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英語学習相談3 英語脳って何だ?

通常、英語脳と言うときは、例えば頭の中に茶色い犬のイメージを浮かべて、映像を直接英語で説明出来るような回路が出来ていることを指すんじゃあないかな。少なくとも、それが出来れば、和文英訳、英文和訳のステップを飛ばすことが出来て、使える英語に近づいてくる。英語教材にもこれを利用したものは多くて、画像と短文がセットで出てくるロゼッタストーンやduolingo などそこを目指していて私はわりと気に入っています。

ただ大人に英語を教え始めてから、人によっては、映像を思い浮かべることが不得意だったり、日本語で考えてしまうパターンから抜けられない傾向が強いこともあるのを体験して、と言って「あなたは英語に向いていない」と突き放したり、その考え方をやめろと無理いじするのは教師として無能だろうと思うようになってきました。素早く変換できれば英語脳ではなくても実用的な英語にすることはできるだろう。自分がまだ日本語母語の縛りから抜けられなかった頃に何をやっていたかを考えてみると、「瞬間英作文」式でやっていく方法、つまりまず日本語で考えたことを英語になりやすい形の日本語にして、素早く英語にする訓練から始めるのも悪くないと思うようになってきました。この方式の良いところは日本語を排除しなくて良いので、不安が少ないことでしょうか。

日本語を排除しない場合も、日本語をそのまま英語にするのは避けた方が良いし(通じにくい)、英語にしやすい日本語を作る時に「英語はこういう風に考える」原理を理解しておくことは必要です。

日本語と英語の一番の違いは語順だとういうのは誰でも納得でしょう。日本語は母語だという以上に思いついたことを言葉にしていきながら、この文を最後にどう締めようかと考えるというなかなか便利なことが出来る言葉なので、「話す」緊張が少ないように思います。

英語も慣れれば考えつつ、ずるずる話せるわけですが、それでも、主語を意識しないと先に進めません。

主語は自分か、人か、ものか、それは単数か複数か、主語になったものの動きをどの動詞で表すか、それが起こったのは現在か過去か、その出来事と今の自分はどう関係するのか、あたりは決めてから口を開くかペンを取る必要があります。日本語ではこういったことを意識していないことが多いので、習慣になるまでは結構エネルギーを使いますし、完了形の使いこなしなど非常に難しく感じられて当然。

実は和文英訳のせいで英語が出来ないのではなく、組み立てで慣れないことをすることに力尽きてしまう人も多いように思います。(もちろん、やってみたら楽に乗り越えられてしまう人もいて、語学の面白いところです)

さらに、日本語が細やかな感情にこだわるなら、英語は物理的な情報というか位置関係に非常にこだわります。

「海を望む断崖の上に立った」という一節で火サスのお馴染みの光景を思い浮かべて当然なのが日本語なら、「主人公がスロープを上り、崖の上に建つと右手から強い海風が吹いてきて、目の下には白く泡立つ海が見える」のが英語。「目的の駅に着いたのがすっかり遅くなってしまって心細くなった」のが日本語なら「列車を降りて誰もいない改札口を抜けると駅の外にも誰もいなくてタクシーもいないのでしばらく立ち尽くしていた」のが英語。

「ああ、そう言うんだ」と思える人はだんだん英語的なものの見方をマスターしていくけど、無駄な情報ばかりで意味わからんと感じてしまうと、またそこに越えにくい壁が発生する。もちろん逆方向も同じで、日本語を話そうとする英語人は時として非常にくどくなってしまって、理解が難しくなってしまう。

単語や文法以上にこのあたりの難しさがあるのが日本語と英語のように思います。

それを踏まえた上で、とりあえず現実的な情報のやりとさえ出来れば良いと割り切れたら、英語脳への道は開けるように思うんです。




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