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特許訴訟を経験したITベンチャー  「知財戦略部」は何をしているのか?

こんにちは。マネーフォワードで 知財戦略部 部長をしています小日向です。
noteを書くのは初めてなので、簡単に自己紹介させていただきます!

前職(ITベンチャー)でも海外展開を見据えたグローバル商標戦略推進、職務発明制度導入、特許0件からの特許出願戦略推進、知財部門の立ち上げを経験し、2019年3月よりマネーフォワードにジョイン。知財戦略部の立ち上げとその責任者をしています。

知財とは「知的財産」の略。

「知的財産」=「特許」がイメージされやすいですが、「意匠」「商標」「著作権」「不正競争防止法や表示に関する事項」なども含まれています。

「普段、特許などについて考える機会はあまり無いな」という方もいらっしゃると思いますが、実はサービス・プロダクト開発を行う企業が事業を推進するために、とても重要な分野なのです。

そんな知財戦略部ですが、社内からも「何をやっているのかわからない」「自分には関係ない」と言われることも多く、そのイメージを払拭したいなと悩んでいました。

そこで今日は、マネーフォワードの  知財戦略部の特徴や取り組み  についてお伝えすることで、そういたイメージを改善できたらと筆を執らせていただきました。

「特許訴訟」とマネーフォワード知財の歴史

過去にマネーフォワードは特許訴訟を経験しています。

訴訟自体は、事業さらには企業の命運を左右する大事件、当時担当されていた方たちは本当に大変だったと思います。(私はその当時まさに前職で職務発明制度導入し、特許出願戦略推進していた立場であったため、身につまされる思いで経過を見守っておりました…)

一方で、訴訟経験は企業の知財戦略にとっては「強み」にもなると思っています。

バックオフィスの守りの要素の強い部署に共通するかもしれませんが、何か事件やきっかけがないと、中々その重要度を実感するのは難しいものです。

マネーフォワードの場合は、この訴訟経験から「技術を発展させ、ユーザーに継続してサービスを提供するためには、知財戦略がいかに重要か」を実感しており、知財に対する意識が、経営陣、メンバーともに非常に高いと感じています。

実際に、私がマネーフォワードに入社し、知財戦略部を立ち上げたのも、この訴訟の後です。こういった、「全員が当たり前に知財の重要度を認識している」ということが、知財戦略を進めるきっかけになり、今に繋がる「強み」になっていると思います。

マネーフォワード知財戦略部の特徴

「特許や商標といった個々の権利取得のみに固執するのではなく、特許、商標、意匠の創出、権利化のほか、著作権、ノウハウ、ブランド等知的財産を広義に捉えて事業を成長させていきたい。」

これは、私が知的財産法LL.M.(知的財産実務における専門家を育成することを目的とした早稲田大学大学院法学研究科)で、知財の創出から活用、紛争に耐えうる訴訟実務までを幅広く学ぶ中で生まれた強い思いであり、それを実現したいと志し、マネーフォワードに入社しました。

そういった私の思いもあって、マネーフォワードの知財戦略部は、知財戦略の策定を基本として、特許や商標、意匠といった権利の創出のほか、著作権や表示周りのルール策定や商標を活用したブランディング等様々な取組みを担っている点で特徴があると考えています。

その特徴を裏付ける取り組みについて、以下で少しご紹介させていただきます。

マネーフォワード知財戦略部の3つの取り組み

具体的な取り組みについても、いくつかご紹介します。

① 代表・CTO・Lab所長・知財で実施する「知財戦略会議」
② 特許や意匠につながる発明や創作を表彰する「INVENTION AWARDS」
③ エンジニア・デザイナーとの連携・協力体制

① 代表・CTO・Lab所長・知財で実施する「知財戦略会議」


私が入社して以降隔月開催されている知財戦略会議は、マネーフォワードの代表・CTO・Money Forward Lab所長・知財で構成され、マネーフォワードやグループ会社の知財戦略推進状況の共有等のほか、直接知財戦略についてディスカッションを行っています。

グループ会社を含め組織を横断的にみている知財戦略部だからこそ気づく課題や、その対応策について、相談・提案を行い、そのフィードバックを速やかに得ることができるため、知財部門として取り組みたいことが実現しやすい環境であるといえます。

