【小説作品】ルネの首 シリーズ

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【小説】『ルネの首』キャラ紹介

第1部も終わったところなので、note連載中のオリジナル小説『ルネの首』シリーズのキャラクター紹介をします。

>>『ルネの首』小説本編はこちら

【ルネの首シリーズとは】

Twitterで不定期連載しているツイノベを、小説に再構成してnoteで連載しているSFストーリーです。

生首ニートを自称する、首だけの謎生物ルネと、浮浪児のナオと、浮浪児たちのリーダーのセツェンが、人喰いの大きなクモから

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ルネの首 #26 病気のネズミは夢を見た

 ずいぶんと長い夢を見ていた気がする。
 夢の中で、セツェンは青と緑の髪をしていなかった。
 まだ黒い髪で、隣にはナオと面差しの似た少年がいた。
「なかなか下のこと覚えているやつ、いないからさ。お前の本当の名前がわかって嬉しいな」
 ――トキ。研究所で出会った、ナオの兄。
 恐らく、セツェンにとっては唯一友人と呼べる相手。
「トキ、ぼくは、どうすればいいだろう」
 自分の声が、いまよりも幼い。

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ルネの首#25 ネズミ実験所の子供

 上層にある研究所は七つ。アラク――ナオが鉄グモと呼んでいる例の生物の研究だけではなく、駆除対策、エネルギー転換、外殻の活用など、様々な研究を行っている。食料の生産や医療研究なども研究所が行う。
 その中でも、セツェンやサリトのいた第六研究所は、上層の『宗教色』が特段に強い場所だった。つまり、人間至上主義者のための研究所である。
 人間の手で全てを成す、という目標の元、アラクの掃討も人間が行うべき

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ルネの首#24 この世界ではよくあること

 結論から言えば、ナオは死ななかった。
 ただ、生ぬるい液体が顔に落ちてきた。
 見上げると、よく知る青と緑のグラデーションの髪の毛がそこにあった。
 思えば、ナオの記憶はこの青と緑の鮮やかさから始まった気がする。それより前のことはおぼろげで、唯一良くしてくれたはずの兄のことすらよく思いだせず――。
「セッちゃん!」
 アズの声が聞こえる。意識が現実に戻る。
 青と緑の鮮やかさの中に、赤が混ざる。

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ルネの首#23 モノは壊れるヒトは死ぬ

 人は慣れる生き物だ。最初は及び腰だったナオも、一か月もたてばだいぶ鉄グモに動じなくなってきた。
 ブルとグリは、声の届く範囲であれば少し離れていても命令を聞く。だから鉄グモを発見した時点で、ある程度足場が確保でき、逃げやすい高所を探す。
 逃げやすい場所がない場合は、鉄グモが即座に攻撃をすることができない後ろ側から、ブルとグリに命令を出せるギリギリまで近づいてから遠隔攻撃。そして声に気付かれたら

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ルネの首#22 頭の中のホットケーキ

 それから少し経った後、急に甲高い警告音が部屋に響き渡った。
「うぎゃあ!」
「ありゃ?」
 驚いて飛びあがったナオとは裏腹に、アズは緊張感もなく「キューブAB」と呼びつける。やってきた黒い立方体二つは、アズの目の前に光のウィンドウを表示した。
 どうやら街の地図らしい。
「セッちゃん、下層F地区一〇番、ランクF」
「……練習台にちょうど良さそうなのがきたな」
「え、え? つまり……」
 混乱する

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ルネの首 #21 宗教と歴史の人類学

 それから更に数日後、アズに呼ばれて、ナオはセツェンと一緒に彼女の家に行くことになった。
 一応、ルネも背負っていく。置いて行こうとしたら、激しく拗ねられたとも言う。
「救済機関の登録は済ませておいたから」
「誰にも会ってないけど、ぼく」
 この数日間、セツェンとルネと子供たちとしか顔を合わせていない。この面子で同じ家に住んでいるだから当たり前だが、今日になってアズに呼ばれたわけだから、ナオは何も

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ルネの首 #20 思春期と三歳児の生首

「あれ、ナオちゃん……とリタさん。珍しい組合せだね」
 アズは出迎えるなり、目を丸くした。それはそうだろう。ナオだってまさかリタと一緒になるとは思わなかった。
『僕もいるからな』
「わー、ルネ君さすがぁ。ホイホイ出歩いてくれるわ……」
『褒めていないのは理解した』
「バレてないならいいけどさぁ」
 愚痴を言いながらも、アズはすんなりとリビングに通してくれた。つい最近まで、子供たちと一緒に雑魚寝をし

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ルネの首 #19 子供たちは夢を見る

 それからしばらくは、平穏な日々が続いた。
 子供たちは、ここのところずっと、ルネに算数を教わっている。今日は掛け算と割り算。
「簡単な計算はできた方がいいけどさ、掛け算割り算はまだ難しいんじゃないの?」
『驚け、ナオ。イサは算数が得意なんだ。掛け算の九九は全部覚えたし、割り算も簡単なものならもうできるぞ』
「え、マジ……?」
 ナオは割り算が苦手だ。思わず手のひらで指を数える。四歳も年下のイサに

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ルネの首 #18 生首ニート先生と相談事

「ねぇ、ルネ先生さー」
 夜になって、子供たちが寝静まったのを見届けた。その後、セツェンが仕事に行ったのを確認して、ナオはルネを呼び出した。
 セツェンは、今日は巡回するだけだと言っていたが、鉄グモのいそうな場所を確認して帰ってくるだけにしても、一時間は戻らないだろう。
 人間と同じような睡眠を必要としないルネは、ナオの呼びかけにすぐ答えた。
『君の方から先生扱いをしてくるとは、どういう風の吹き回

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