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地方移住と地域おこし協力隊

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東京出身、海外生活7年、YouTuberという仕事を経た私が、ご縁に導かれるように地域おこし協力隊としてやって来た、瀬戸内海に浮かぶ香川県土庄町(とのしょうちょう)。小豆島、豊島… もっと読む
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記事一覧

地域おこし協力隊としての全活動、退任、そしてこれから

土庄町地域おこし協力隊、退任のお知らせ新年1本目の記事冒頭から私事で恐縮ですが、お知らせです。 2022年12月末をもちまして、私、吉田小百合は、香川県土庄町地域おこし協力隊を退任いたしました。 任期中の活動に際し、お世話になった土庄町、小豆島、豊島、香川県のみなさま、漁業関係者のみなさま、土庄町役場のみなさま、特に業務やスケジュールとの兼ね合いで直接のご挨拶が叶わなかったみなさまに、この場を借りて改めて感謝の意をお伝えしたいと思います。 活動にご協力いただいた全てのみ

故郷の畜産業を守りたい!小豆島へUターンした30代農家の挑戦

地方移住のきっかけとして、昨今、急速に認知拡大している「地域おこし協力隊」。この制度は、都会から地方へ移住を考える人が協力隊になって移住するイメージが一般的に広がりつつあるのも、前述のケース(私も東京から香川へ移住)が圧倒的に多いからかもしれないが、中には故郷へ戻って地域で何かしたいと協力隊になり、故郷で活躍しているUターン組の隊員もいる。 香川県土庄町地域おこし協力隊の畜産振興担当、児戸源太さんは、同僚の現役隊員*の中で唯一のUターン組(*2022年12月現在)。 「地

20代の二人が漁師を仕事に選んだ理由

メディアで報道されているように、高齢化や若者の人口流出などにより、日本の第一次産業従事者は年々減少傾向にある。これは、地方移住先として私が選んだ瀬戸内エリアの離島、小豆島や豊島も例外ではない。 漁業が盛んな瀬戸内エリアには、昔から多くの漁師町が点在している。しかし令和を迎えた今では、20代から30代の漁師に出会える確率はとても稀。進学を機に島を出て都会で就職したり、卒業後に島に戻って来たとしても第一次産業以外の仕事に就く若い世代が多い中、小豆島で「漁師」を仕事に選び生きるこ

地域ブランド「小豆島島鱧®︎」誕生秘話

鱧といえば、京阪神を中心に夏の風物詩として親しまれている高級魚。鱧の産地としては兵庫県の淡路島や明石港、徳島県、愛媛県、山口県などの瀬戸内海に面したエリアが有名だが、瀬戸内海で2番目に大きい離島、小豆島にも「小豆島島鱧®︎」というブランド鱧があることをご存知だろうか。 小豆島ブランドに学ぶ地域活性化「小豆島」といえば他にも、日本のオリーブ栽培発祥の地として有名なオリーブ、昔ながらの手延べ製法が人気のそうめんなども有名だが、近年は、オリーブの搾油後の絞りかすを使った飼料を小豆

埼玉から瀬戸内へ・豊島でみつけた理想の仕事と暮らし

コロナ禍以降、地方移住に注目が集まる中、移住の手掛かりのひとつとして認知度が拡大した総務省の施策、「地域おこし協力隊」。地方移住を考える方は、一度はこの制度を耳にしたり検討したことがあるかもしれない。 この記事を書いている私自身も、1年半ほど前に地域おこし協力隊として香川県土庄町へ移住。町の漁業を知っていただくための情報発信を中心に活動をしている。 土庄町がこの制度を導入して最初の隊員である稲子恵さん。彼女も協力隊への応募をきっかけに、瀬戸内海の離島の中でも島移住希望者に

半年密着!「小豆島のいちご」ができるまで

好きなくだものランキング上位に必ずランクインしている「いちご」。 12月を迎え、これからさらに市場へと流通していくいちごは、クリスマスシーズンやバレンタインスイーツには欠かせない果物としても知られている。 「いちご」と言えば、栃木、佐賀、熊本などが全国的にも有名な産地。中でも関東出身の私にとって、これまで馴染みがあったのは、幼い頃にTVCMでよく目にしていた栃木の女峰であった。 「うどん県」として知られる、ここ、香川県はいちごの産地でもある。 私が移住した小豆島とそのお隣

オリーブの島、小豆島!おすすめ秋冬オリーブレシピ

私の住む小豆島は、別名「オリーブの島」と呼ばれている。 小豆島では街路樹としてもオリーブの木が使われているし、オリーブの収穫時期を迎える秋に近づくと「そろそろオリーブの季節だね〜」なんて会話も聞こえてくる。 オリーブの島、小豆島オリーブの島、小豆島。 その所以は、明治時代に日本で唯一根付けに成功したオリーブ栽培発祥の地であることからだという。 小豆島のみならず、お隣の豊島を含め、島内のあちこちでオリーブ畑を見かけるし、オリーブ農家さんもとても多い。食用からスキンケア商品ま

