マガジンのカバー画像

もっと TVのモンダイ点

51
前からの続き。21世紀に入ったところです。けっこう今でも同じコトがあるようで…
運営しているクリエイター

記事一覧

138.ミニ創世期

 テレビの初期は、海のものとも山のものともわからなかった。メディアの先輩であるラジオから送られる人材には、はっきりいって「人身御供」「左遷」という色合いが強かった。他にも映画、演劇、バンド、ショー、出版、美術、興業、レコード会社などからもさまざまな人がやってきた。そのいずれもが、成功を確信していたわけではない……という。

 テレビ放送が始まってたかだか45年。まだその創世期を生きた人々は多く生存

もっとみる

137.環境問題

 ぼくはラジオもテレビも両方やっているが、ことトーク番組の内容に関して言えば、圧倒的にラジオの方がレベルが高い。
 先日、井森美幸ちゃんと話した時(ぼくは彼女のデビュー番組を書いていた!)も、
「なんか、ラジオって喋りやすいんですよね」
 と言っていた。
 これは一つには、単純に環境の問題。ラジオのスタジオは小さく、現場にいる人間も少ない。タレントさんとしてはお仕事というよりアットホームな感じがし

もっとみる

136.コメンテーター

「セントピーターズバーグ」
 たぶん、アメリカのどこかにある田舎町なんだろう。この付近で唯一の大学があって、それは青い空と緑の芝生の中に時計塔が建っているようなキャンパス。ここで学ぶ若者の中に「ニューヨークに出てチャンスをつかみたいんだ」という青年がいる。彼は同級生の恋人と別れてグレイハウンドバスで旅立っていく……なんていう、懐かしのニューシネマの舞台みたいな町を想像してしまう。
 が、これ実は、

もっとみる

135.選挙監視団

「なんだ、なんだ。選挙ってのは公正なはずだろ。ちゃんとやれよ!」
 と、今回の米大統領選フロリダ州の騒動について、さぞや怒っているだろう。アメリカ国民が? ブッシュが? ゴアが? いや、それもそうだろうが、ぼくが心配しているのはそうじゃない。カンボジア国民が怒っているのではないか?
 だって、当確を間違える、数え直すと有効票数は増える、投票用紙の不備は指摘される……と、けっこう選挙がいいかげんじゃ

もっとみる

134.再現ドラマ

 多くの番組で、数奇な運命に翻弄された素人とか過去の偉人をとりあげる。そこで威力を発揮するのが再現ドラマだ。
 かつては、再現といえばモノクロ。役者の顔が映らないアングルで撮り、セリフもたいていナレーションでつぶされていた。
 あれはまだ無名の役者さんとか劇団員がやっているのだろうが、
「あたしの顔が、下半分しか映してもらえない」
 とか、
「病に倒れるシーンを熱演した(再現ドラマでは病気と貧乏の

もっとみる

133.喫茶店時代

 本当に久しぶりに、この原稿を喫茶店で書いている。かつて放送作家の仕事場と言えば喫茶店だった。そりゃ、自宅に机はあるし、放送局で会議室をとってくれることもある。だけど、いつでもどこでも、ほんの30分の空き時間でも、原稿用紙とペンさえ持ち歩いていればすぐに仕事ができるのが、喫茶店のよさだった。
 だから放送作家はみんな、放送局の近くに、原稿を書きやすい好みの喫茶店を何軒かリストアップしていたものだ。

もっとみる

132.歳時記番組

 アニメ「サザエさん」のテーマ曲や「笑点」のテーマ曲を聞くと寂しくなってしまうという人たちがいる。
 あんなご陽気な曲でなぜに寂しくなるかというと、それが日曜の夕方に放送されるから。つまり「あぁ休みも今日で終わりか。明日からまた一週間が始まる」というブルーな気分を思い出してしまうからだ。

 テレビ・ラジオの番組というのは。人の視聴習慣と関連づけて記憶される。その番組のよしあしとは別に、金曜・土曜

もっとみる

131.シーズンオフ

 イチローの大リーグ挑戦のニュースが世間を騒がせている。プロ野球のシーズンが終わると、毎年話題になるのは「監督更迭」「選手のトレード」「FA宣言」「大リーグ入り」「年俸更改」「ドラフト」………だいたいこのへんが定番だ。時としてペナントリーグの勝った負けたよりも、むしろシーズンオフの方が面白いこともある。
 だからこそ、
「一体なにをしている!」
 と檄を飛ばしたい。
 日本のプロ野球界に対して……

もっとみる

130.美しい星だ

 あなたの周りにも、一人や二人はいるのではないだろうか。
「なに、それ?」
 と絶句するような、とんでもない色やデザインの洋服を好んで着ている友人が。時としてそれはシメサバみたいな光沢だったり、売れない寄席芸人みたいな派手さだったり、あるいは絵の具箱をぶちまけたようだったり……。
 一度や二度なら気の迷いということがあるし、また受け狙いというセンも考えられる。しかしそれが度重なると、
「そんなもの

もっとみる

129.今までより

「今までより白くなりました!」
 という洗剤のCMがよくある。ま、白くなったんだからいいことなんだろうが、「じゃ、今まではそんなに白くなかったのか!」と、これまで騙されてたような気がする。ぼくだけだろうか?
 あるいはキャットフードのCMで、
「今までよりおいしくなりました!」
 というのもある。今までよりおいしいかどうかはなぜわかる。「猫に聞いたのか?」と気になる。これまたぼくだけか?

 こう

もっとみる

128.東京のコンプレックス

 先日、仕事で四日ばかり大阪に居た。帰りに、あいかわらず関西系コテコテの土産品がずらりと並んでいるを喜びながらも、正直言って少し辟易とした。その時、
「大阪文化というのは最初からこんなにコテコテだったのか?」
 と思ったのだ。

 考えてみれば元々上方文化は洗練されたものだった(雑学本に必ず出ている「下らない」の語源でも見て下さい)。
 それがこんな風になったのは、何も吉本興業のせいばかりではない

もっとみる

127.BSデジタル

 BSデジタル放送というものが始まる。その仕組みはというと……ぼくにはまるでわからないから、どうか本誌で何度かやるだろう解説記事でも見て下さい。
 なにしろ、現在あるキー局のすべてが(なのかな?)、もう一つ別の24時間プログラムを持つというのだから、これはじんじょうなことではない。単純に計算して、日本中でこれまでの倍の番組が必要になるのだ。
 その余波は、今ちょうどぼくたち末端の人間のところに届い

もっとみる

126.後継者問題

 すべての分野で、後継者の問題は重要である。これは芸能界においても同じ。たとえば、美少年アイドルグループの分野では、ジャニーズ事務所で後継者育成が順調に行われているし、関西弁お笑いコンビの分野では主に吉本興業でキチンと後継者が現れる。
 しかし、ぼくがこのところ気になっていたのが、豪華絢爛衣装タレントの後継者問題なのである。

 いるでしょ。ここぞという時、トンデモナイ衣装を着て現れる人。キンキラ

もっとみる

125.経済波及効果

 プロ野球の優勝の行方が話題になる時期には、毎年のことながら「×××が優勝した場合の経済波及効果は**億円」というもっともらしい情報が出てくる。
 銀行の調査部とか、なんとか総研とか、かんとかシンクタンクという所が発表するのだが、この積算根拠がよくわからない。だって、デパートの優勝セール程度では、どう考えてもそんなに巨額になるわけがないのだ。

 その謎を解く鍵は、意外にもウチの近所のイ○ーヨー○

もっとみる