなるんだよ。

新しく私を彩ってくれる人に出会った

私は彼に期待をしたんだ、まだ互いの色に染まったという訳では無かったけど
彼は私に「優しさ」の色を教えてくれたんだ。

過度な期待をした。いずれかは彼を私の色に染めてあげようって。
思い切って距離を縮めようと考えた。
君なら大丈夫だと思ったから。あの人のように突き放さないって。

でも、君は私の色に染まりたい訳では無かったみたい。
彼には彼なりのパレットを作りたい、そんな感じで。

未完成なパレットには他の色はつけたくなさそうで。
私は間違えてしまったみたいだ。

君は私に「ごめんね」というけれどもう平気だった。私のパレットは酷く濁っていたから。きっと近づきづらいだろうな。

ショックだったり、期待し過ぎたせいかパレットはぐちゃぐちゃになってもう色とはいえないような物だった。
君は私から少しずつ離れていくような感じがした。いいのに。互いの色じゃなくてもいいから私に触れていて欲しかった。

だから離れていかないで。

でも私にそんなこと言える資格はない。
悲しかった。誰でもいいから私のパレットを綺麗に戻してくれと叫んだ。

もう何を考えているのかも分からなくなった。ねぇ、色ってなんだっけ。
私は最初何色だったの？

縋れる人はもういない、自分で新しく変えないと。
君みたいに、自立した色のあるパレットを作らないと、私にはそれが足りなかったんだね。

いなくなった君は「優しさ」ともう一つ「成長」という色を最後につけてくれたんだ。

私は新しく変わろうと決意した。こうなろうと未来の自分を描き始めた。
自立していて、誰にも振り回されないそんな人になろうって。

決意をしたらパレットが少し変化しているきがした。

別れたのに消せなかった最初の彼の連絡先、私のパレットで1番濁っていた理由であった。あなたがいなくなってもう数年は経つ。消せないままでいたのは自分。

あなたとの会話履歴、色んな色があった。しかし、既に色褪せていて、次第に薄くなっていた。消せるんじゃないかって思えた。でも、少し躊躇ってしまった自分がいた。これを消してしまうと少しでも優しくしてくれたあなたのことを思い出して幸せになれる気がしたから。

でも、消せなかったら変われないだろう。新しく前に進めないだろう。ここで立ち止まるのは君らしくないさ。とどこかで神様が呟いてる気がして。
私は、躊躇う心を無視して消してみたんだ。

私のパレットがだいぶ綺麗になった気がした。

それからどれくらい経っただろうか。私は綺麗なパレットに戻れた。
誰にも振り回されないそんな私になれたんだ。

優しかった君が教えてくれた「成長」の色。
お互いの色に染まることは出来なかったけど私は君のおかげで進めたんだよ。
人に彩られる人生も楽だったし、自分の知らない色を教えてくれた。

だけど、自分の知らない色なんて私自身で新たに知れることが出来る事が案外簡単に分かった。
いつも違う道を散歩してみたり新しい音楽のジャンルを聴いてみる、日本映画だけじゃなくて海外の映画も見てみたりとかたくさん選択肢、方法はある。

誰かに囚われるんじゃなくて私でも変えれるんだね。

完成しつつあるパレット。今度は逆に私が誰かに「優しさ」「幸せ」「楽しさ」そして「成長」の色を教えたい。彩りたい。

あなたのパレットに綺麗な色をつけてあげたいな。