② 特許や意匠につながる発明や創作を表彰する「INVENTION AWARDS」


この「INVENTION AWARDS」は、先程ご紹介した知財戦略会議で提案したのがきっかけで、実現した制度です。

特許につながる発明の内容は、特許戦略上公表が難しいことも多いので、せっかく発明の創出や発掘をしたメンバーを公に評価することができないのが悩みでした。そこで、そういったメンバーの取り組みをグループ内に知ってもらい、讃え合う機会を作りたいと考えて、メンバーの発明や創作を表彰する「INVENTION AWARDS」を新設しました。

表彰式は、年に2回開催しているグループ総会の場で行っており、ちょうど今年6月が3回目の開催でした。

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(今年6月で3回目となったINVENTION AWARDSで「大賞」を受賞されたメンバーの皆さん、マネーフォワードの代表、CTO、Money Forward Lab所長全員で記念撮影)

受賞者のみなさんにはトロフィーが贈呈されます!

私のこだわりのトロフィーは受賞者の皆さんに喜んでいただけており、毎回受賞者の皆さんの笑顔をみるのが本当に誇らしく、嬉しいです。

従来は「社長賞」「CTO賞」「Money Forward Lab所長賞」の3つのシルバートロフィーだけだったのですが、今年から、さらに「大賞」を1組選定し、ゴールドのトロフィーを贈呈しております!(シルバーもゴールドもどちらも素敵で、当社自慢のトロフィーです!)

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(シルバーのトロフィー。以前「INVENTION AWARDS」について取り上げてもらった記事はこちら

③ エンジニア・デザイナーとの連携・協力体制


開発現場のエンジニア、デザイナーの皆さんとの連携・協力体制も大きな特徴です。

エンジニアに関しては、コロナ前は京都や福岡にある開発拠点まで行き、開発内容のヒアリングや特許勉強会など行っていました。またエンジニア向けの勉強会に(半ばむりやり?)参加させてもらったり、現在も、SlackやZoomによりスピーディなコミュニケーション、情報連携を行えています。

デザイナーに関しては、昨年のCDO(Chief Design Officer)設置をきっかけに、CDO・Money Forward Lab所長・知財との定例会議による情報連携を継続して行っています。
プロダクト画面デザインなどの意匠や商標は、出願して終わりではなく、活用してブランディングを行ってこそ活きるため、このような連携は事業推進のためにも非常に重要な取り組みになります。

上記のような連携・協力体制を築けていることは、知財戦略を推進する上で、大変恵まれた環境であると考えています。

今後の知財戦略について

知財戦略部では、上記でご紹介した取り組みのほかにも、様々な取り組みに力を注いでおります。
特許や商標といった個々の権利取得にのみ固執するのではなく、特許、商標、意匠の創出、権利化のほか、著作権、ノウハウ、ブランド等知的財産を広義に捉えて事業を成長させていきたい、という観点からは、できること、やるべきことが山のようにあり、知財戦略部が果たすべき役割も大きいと考えています。

今年に入り、IPランドスケープを活用した情報分析や情報提供にも取り組んでおり、さらに知財戦略部が貢献できる領域が広がってきています。
今後は広がった業務の1つ1つを深めていくことにも注力し、知的財産に関する各専門家がそれぞれの経験・知識を活かし、四則演算しながら事業全体のストーリーを考えていける体制にしていきたいです。

知財戦略部の仲間も募集中です

このように、まだまだやりたいことが沢山あります。

もし、ここまでのお話にワクワクしてくださった方、知財戦略から事業を推進したい、経験をつみたいと思ってくださった方は、是非ご連絡ください。

知財戦略という仕事柄、中々ここには書ききれなかったことも含めて、お話もできればと思います。

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▼参考記事

知財で経営を後押しする——特許訴訟を経験したマネーフォワードの知財戦略部が掲げるミッションとは #1 


知財で経営を後押しする——特許訴訟を経験したマネーフォワードの知財戦略部が掲げるミッションとは #2 


知財戦略部が新設した「INVENTION AWARDS」に込めた想いとは
























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