さやのもゆ

日常の気付きや想いを、生まれ育った地· 奥浜名湖の風景に寄せてお届けします。 お時間頂…

さやのもゆ

日常の気付きや想いを、生まれ育った地· 奥浜名湖の風景に寄せてお届けします。 お時間頂けましたら、お読みくださいね。

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さやもゆちゃんねる朗読エッセイ『密柑山の桜奇譚』

私さやのもゆは、生まれ育った遠州奥浜名湖地域の日常的な自然の風景を題材にエッセイを綴っております。 このたび、『さやもゆちゃんねる 朗読エッセイ』を開設。自作エッセイを朗読動画にお作りしての配信を始めました。 今回のテーマは、『桜』。 タイトルは『密柑山の桜奇譚』といたしておりますが、怖くも何ともありませんので、ご安心を。奥浜名湖の山の春をお楽しみください。

    • さやのもゆ/読書会ノート2024.1.20 『おかげで、死ぬのが楽しみになった』 遠未真幸/著    【note版】ー第1部ー

      【掛川ほんわかブッククラブ読書会】 日時:2024年1月20日(土)10:00~11:30 場所:掛川中央図書館 会議室 〈テキスト〉 『おかげで、死ぬのが楽しみになった』      著者:遠未真幸(とうみ・まさき)          サンマーク出版、2023 初春の、花の季節。 平年より10日ほど早い白梅(しらうめ)も、匂い立っていた事と思います。 寒暖をくり返す日々のなか、体温調節にも気をつかうところ。皆さまは、この冬をいかがお過ごしだったでしょうか? 2024年最

      • さやのもゆ      読書会ノート2024.1/20「おかげで、死ぬのが楽 しみになった」      遠未真幸/著 【概略版】          

        掛川ほんわかブッククラブでは、月に一度の読書会を、主に掛川中央図書館にて開催しております。 1月読書会は、年始めにふさわしい、特別企画の1日となりました。 テキストは「高校生が選ぶ 掛川文学賞」受賞作『おかげで、死ぬのが楽しみになった』(遠未真幸/著、サンマーク出版)。 同日午後より開催の「掛川文学賞・授賞式&交流会」との、タイアップ企画です。 当日(1/20)は、作者・遠未真幸(とうみ・まさき)先生がご来掛。まさに、読書まつりの1日でした。 ーーーーーーーーーーー

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          ホタルブクロの雫落ちてー初夏

          私、さやのもゆは、生まれ育った遠州・奥浜名地域での、身近な自然や出来事をエッセイに綴っております。 この度YouTubeにて、自作の朗読エッセイの配信を始めました。 5分前後の朗読になりますので、ちょっとしたすき間時間などに、ご視聴くださいね。

        さやもゆちゃんねる朗読エッセイ『密柑山の桜奇譚』

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        • さやのもゆ/読書会ノート2024.1.20 『おかげで、死ぬのが楽しみになった』 遠未真幸/著    【note版】ー第1部ー

        • さやのもゆ      読書会ノート2024.1/20「おかげで、死ぬのが楽 しみになった」      遠未真幸/著 【概略版】          

        • ホタルブクロの雫落ちてー初夏

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          朗読エッセイ サルトリイバラをさがして さやのもゆ

          さやのもゆ、と申します。 生まれ育った奥浜名湖の日常風景を、エッセイにしたためております。 この度、自作エッセイを朗読したものを動画にて配信させていただきました。 お時間頂けましたら、ご視聴ください。

          朗読エッセイ サルトリイバラをさがして さやのもゆ

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          サルトリイバラを探して        さやのもゆ

          年々暖かくなってきた、冬の季節。 今年の紅葉は、色づく前に葉っぱが散ってしまうもののようだ。 休日の午後になると、母とふたりで、都田川の堤防をウォーキングするのが日課になっている。 12月初旬の日曜日のこと。この日は、いつものように河川敷に車を置いて、堤防の遊歩道を歩き始めた。だが、一週間前からは澪(みお)つくし橋を左に見て、数百メートル南のところで迂回しなければならない。 理由は、これより先で都田川の河口を渡る、細江大橋までの堤防工事が始まっていたからである。 すでに歩道

          サルトリイバラを探して        さやのもゆ

          富岡のコスモス       さやのもゆ

          八月の終わり。 初秋に咲かせるコスモスの、種まきが始まる頃だ。 私の記憶のなかで、すぐに取り出せる引き出しには、常に一枚の写真がしまってある。 ―山の端に近い西日が斜めに差し込んでおり、赤土の地面に三脚を立て、カメラを構える父を照らしている。帽子の影に表情が隠れてはいるものの、眩しそうに空を仰ぐ横顔は陰影深くーいつもの父が、そこにいた。 しかし、写真を撮った母は、こう言った。 「お父さんは、この時にはもう、痩せていたんだね。お母さん、ちっとも気づかなかった。」  父は、2

          富岡のコスモス       さやのもゆ

          『破船』に見る村の民俗と作者・吉村昭について     さやのもゆ

          『破船』吉村昭/著(筑摩書房、1982) 本書は、あらすじ等の先入観が無い状態で読み始めた。これが幸いして、物語の世界観とその展開に強く引き込まれていったのを記憶している。まるで、文章を追いかけるように、一気に読み終えた感があった。 もっとも、これは同作の他著にも言える事だが、吉村文学は、一旦紐解いたら最後まで、読者を捕らえて離さない。その牽引力は一体処からくるのだろうか? 作者・吉村昭は、日本の歴史上のさまざまな人物または事物に焦点を当て、重厚な記録文学作品に結晶した数々の