小豆島の漁師たちが取り組む海の環境保全【漁業とSDGs】

昨今、話題となっている「SDGs(Sustainable Development Goals)」。 SDGsという言葉があちこちで話題にあがる中で、メディアなどでフォーカスされがちなのが、「漁業者が魚をとりすぎなのでは?」という声。そんな声に、私個人としては非常に心を痛めている。 というのも、漁業者たちが、漁と並行して海の環境保全活動に取り組んでいることが、一般にはほとんど知られていないからだ。 そこで、漁業が盛んな瀬戸内海周辺エリアのうち、私が住む香川県土庄町の小豆島

漁師さんと底曳き網漁へ【小豆島の漁業レポ】

小豆島へ移住して1年半。地域おこし協力隊の漁業振興活動の一環として、小豆島の地魚ブランドでもある「小豆島島鱧」が漁れる底曳き網漁に連れて行っていただいた。 東京で生まれ育った私が魚を目にするのは、街のスーパーや商店街の魚屋さんが主な場所だった。伯父は私が幼い頃に寿司屋を営んでいたし、亡くなった祖父は釣り好きだったので、魚の漁れる場面に全く縁がないわけではなかったが、都会に住んでいた私にとっては店頭や食卓に並ぶ海産物と漁の様子が正直なところあまりリンクしないまま大人になった気

瀬戸内の離島で天日塩づくりに魅了された元ラジオディレクター【やりたいことの見つけ方】

「自分の中で確信の持てる直感」に従って、導かれるように人生を決断した経験はあるだろうか。振り返ると、1年半前に私が小豆島へ移住を決めた時も、そんな自分の直感を疑うことなく、流れに乗って決めたように思う。 この記事の主役は、東京のど真ん中のラジオ局で番組制作をしていた元ラジオディレクター。彼は、取材で訪れた瀬戸内の離島、豊島に惹かれ、翌々月には妻と共に移住。さらにその2年後、自身の直感に従って塩ハウスをつくり、天日塩づくりを始めた。 今回は、そんな1組のご夫妻の移住と塩づく

地域おこし協力隊の活動を知っていただくために必要なこと

地方自治体の一員として、行政側の立ち位置で地域と関わらせていただく「地域おこし協力隊」。 一部、Uターンの隊員も活躍しているが、協力隊の多くは私と同じくIターンの移住者。外から地域に来させていただいた立場の私たちが、地域で一緒に何かに取り組ませていただく場面で必須となること。それは、地域の方々への相談や説明、そして、ご理解・ご協力を得られるかどうか。そのために怠ってはならないのが、「いかに地域のみなさまに知っていただくか」である。 初めての活動中間報告会今週火曜日、私が地

小豆島で本屋をつくる!大手書店勤務から地域おこし協力隊で島移住【やりたいことの見つけ方】

「小豆島で暮らしたい」 「本屋さんをつくりたい」 2022年夏、そんなふたつの夢をドッキングさせ、叶えてしまった人がいる。 今年の春に香川県土庄町地域おこし協力隊を卒業した田山直樹さんだ。 ◆プロフィール田山 直樹(たやま なおき) 現職: TUG BOOKS(タグブックス) 店主 Instagram Facebook Twitter 前職: 土庄町地域おこし協力隊 任期: 2019年5月7日〜2022年5月6日 所属課: 企画財政課 ミッション: 移住定住促進

家庭菜園から専業農家へ、女性農家のリアル【やりたいことの見つけ方】

小豆島へ移住して1年が経つ。 「東京から地方へ移住したこの1年で最も大きく変化したことは?」 そう聞かれて真っ先に浮かぶ回答は、 「第一次産業の現場を自身の目で見る機会が増えたことで、生産者さんのことをより身近に感じられるようになったこと」だ。 これまで都会のスーパーで、野菜や果物、海産物を手に取り、食卓に並べるだけでは分からなかった、生産者さんの日々のドラマや思いをご本人から伺い、また、その現場を実際に見せていただくことで、自分ごととして感じられるようになったのは、我

地元漁師の母ちゃん直伝、ご当地はも料理作ってみた【小豆島島鱧レシピ】

京料理の定番であり、関西ではおなじみの「鱧」。鱧は、江戸時代から続く京都の納涼床や懐石料理には外せない高級魚として知られるが、東京で生まれ育った私にはこれまで馴染みのない魚。生まれて初めて鱧を食べたのは、小豆島へ移住した昨年のこと。 実は、小豆島は、兵庫県や徳島県と並ぶ鱧の産地で、しかも、近年、全国のグルメファンの注目を集めているブランド鱧がある。 そのブランド鱧が、「小豆島 島鱧」だ。 西日本以外で鱧になじみのない理由少し話は逸れるが、水揚げ量が西日本に集中しているから