新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。
新型コロナウイルス感染症については、必ず1次情報として 厚生労働省 首相官邸 のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。

【5】小児科医ママが解説「コロナで、乳幼児健診が延期。赤ちゃん・子どもに影響はないの?」


コロナウイルスの影響で、乳幼児健診やワクチンが延期になったり、
赤ちゃん教室などが中止になったりしています。
今回は、乳幼児健診が延期・遅れることで、赤ちゃんや子どもに影響がないのか、というテーマを見ていきたいと思います。


厚労省「必要に応じて延期を」

そもそも延期になった発端として、2020年2月28日づけで、厚生労働省が「母子保健事業等の実施に係る新型コロナウイルスへの対応について」として、以下を発表しました。

「(乳幼児に対する健康診査などについて)感染拡大防止の観点から、必要に応じ、延期等の措置をとること。ただし、この場合において、延期等の措置をとっている間にも必要に応じて電話や訪問等による保健指導や状況把握を行うこと。」

実際に全国の市区町村で、乳児健診の延期が決定しました。
3月に入り、一部の地域では再開されてきています。
ただし、時間をくぎって入場者数を制限したり、
体温測定を義務づけたり、スタッフのマスク着用や手指衛生を徹底したり、
といった対策が明示されています。



米国小児科学会「telemedicine(電話やオンラインなどの遠隔診療)も検討を」

海外はどうでしょう。
医療従事者むけのメッセージではありますが、米国小児科学会は、以下を提案しています。https://services.aap.org/en/pages/2019-novel-coronavirus-covid-19-infections/

・子どもを不必要に病院にこさせない
telemedicine(電話やオンラインなどの遠隔診療)など、直接対面以外の方法を検討する。
・新生児・乳児、ワクチンが必要な幼児にのみ限定して健診を行う。9-11歳(” middle childhood”)は延期など予定変更を検討する。
・午前中はやい時間に健診を行う。後の残りの時間を、感染者の外来対応にまわす。

延期しなければいけない、とはしていないものの、
院内でほかの患者さんから感染する・あるいは他人を感染させるリスクを考えたうえで、対応をよく考えましょう、というステートメントです。



お家でできる?!乳幼児健診。

1歳未満の乳児は、毎日が著しく変化・成長しています。
1~2ヶ月延期になり、乳児健診を受けられないことで、
大きな影響がないか心配もあるかと思います。

そこで私たち小児科医が、乳児健診で見逃さないようにしているポイントのうち、ご自宅でもチェックできるものを、挙げてみます。


●(生まれて1ヶ月未満の赤ちゃんで)退院した後の体重増加が、1日あたり20g未満。
●便の色が白い(母子手帳の便色カード 1~3番)。
●多い量の嘔吐がつづく、顔色が悪い、ぐったりしている。
●呼吸がとまったり、皮膚の色が悪くなったりする(かつ、手足がグーッと曲がったり・つっぱったりする)ことがある(けいれんの疑い)。
●瞳孔が白い(網膜芽細胞腫のうたがい)。
●音に反応していない様子がある(難聴のうたがい)。

※国立成育医療研究センター「乳幼児健康診査 身体診察マニュアル」より抜粋。https://www.ncchd.go.jp/center/activity/kokoro_jigyo/manual.pdf


もちろんこれ以外にも、私たちが健診でみているポイントは沢山ありますし、お子さんにもともと既往歴があるかどうかなど、ケース・バイ・ケースです。

が、どんなお子さんにも共通して、わりと急いで検査や治療をする必要がある項目をしぼって挙げるなら、上記です。

逆に、もともと既往歴や健診で特に何も指摘されたことがなく、かつ、上記に当てはまらない場合は、もし健診が1~2ヶ月くらい受けられなかったとしても、なにか後遺症をのこすような医学的な問題がおこることはまれだ、と思っていただけたら幸いです。