          『破船』に見る村の民俗と作者・吉村昭について     さやのもゆ

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          朗読エッセイ『ツワブキの朝に』さやのもゆ

          朗読エッセイ『ツワブキの朝に』さやのもゆ

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          ツワブキ―石蕗―の朝に② さやのもゆ

          我が家には、ツワブキ(石蕗)の鉢植えがある。フキの葉を深緑に小さくしたようなそれが、年がら年中、土も見えぬほどに生い茂っており、毎年秋になると花を咲かせる。母によれば「ツワブキは、神社の秋祭りの頃に花が咲く」という事だった。が、今年の夏が去年にもまして暑かったのが影響してか、十月半ばにお祭りが済んでも、花は咲かなかった。その頃は漸く、まだ青いつぼみが葉っぱの上に顔を出したばかり、茎も短いままであった。  母は心配したが、暑さが和らいでくると、茎が生長を始めた。これを長く伸ば

          ツワブキ―石蕗―の朝に② さやのもゆ

          浜松の象徴/松菱百貨店⑦さやのもゆ

          僕は1942年(昭和17)、生まれ。現在は浜松市天竜区山東(やまひがし)に住んでいますが、中野町(なかのまち・浜松市東区)に生まれ育ちました。  僕が子供のころに知っていた松菱百貨店が、浜松の街で一番高いビルだった事は覚えてる。あの位の高さのビルって、他に有ったかどうか覚えが無いもんな。  何でも、昔は海からも見えたそうだけど・・まあ、見えるだろうな、高さが30mもあるんだから。だから戦争の時、米軍の沖合い(遠州灘)からの攻撃(艦砲射撃)で、標的(ターゲット)にされたんだ

          浜松の象徴/松菱百貨店⑦さやのもゆ

          阿多古川を遡る

          暑い盛りの日々は、少しはなりを潜めたものの、まだまだ夏は続きそうだ。  この日は昼過ぎより、ドライブを兼ねてウォーキングに出掛けた。いなさ湖(都田川ダム)にしようか、それとも天竜区の熊(くんま)地区に行って川沿いに遡る道を歩こうかと迷っていたが、都田町は藤淵橋の袂で、後者に決めた。道順的には国道を使って天竜区回りでアクセスする方が楽なのであるが、せっかく空がくっきりと青いのだから、高所からの眺望目当てで山越えの道ー引佐町久留女木より中代峠を町境越えして天竜区懐山地区を下り、阿

          阿多古川を遡る

          ホタルブクロの雫落つ-初夏      さやのもゆ

          五月。今年もまた我が家を囲む細葉の生け垣には、葉影の奥からホタルブクロの茎が細い竿をいくつも差しかけていた-蕾の重みにしなりつつ、日毎に花色を染め上げていきながら。しだいにふくらかな花の形をととのえていく姿を見るにつけ、近いうちに静かに弾けて、花びらの縁をちょっぴりつまんで咲くところを想像しては、その日を心待ちに過ごして迎えた朝であった。  色づき始めた頃の蕾は朱を筋状に差した茜色をしていたのだが、日毎水に晒して染め残るように色を重ねながら、花弁の芯から赤紫に昇華して釣り鐘

          ホタルブクロの雫落つ-初夏      さやのもゆ

          奥浜名感懐-引佐峠-/さやのもゆ

          五月の連休もあと数日と迫った午後。母の実家である三ヶ日の祖父母のお墓参りに出かけた。  国道365号を西進し、天浜線西気賀駅の先で右折して踏切を渡る。さらに山手に続く狭い坂道を上りきると、広域農道「オレンジロード」に合流する。引佐町奥山地区を起点に谷を遡って山腹を巻き、町境の尾根を乗っ越して上下の起伏を繰り返しながら、三ヶ日の摩可耶地区まで延々と続く道である。西気賀からの合流点より三ヶ日町境、引佐峠までは急勾配な上り坂が、ほぼ直線的に山腹を切っていく。その、尾根を大きく回り込

          奥浜名感懐-引佐峠-/さやのもゆ

          「僕も、アヤメを植える」       さやのもゆ

          私には、「お父さんの菖蒲」と呼んでいる、父が生前に自ら植えつけた菖蒲の鉢があり、今は母が世話をしている。今年は去年にも増してたくさんの蕾をつけており、最初は葉の付け根を真紅色に染めていたものが、次第にふくらみ始めた。そして、茎を上へと伸ばしながら先端の萼を割き、重厚に折り畳まれた紺青の花片が螺旋を解くように、類い稀な造形を現わした。この一輪を始めに次から次へと花は開いていき-今日は六輪の花が咲き揃った。「一度にこんなに咲いているのは、たぶん今日までだね。」母はそう言って写真に

          「僕も、アヤメを植える」       さやのもゆ

          夏を送る 2   さやのもゆ

          今から19年前の8月6日、母方の祖母は87歳で亡くなった。脳梗塞に罹って引佐の病院に入院したのは6月のことだったが、ある日を境に見る間に症状が悪化し、口もきけなくなってしまった。四十日間にわたる叔父や母の献身的な付き添いもかなわず、怖れていた最期の時はあまりにも早く訪れてしまった。  亡くなる前日の午後3時過ぎ、会社にいた私のもとへ母から電話があり、祖母の容態が急変したことを知らされた。急いで病院に駆けつけると、その時意識のあった祖母は私に気づき、赤い眼を潤ませて顔をそむけ

          夏を送る 2   さやのもゆ