運命的な出会い?(1)

 7月のとある週末、内陸に行った帰りに遠野の奥地に足を踏み入れました。この前聴いた建築家のトークショーの中に登場した、施設?住宅?をこっそり拝見する、というのがその目的。(このテキストは公開設定がオープンなので、施設名は書きません。あしからず)
 おおまかな場所は分かっていたのでたどり着けるかとおもっていたら、明らかに近くに来たはずなのにまったく分からず……。しかも緑の濃い鬱蒼とした砂利道。住所も電話番号もネット上にはないので、途方にくれていました。

 そこに、私たちの前を走っていたジムニー(森林組合車両もジムニーなので、わたしは勝手にジムニーに親近感を感じています)が戻ってきて、運転席から華奢なおしゃれな女性が声をかけてきました。
 彼女は、その施設(けっきょく、家というよりはプライベートな施設、といった趣きのものでした)の人と会う約束をしていたのですが、やはり場所がわからず、しかも携帯の電波が入らない、ということで、これまた途方に暮れていたのでした。
 電話を貸してあげてようやく場所が判明したので、私たちも着いて行かせてもらうことに。うーん、ラッキー♪

 たどり着いたその場所は、馬ッコ用の庭と複数のおしゃれが建物が存在する不思議な空間。あとで聞いたところでは、ざっくりいうと、馬をも含む「他者」と対等な関係性を築くライフスタイルを考える施設……とのこと。
 森の中に、そんな空間があるだけでもびっくりだったのですが、さらなる驚きは、ジムニーの女性が、遠野に引っ越して3日目という方だったこと。お話してみると、クリエイティブ方面(雑な説明で申し訳ない)のお仕事で出産を控えていて、とくに遠野に縁があったわけではないけれど、知り合いを訪ねたりして10回ほど遠野に来るうちに移住を決めたということでした。東京にもお家があるようなので、いわゆる2地域居住というものですね。「なんとなく田舎暮らし」「なんとなく東京以外にも拠点を」という感覚かとおもいます。彼女のまわりのフリーランサーでも同じような志向の方は多いそうです。やっぱり、いるところにはいるのです。

 遠野に来て3日目の方と出会ったことだけでもびっくりだったのですが、さらにさらに、勝手に不思議な縁を感じたのは、わたしがこのところ、「なんとなく田舎暮らし」層に岩手に来てもらうことは可能なのか……いやもしかしたら難しいのではないか、と思い始めていたからです。東京での移住フェアなどに顔を出した結果として。
「なんとなく田舎」層はみんなイケダハヤトのように西に流れて岩手を選ばないかも、とやや悲観的に思っていたところに、目の前に「いた!」というのも嬉しかったし、さらにそれがすてきな方だったので、輪をかけて嬉しかったです。
やっぱり、センスのいい人は岩手を選ぶんですね♪ と。
そしてそういう方に選ばれるのはやっぱり、遠野なんですね、と。

 「やっぱり」ってなんだ? と思うむきもあるかもしれませんが、たぶん交流人口とか移住定住とかにかかわっている人にとっては「やっぱり遠野」という感覚は共感してもらえるのではないかと思います。
遠野が「やっぱり遠野」と認識されるに至った来歴というか経緯を掘り下げながら、「なんとなく田舎」で遠野を選んだ人たちにささったポイントを分析することで、岩手のセールスポイントがもっと明確になるのかなと感じました。もちろん、それを釜石や九戸、岩泉(地名のセレクトに他意はありません)に応用できるとはかぎりませんが。

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