自分の好きなものとは何か。14

人と素直なやりとりを重ねていくと、成り行きとしてたまにはこちらの意見や好みを言う流れにもなる。

そこではじめて、自分は案外自分の考えとか好きなものとか、曖昧なまま生きていることに気づかされる。

十代の頃は、何となく「空気を読む」形でコミュニケーションは無難に済んだし、二十代は社会人としてはまだヒヨッコ、若い女性ということもあり、その場その場で空気読みつつフワッとした意見があれば事足りた。今思うと本当に、ダメダメである。若者に言いたい、空気なぞ読まなくていい。いや、空気読む前に自分自身を理解分析しておくよう勧めたい。

自分が本当に欲しいものを自分で分かっていないと、本当に欲しいものは手に入らない。そもそも、人生数十年しかないから、それを探してあちこちウロウロしているうちに終わってしまう。 

よく自分探しとか言いますが、最近になって、自分とは探すものではないな…とつくづく思う。わざわざインド放浪とか行かなくても、自分とは既にそこに存在するもの、そして作っていくものだ。

彫刻作品にたとえるなら、若い自分は、木材だ。木材にも色々ある。木の種類は?固いのかやわらかいのか、油分多めか少なめか、大きさは?形は?木目は?巨大な仏像のパーツ、普段づかいの皿、現代的なアート、アクセサリー…理論上の可能性は無限でも、向き不向きや可不可は確実にある。

そういう素材としての自分を、まず見極めたい。自分は人と比べて何が上手か、何が好きか、小さいときから何時間やっても飽きないのはどんなことか、性格は、体力は、etc。

自己分析は就活で初めてやるものではないと、私は思う。まずは幼稚園小学校くらいの頃に、周りの大人がある程度の方向性を見てアドバイスできるはずだ。家族、親戚、学校や塾や習い事の先生など日常関わっている大人なら

「この子は、他の子と比べて○○に秀でている」

「君は○○が好きなんだね」

と教えてやれると思う。

苦手なこと下手なこと、足りないことの指摘をしている大人はかなり多いみたいだけれど、その子が得意で上手なこと、性格の良い面などプラス要素を教えてあげている話は、比較的少ないみたい。

苦手なことを得意にしたり悪い性格を良くするよりも、得意なり良い面なりを伸ばしたほうが早いし、本人の人生にはプラスだと思う。

それは何も特別な能力でなくたっていい。君はいつも穏やかで、人の話をよく聞けるね。とか、荷物を整理整頓してあってえらいね、でもいい。逆にマイナスイメージで騒がしい子でも、前向きに見れば、恥ずかしがらず目立つのが得意だ。という評価も出来る。子どもは、大人からの評価に敏感だ。ちょっとしたプラス評価のひとことが、その子の生涯にわたって影響することもある。

でも私みたいに、ウカウカしているうちにいい歳の大人になってしまったら、遅いのか?否、自分で自分をよく観察し、うまいこと育てていくことはできるはずだ。

その為のツールとしては、人との対話、キャッチボールが役に立つように思う。やりとりを通して

「この人、私より段取り良いな!」

「私は、段取りは下手。だけどその分、じっくり調べたり情報整理したりは、意外とできるかも」

とか

「あなた、それが好きなの?私は選んだことないわー」

「そう?好きとかじゃなくて、考えて選ぶのが面倒だから、決めてるだけ」

みたいなやりとりから考察は深めていけそうだ。また無自覚に選んでいた物事でも、自分の言葉にして出すと、意識する。自覚的になる。

好きなものについては、自分と他人のお金の使い方を比べると分かる事がある。

自分は何にお金を注ぎ込んでいるか?もしバイト代の殆どを化粧品につぎ込んでいたら、おしゃれやメイクが好きなのか、逆に外見にコンプレックスが強いのか等、考えられる。

気合を入れた趣味がある人は、そんなこと言われなくてもすぐわかるんだろう。けれど、私みたいにぼんやりした人間は、空気読んだりまわりに合わせたりしがち。自分が本当にそれを好きなのか?心から望んでいるか?ちょっと曖昧だ。お金という具体的な数字は、わかりやすい目安になると思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?