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『君が眩しすぎると言ったこの世界は…』

あの日、君は
「世界が眩しすぎるから」と言って
勝手に遠くに行ってしまいました。

だからボクは君に手紙を書くことしか出来ない。そう思うのに、中々上手く書けないんだ。
何度も何度も書き直した、だけど今回こそは最後まで書き上げるよ。
もう何年も、送れていないからね…。


______________


…お元気ですか?
こうして、お手紙を書くのは久しぶりだね。少し照れ臭いものだけれど。
君は随分と遠い場所にいるから電波も届かないからね。こうやって手紙を書くしかないんだ。

さて、置いてけぼりを喰らってもう何年だろうか…もう、数えるのも飽きてしまって、最近は考えなくなったよ。
考えすぎと君に叱られていたのを懐かしく思う位には、ボクも詰まらない大人になってしまったみたいだ。

君が乗っている銀河鉄道はサウザンクロスに辿り着きましたか?
それとも、その先の駅がもう出来ているのかな?
ボクが知っているのは大昔に北国の青年が書いた路線図なものだから、質問ばかりになる。すまないね。
しかもそれすら四回も書き変わっているそうじゃないか。
四通りあったら何を信じればいいかすら迷ってしまう。
シンプルが一番というのはある種の真理だね。

そうだ。最近知ったんだけどね。
ボクは気付いてしまったんだ、君が眩しいと言った世界なんだけどね。
君が旅に出てから、真っ暗くらい洞窟みたいになってしまってさ、
本当だよ。
昼間でもランプがなくちゃ手紙も書けやしないんだ。
お陰で目がショボショボしてつかれちまうから、まるで老人になった気分だよ。

下らない話も昔みたいに笑えやしないんだ。薄暗い中だと、上手く笑えないのもある。
でも、会話って言うのは内容じゃなくて誰と話すかが大事なんだな。
食事もそうだけど、全然色味が変わってくる。
今じゃみーんな青白くて気味の悪い光が頼りだからね。
あの頃の太陽が恋しい。
君が居たらきっとみんなの顔色を笑うだろうよ、骸骨みたいだってさ。

あの頃みたいに眩しく無くなったこの世界なら、君は帰って来てくれるかな?
YESかNOかで教えて欲しい。

YESなら僕は待っている事にするよ。
でも、もしまだ眩しいなら次は一緒に行こう。
NOなら、そうだね。
ボクは次の銀河鉄道で君を探す旅に出るよ。
頼むから、ちゃんと答えてくれよ
前みたいに何も言わなかったら殴るからな…

では、お手紙のお返事お待ちしております。

PS.
聞いておいてなんだけどね…、
もう、待つのは疲れてしまったんだ
本音はそっちだな。
だから今夜、ここから出る事にするよ。

大切なお時間をありがとうございます! 少しでも、心に何かを残せたなら幸いです。 少しでも良いと思って頂けたら他作品や、イベント、カフェあめだまをチェックやスキやサポート頂けたら嬉しいです(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎) 全て活動に還元し、また何か作品をお届け致します。