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空想建設ノンフィクション映画『前田建設ファンタジー営業部』を観た

前田建設工業は実在の企業で、この映画に出てくるファンタジー営業部も実在の営業部である。

ダムやトンネル作ってるガチガチの大手ゼネコンが、何を思ったのかWebコンテンツでアニメ世界の施設を実際に施工するとしたらという仮定に基づいて設計し、見積もりを出すという狂った企画を始めた……のが、話題を呼んで書籍化、さらに映画化しちゃったわけでした。

こういう、ネタにマジレスをしていくスタイルは好きなので、わりと楽しみにしてました。

若手の広報課の土井君が、ある日上司の思いつきで始まったマジンガーZの格納庫を作るWEB企画に巻き込まれて(しかもボランティア)最初は成り行きで仕方なく参加していたのに、だんだん後に引けなくなったり、現場を見てマジになったりして、本気企画に成長していく、という物語である。

専門家による本気のバカはやべえということがよくわかるいい映画だった。

この映画に関してはそれ以上のストーリーはほぼないので、ネタバレも何もない気がするのだけど、一応ネタバレはスクロールしてよんでくれよな!









前田建設の若手社員の土井君は、大学の頃は遊んでいたけど、社会人になってからは粛々と日々を過ごすちょい枯れ系男子である。

ある日突然上司からマジンガーZの格納庫を設計する見積もり出すWEB企画を持ち出され、その話にうっかり乗ってしまった数人の社員と共にボランティア(という名のサービス残業)で予算ゼロのファンタジー営業部に抜擢されてしまう。

キャスト紹介がいちいちファンタジー風特撮になってたり、芸が無駄に細かい。

しかも実はこのキャスト紹介、後々の展開の伏線である。

そう、このキャスト紹介、マジンガーZ格納庫における各キャストの「担当部分」を表すのだ。

情熱を持って企画を立ち上げた部長→炎
設計担当→書類を舞い上がらせる風
掘削担当→トンネル現場にいる土
情報担当→パソコンを操る光
機械担当→ダム現場にいる水

何で機械担当が水かというと、マジンガーZ格納庫において、汚水処理場の水を割って出てくるシステムを、ダム技術を応用して設計するからなんですね。

いやホント芸が細かいな!

建設業界用語もバンバン出てきて、謎の知識が蓄積される。

最初は色物企画として、メンバーにも他の社員にも白い目で見られていたのに、だんだん理解して理解されにいくにつれて「地球を守るためなんだ!(作らないけど)」「(アニメキャラが)俺たちの見積もりを待ってる!(作らないけど)」とぐるぐるお目目になっていくあたり、最高に極まったオタク感あって良い。

執拗に繰り返される男子トイレシーンはなんなんだwwwと思うのだけど、飲みにケーションとか煙草会議とかでやられるより現代的……なのか?

小便のサウンドエフェクトを細かく表現してくるのをやめろ!!ww

あといきなりジェット噴射みたいな小便して去っていくおじいちゃん、エンドロールで写真出て来たけど、詳しいところ見逃したけどまさか創業者さんか???w

企画メンバー内で唯一の女子を演じている岸井ゆきのさんの宇宙演技(スペキャ顔のことではなく、居眠りのことを「宇宙に行く」というのがこの作品である)がマジで神がかり的に上手くて「やべえな、この人美人なのにこんな顔出してて大丈夫かな」と心配になるくらいだった。白目の剥き方が真に迫りすぎている。

企画が大体まとまって一体感に包まれた瞬間、まさかの「マジンガーZ格納庫、横移動機能付き」が判明してプロジェクトが炎上しかけるなど割とリアル社会人の胃袋にダイレクトアタックしそうなトラブルを越えながら、謎の熱さで苦難を乗り切っていく。

いや、ロボットが横移動したことに気づいて炎上するプロジェクトってなんなんだよ……。

マジンガーZ格納庫の完成(エア)をした時は何となく拍手をしたくなる気持ちになってくるので不思議だ。

Yahooに取り上げられて閲覧数も増えて、企画の続投が決定、ハッピーエンドなのであるが、書籍や映画で入った利益はきちんとボランティアしてた社員に還元してあげてほしいw(実際の企画メンバーの人たちは、就業時間内にやってたり残業手当出たりしてるのかもしれないけどw)

エンドロールがビジネス風で凝っていたので、ぜひ最後まで見てほしい。

劇場が明るくなってからふと客層を見たら、初回放送か漫画版リアタイ世代であろうおじいちゃんとか、ロボット好きか建設好きかわからんがスーツのおっさん、ナウなヤングがそれぞれ同率くらいいる謎の客層の分かれ方をしていて面白かった。

プルプルしたおじいちゃんが杖をつきながら見に来てた。

長生きしてくださいね。



ちなみに、今はロケットパンチを作る見積り中だそうです。

>>前田建設ファンタジー営業部(映画じゃないリアルの方)

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