見出し画像

芸ではねのける

 SpotifyのPodcastで霜降り明星のANN0を聞きながらこの文章を書いている。騒動のあったせいやさんが終始「ポケひみ」というコーナーを基盤にずーっとボケ続けて、ずっと粗品さんがツッコみ続けている。

 ふだんは髪の毛のセットもせず、私服で行っているのに、この日ふたりは正真正銘の正装である漫才衣装で髪の毛もしっかりセットした状態でマイクの前に座っていた。

 ふだんしもふりチューブとANN0でしか彼らを観ないので、TVでの立ち振る舞いはよく知らないけれど、ふたりは好青年でありつつも、そのキャッチーなキャラクターからどこかぶっ飛んだ狂気が漏れ出しているという印象があった。

 騒動後初の露出となったANN0で「自分たちはお笑いタレントではなく芸人なんだ」という信念を態度だけで示していた。コーナーの元ネタになっているアグネス・チャンの「ポケットいっぱいの秘密」の歌詞は、もしかしたらせいやさんの本音なのかもしれない。

 怖いくらい肝が据わってる。でもそれも、お互いを自分にとって最強の相方だと思ってるからできることなんだろうな。

 ネットニュースではこの日のANN0でのせいやさんの行いを「騒動には触れず」という7文字に変換していた。この日の内容についてまったく知らない人が読んだら、いつもどおり楽しくラジオで軽妙なトークをお届けしただけに見えるだろう。

 それがなんだか悔しい気もしたが、でもまあ、わかる人だけわかってたらいいのかなあとも思う。

 ふたりがこういう行動に出てなかったら、せいやさんはきっとずっと先輩たちからも世間からも「ここではいじくったらあかんで」とか「リモートセックス」とか言われていじられてただろう。でもこれだけのことをしたら、先輩たちも「お前すごいな~!」「肝据わってんなあ!」「ようやったなあ!」くらいしか言えないんじゃないか。

 なにより正反対のふたりが、お互いをこれだけ認め合って信頼している関係は、本当に素晴らしいし羨ましい。自分たちの美学を貫く姿も感心する。攻撃を躱すのでもなく、反撃するのでもなく、自分たちの土俵ではねのけた霜降り明星。ふたりの圧倒的なパワーを感じたANN0であった。

 あと余談として、芸人さんのプライベートとかどうでもいいけど、生きるの下手なせいやさんにはいい女の子と幸せになってほしいなと心の隅っこで思うのでした。

最後までお読みいただきありがとうございます。