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天草の民宿

 もう6年も前のことになる。
 熊本地震が発生した。
 あの熊本城の石垣が一部崩壊して、無惨な姿が記憶にも新しい。当時の痛ましい姿は、綿々と続く復旧工事により補修されている。もう暫くすると往時の姿を取り戻すだろう。

 その年の五月連休に鹿児島への旅を企画していた。その中間地点の天草の民宿を予約していた。その直前に発生した地震であり、民宿は営業しているのかと心配になり電話を入れると。

 営業は継続しているらしい。そればかりか「来て頂けますか」と切実な声があった。キャンセルが多いのだろうかと思い、食事のグレードをあげて再予約をした。ほっというため息が聴こえてきた。
 
 天草の方もかなり揺れたらしいが、大きな被害はない。道路は寸断されているので、そこからJRで熊本市内に行き被害の程を思い知った。夕食は伊勢海老尽くしの豪勢なもので驚いた。私以外の宿泊客はいなかった。
 それは大将のお気遣いだったことと思う。

 そしてこれが翌朝の、ほんの些細な朝食だそうだ。


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