よくある相談1:身長や体重について

身長や体重の増えについても、健診でよくご質問をいただきます。

※身長はそもそも、お子さんが動き回ることでの誤差も大きいこと、
また、栄養失調は「まず体重が増えなくなる→つぎに身長がのびない」という流れが多いことから、ここでは主に体重について記載します。

極端に体重が減り続けている・ぐったりしている、というわけでなければ、
数週間~1ヶ月くらい、栄養を調整しながら、様子を見るケースが多い
です。

一応、1日あたりの体重増加としては、以下が目安です。


生後0~3か月:25 ~ 30g
生後3~6か月 :15 ~ 20g
生後6~12 か月 :10 ~ 15g


※日本小児科学会雑誌 115巻 8 号 1363~1389(2011年)、小児科医と母乳育児推進 より抜粋。


ただし毎日みると、昨日より減っている、という場合も多くあります。
上記はあくまで、数週間~1ヶ月の間に増えた体重を、日割りで計算したら、平均これくらい増えてたら安心だよね、というザックリした目安だと思ってください。
「お子さんなりに、成長曲線を描いているか」が一番大事です。

逆に、短期間のうちに、成長曲線を2本以上、下向きに横切ってしまうような場合は注意が必要です。(体重増加不良、failure to thriveなどと表現します)
この場合は1~2ヶ月待つというよりは、早めに検査などをして、
原因を探したり、治療をしてあげたりする必要もでてきます。
※ただし上記のような状況は、1歳未満で3-4%に見られるという報告もあり、珍しいことではありません。活気があれば、単純に「ゆっくりめに成長する子」というケースも多いのです。(J Child Psychol Psychiatry 1994;35:521-527.)


よくある相談2:運動や言葉の発達について


ハイハイ、つかまり立ち、独歩といった、運動の発達。
あやし笑い、指さし、言葉、人見知りといった、社会性・精神面での発達。
こちらも、乳児健診の要ではありますが、これもまずは「数週間~1ヶ月様子を見ましょう」とするケースが多いです。

運動発達に影響がでるような、筋肉や骨などの病気があるのか。
精神発達に影響がでるような、発達障害や先天性の病気の可能性があるか。
これは1回の診察だけでは、正直判断がむずかしい、また短絡的に判断してはいけないものです。
一定の時間、注意して経過をみることで、適切な時期に、適切な検査に踏み切れるかが大事です。


迷ったらまず受診、ではなく、まず「電話相談」を

・・・とはいえ、毎日の子育てで、心配や不安はつきないもの。
早めに受診や健診が必要ないか、判断がむずかしい場合は、まずは電話で相談してみましょう。
1ヶ月健診については出産した病院で、3-4ヶ月健診や1歳半・3歳児健診については保健所が、それ以外の時期の健診については、かかりつけの病院やクリニックが相談窓口になります。

そのほか、早産や低出生体重児、持病で定期的な通院をしている場合なども、
かかりつけの医療機関に電話で相談したうえで、受診の判断をあおいでください。

ネット・オンラインでの医療相談を利用するのも、一つの手だと思います。


●子育て相談ドットコム  https://kosodate-qa.com/
●Doctors me   https://doctors-me.com/
●ポケットドクター  https://www.pocketdoctor.jp/
●LEBER   https://www.leber11.com/
●小児科オンライン  https://syounika.jp/

※上記はオンライン医療相談サービスの一部のご紹介です。私もいくつかご協力させていただいています。


さて、乳児健診とならんで、母子保健事業の要となるのが、ワクチン・予防接種。BCGとコロナウイルスの関連がとりざたされるこの頃ですが、それについてもまた記事にしていきます。


※我が家の自治体ではどういう対応だったか。白井家がどうしたか。こちらのブログ記事に書いています→ http://sayokoshirai.com/健診、行きません。/

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■医師免許、日本小児科学会専門医、小児科オンライン(https://syounika.jp/)、IPHI 妊婦と子どもの睡眠コンサルタント、キッズ・マネー・ステーション認定講師 ■2児ボーイズの育児ブログ:http://sayokoshirai.com/
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