蔦屋家電

細々と、今度こそ、

ニコタマ(二子玉川)は、すでにクリスマスムードでした。11月13日なんですけどね。
向かったのは『蔦屋家電』というお店。本と家電製品が並んで売られている変わった店舗で、今回はさらにデーンと自動車まで売られてました! もはや『蔦屋家電ディーラー』ですなあ。

ぼくの新刊『教養としての「国名の正体」』の発刊記念トークショーです。以前もここに呼んでもらいました。ぼく程度の作家に「やってもいいよ」と言ってくれるのは、大変ありがたい。

とはいえ、ただボソボソと話をするだけではお客さんに申し訳ないので、毎回ぼくの発刊イベントではスライドショーをやります。これが大変! 今回は50枚のスライドを作り、そのあとのクイズ大会(国名王)用にもう20枚。クイズ優勝者への賞品も用意しました。
このぐらいやらなきゃエンタメのショーにならない!…とイベント台本を書くつもりでスライドを作るんです(この日は夜7時からのイベントで、スライドができたのは3時でした)。本を書き終えたぼくはいつも、「本の著者」から「ショー台本を書く放送作家」になるわけです。

トークショーの相手をしてくれたのは、元徳間書店編集者の関智さん。SFアドベンチャーの「愛と青春のサンバイマン」からですから、もう30年来の仲。これまで、何度もぼくの発刊イベントの相手をしてくれてます。そして毎回、関さんに言われます。
「藤井さん、この本で何冊目?」
「40冊ですかね(毎回、ここが一冊ずつ増える)」
「これといったヒット作もないのに、本を出し続けてるのが不思議だ!」
元編集者だけに説得力がある。続けて、
「いっぱい出してれば、ふつうどこかで当たりますよ。ヒットを避けながら出し続けるのは、逆に難しい!」
「いや、避けてるわけじゃない。毎回『今度こそ大ヒット。場外ホームランだ!』と思いながら出してるんです」
というやりとりを、この本の編集者Mさんが笑いながら聞いてました。蔦屋家電担当者のMさんも。そして集まってくれたお客さんも。

つまりは、こんなぼくの本を面白がってくれる(少数の)読者と、(少数の)編集者と、(少数の)出版社によって本を出せて、(少数の)書店によって発刊イベントが成立しているわけです。できれば、(少数の)のところを(多数の)にしたいんですけどね…。

今回来てくれたお客さんの中に、
「もう小説は書かないんですか?」
と聞いてきた方がいました。おそらく「シナチク」「サンバイマン」時代からぼくを知っている読者でしょう(ほとんどの方は、なに言ってるわからないでしょう。スミマセン)。いつもこういう方が何人かいて、ぼくはとても嬉しいのだ!
「実は少しずつ書いてるんですけど、なかなか出してくれる所がなくて…」
こないだの早稲田大学での学祭を見に来ていた方も、来てくれていた。こちらはおそらく、オードリーのオールナイトニッポンから入って新たにぼくを知った方。もちろん、やはり嬉しい!

出しても出しても、ぼくの本はあまり売れない。でも、細々と、今度こそ、と思いながら書き続けてる。ボクサーだったらレフェリーストップがかかるとこかもしれないけど、ぼくはボクサーじゃないしね。
今度こそ場外大ホームランだ!?
(評・ボクシングと野球と、例えが二つ混ざるのはよくありません)

お読みいただき、ありがとうございます。本にまとまらないアレコレを書いています。サポートしていただければ励みになるし、たぶん調子に乗って色々書くと思います! よろしくお願いします。