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グラナダの出会い(フランス恋物語㊸)

Andalucía

パリの自宅から国内旅行のような気軽さで、スペイン・アンダルシア一人旅にやって来た私。

初日のコルドバの夜は、一目惚れしたフラメンコショーの歌手にナンパされるという経験をした。

さすが”情熱の国”だけあって、女一人だとスペインの男性は声をかけてくるものなのだろうか!?

Granada

コルドバをAM9:00発の長距離バスに乗り、3時間後にはグラナダに到着した。

【Granada】(グラナダ)
グラナダは、スペイン南部に位置するアンダルシア州の都市。
かつてはイスラム王朝ナスル朝グラナダ王国の首都でもあった街で、イスラム文化が色濃く残る異国情緒漂う雰囲気が観光客に人気がある。
またフラメンコ発祥の地としても知られている。
グラナダ観光の最大の見所は、イスラム芸術の最高傑作とも言われているアルハンブラ宮殿
また、王族の夏の離宮として建てられたヘネラリフェやアラブのスークのようなアルバイシン地区など、イスラム文化が色濃く残る場所が多数あり、こちらも観光客で賑わう場所となっている。

バスを降りると目印となる物が何もなく、今自分がどこにいて、これからどの方向を目指せばいいのかが全く解らない・・・。

 
すると、バス停に日本人らしき男の子を見つけ、私は思わず声をかけた。

「すみません、日本人の方ですか?」

振り返ったその顔は、福士蒼汰にソックリのイケメンだった。

「そうですよ。どうかしました?」

昨日一日コルドバ観光で孤独が身に沁みていた私は、なんとかこのイケメン青年を旅の道連れにできないかと画策した。

「さっきグラナダに来たところなんだけど、地図を見ても今自分がどこにいるのかわからなくて。もしこれから観光予定なら一緒に行きませんか?」

「いいですよ。俺もわからないことだらけだし。一緒に調べて行きましょう。」

彼は、あっさりと私の提案を受け入れてくれた。

・・・私は、心の中に幸せの炎が灯るのを感じた。


「へぇ、レイコさんも昨日コルドバにいたんですね。」

”ユウスケくん”と名乗るその好青年も昨日までコルドバに滞在していたらしく、私と同じ長距離バスに乗ってグラナダまでやって来たらしい。

少し話しただけで、私たちは仲の良い姉弟のようにすぐに打ち解けていた。

「すごい偶然だね。メスキータ本当に良かったよね。」

「うん。行って良かったです。昨日同じ所にいたのなら、もしかしたらどこかですれ違っていたかもしれないですね。」

私たちはまず、彼が予約しているという旧市街のカテドラル近くのホテルを探し、彼がチェックインするのを待った。

私の予約しているホテルもたまたま近くだったので、こちらもチェックインしに行くのに付いてきてもらった。

これなら、夜ホテルまで送ってもらうよう頼めるし、明日の朝も待ち合わせしやすくて、一緒に行動するのにちょうどいい。

二人の旅がしやすくなるよう、偶然が重なったのが嬉しかった。

Almuerzo

その後、私たちは近くのスペインバルでランチを取った。

私はシーフードパエリアを注文したが、ユウスケくんは鶏肉のパエリアを注文していた。

サングリアで乾杯すると、私たちは改めてお互いの自己紹介をした。

ユウスケくんは二十歳になる東京の大学生で、2週間くらいかけてスペイン一人旅をしているらしい。

「第二外国語でスペイン語を取っているので、簡単な会話くらいはできる」と言っていた。

彼はデジカメを取りだし、今まで行ったオススメの観光地としてトレドの風景写真や、マドリッドで見たという闘牛の動画を見せてくれる。

それを見て、トレドも闘牛も体験してみたいと思った。

私の方は「今パリに住んでいる」と言って、お返しにパリやジヴェルニーなどの写真を見せてあげた。

「フランスに行ったことがない」という彼は、その写真を興味深そうに眺めている。

・・・あぁ、感じのいい子と一緒に旅できることになって良かった。

しかも福士蒼汰似のイケメンだし。

私は、ユウスケくんと引き合わせてくれた神様に感謝した。

Catedral de Granada

旅の行程を確認すると、私たちはたまたま明日の14:00からと22:00からのアルハンブラ宮殿のチケットをネットで予約していた。

そんなわけで、今日は旧市街を中心に観光することに決まった。


まずは、旧市街観光の目玉とも言えるCatedral de Granada(グラナダ大聖堂)へ入った。

【Catedral de Granada】(グラナダ大聖堂)
16世紀から18世紀初めにかけて建てられた、スペインで最初のルネサンス様式の大聖堂
当初はにゴシック様式だったのが、後にルネサンス様式に移行した。
5つの本堂を持つ壮麗な建物で、教会内は白で統一され、そのスケールの大きさと柱や天井まで優美な装飾に圧倒される。
見どころは巨大な黄金色の主祭壇やパイプオルガン、そして装飾も見事な巨大な円蓋やステンドグラスなどである。 

フランスのカテドラルはだいぶ見慣れてしまった私だが、スペインのそれはまた趣きが違い、新鮮な気持ちで鑑賞することが出来た。

隣にいるユウスケくんが私に質問した。

「レイコさんはフランスのカテドラルはいっぱい見ました?スペインのとは違いはあります?」

私は天井を見上げながら答えた。

「そうだね。フランスはお上品、スペインはもっとゴテゴテ・・・という感じかな。
装飾がより華美で眩しくて、色味も強いというか。 
マリア様の像とかやたらと血色がいいし、やっぱりスペインの国民性が表れてるのかな。」

私の率直な感想に、ユウスケくんは笑っていた。

Noche

カテドラルを出ると、王室礼拝堂、その他いくつか教会を回った。

同じようなタイミングで「そろそろお腹が空いたね」と言った私たちは、店を探すのがめんどくさくなって、ランチの時と同じスペインバルに行くことにした。

そこは、”立地・味・値段”と三拍子揃って良いので、この後も私たちは何度もここを利用することになる。

Flamenco

そして、食事の後は2人でフラメンコショーを見に行った。

私にとっては2日連続のフラメンコショーだが、ユウスケくんは「今日が初めてだ」と興奮気味に言っていた。

彼の姿を横目に見ながら、「昨夜はフラメンコショーの歌手の男にナンパされ、今日は会ったばかりの日本人の男の子と一緒にフラメンコを見ている」・・・という現実を不思議に思った。


フラメンコショーの会場は丘の上にあるアルバイシン地区で、会場を出るとアルハンブラ宮殿や街の夜景が見えてとても綺麗だ。

「綺麗だね~。やっぱり私、アンダルシアの雰囲気好きだわ。」

「そうですね。 俺も来て本当に良かった・・・。」

私は美しい景色を一人でなく、ちゃんと言葉が交わせる日本人と分かち合える喜びを感じていた。


ユウスケくんは私のホテルまで送ってくれ、「明日朝9時にここのロビーで待ち合わせね」と約束をして別れた。

その夜は、旅の疲れと”いい旅の相棒を見つけられた安心感”で、私はぐっすり眠れることができた。


そして彼は、このグラナダの旅において忘れられない人となるのである・・・。


ーフランス恋物語㊹に続くー


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