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『毎夜、痺れる夢の中で』

ビリビリを頂戴

ビリビリを…私に、頂戴。


心や脳味噌がビリビリと痺れる様な
恋にも似た、感覚。

それは楽器の音かも知れない
それは歌声かも知れない
それは歌詞のストーリーかも知れない。

追体験する
私は、別人になる

この瞬間が堪らなく好き

再生ボタンとヘッドホンさえあれば
私は、世界にダイブする事が出来る。

音楽が、私を退屈な日常から連れ去ってくれる
ビリビリと脳は刺激されて
取るに足りない小さなの自分は灰になる。


別にラブストーリーじゃなくてもいい
歌詞が分からない洋楽でも、ビリビリ出来るならそれでいい。

悲しい歌も
頭の可笑しい歌も
明るいポップでも

トリガーになる 何かがあれば
私は、それでいい。

この至福の時間を独り占めして
今日も終わっていく

ライブに行ってみたいけれど
でも人混みは苦手だ

アーティストに本気で恋をする程愚かではないけれど
夢を見ていないと息苦しいくらいには
自分に疲れてしまっている。

今日は何を聞こう

空っぽな自分に詰め込む物語を探しながら

私は溜息を吐いた…

刺激が足りない、ビリビリを頂戴。

いつも、渇いている。
渇いている。

でも…
私は誰かを痺れさせるだけの何かを持っていない

このおよそ3分の曲が終わったら
夢から醒めて。

ただ、何者でもない私が残るだけだ。


…そんな詰らない
仕様のない思考を大音量で掻き消して
私は今日も夢を見る

再生ボタンを押したらもう
ここは別世界

心臓より心地の良いベース音に乗って
脳髄を麻痺させて

今日も…。

ビリビリを…
ビリビリを頂戴。

頂戴…

私の冷蔵庫の中味を全部食べたっていいから

愛してるってもう一度言って

そしたら
髪もとかさずに駆けてく
翳りゆく部屋、
十五になった私は、
最期の準特急、小田急線の踏切の音
クラクラと38度のありえない太陽に照らされて
沈むように溶けていくように
ギラギラ、眩い風に誘われてみる
戻れないと知ってても
ずっと真夜中で良いのに…
朝の来ない窓辺を求めているの

約束はいらないわ
嘘でなにが悪いか

見詰め合うだけじゃ つまんない
そう、もったいないぜ?
山ノ手線最終で 何処へ行こうと云うの?
やってられないわ
三文芝居のタイトルは…


グチャグチャに

グチャグチャに夢は混ざって
私の中味を埋めていく

朝か昼か真夜中かも解らない

私は私の名前もわからなくなって

感電したまま眠りについて

明日、またくだらない日常に
戻って

繰り返し
繰り返し
繰り返し

また、世界にダイブする…。

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