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わたしがメイクをする理由。

あなたにもっと、近づきたい。見つめ合いたい。触れ合いたい。だから、昨日までのわたしを、卒業します。

やられた。この台詞を聞いた瞬間、そう思った。
白石麻衣が語るこの台詞はまさしく、わたしがメイクをするときに思うことだったからだ。

わたしはいつだって、昨日の自分より可愛くありたい。毎日毎日、魅力を重ねていきたい。

昨日のわたしから、ただ変わる。それだけではだめなのだ。変わるだけじゃなくて、一歩前に進みたい。だから私は、「卒業する」。

このCMに心を射抜かれたわたしは、次の日のバイトの帰り道、ドラッグストアでマキアージュのコーナーへと走った。テスターを片っ端から試していく。赤、ピンク、オレンジ…鮮やかな橋が、手の甲に何本も架かる。手を、右へ、左へ傾け、光の反射具合を確認する。

よし、これだ。そう思って、限定色70を、レジへと持っていく。

家に着くまで待ちきれなくて、駅のトイレで箱を開けてしまう。
鏡に向かってわずかに口を開く。わたしの唇が、少しブラウンの入った、落ち着いた赤へと染まっていく。

赤系の口紅を買ったのは初めてだった。ピンクやベージュの無難な色で済ませていたわたしが、初めて自分の意思で大人の色を選んだのだ。一歩進むために。

明日もあの人には会わなければならないだろう。まだ見かけると胸が痛んでしまう、その度にまだ好きだと苦しいほどわかってしまう、あの人に。

それでもこの口紅をまとえば、そんな自分を卒業できるかもしれない。あの人のことを想って泣いていた、あの頃の自分から。

そう信じて、鏡の中の自分を、強く見つめ返す。白石麻衣には及ばないけれど、なかなか美しいじゃないか。

***

資生堂のコラム、「偏愛!資生堂」。クリエイターがそれぞれの思い入れのある資生堂の製品について語るコラムです。その中の鳥飼茜の素敵なコラムに触発されて、マキアージュのドラマティックルージュをテーマに、わたしも一本書いてみました。

http://hanatsubaki.shiseidogroup.jp/love/4644/

ちなみに出てきたCMはこちら。白石麻衣ちゃん、美しい…。
https://youtu.be/njU8w1a4L-c

実際のエピソードとは少し、いやだいぶ異なっていますが(笑)、ドラマティックルージュの限定色70は、本当に愛用している口紅です。発色が本当に綺麗なところが気に入って、毎日飽きることなく塗り続け、もう2本目もなくなりそうなくらい。

わたし自身、メイクすることは大好きです。女の子に生まれて不便だなあと思うこと、大変だなあと思うことはこのご時世多いけれど、そんな気持ちを払拭してくれるくらい、可愛くなれるのって嬉しくて、素敵なことです。

普段のエッセイとはだいぶテイストが異なりますが、困惑しないでいただけると助かります!笑

こういうコラム、初めて書いてみたけど、めちゃめちゃ楽しいですね。また機会があれば書きたいなぁと思います。




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