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20代男性の【育休で社会と離れ不安】をコーチングするとしたら?

😞 今回は、相談者が「育休という状況に振り回されている」事例です…🙂行動の選択理論でコーチング人生案内#158

 20代の男性。建設会社で早朝から夜遅くまで仕事していました。年明けに子どもが生まれ、4月から育児休業を取得しました。

 育休中は食事の準備や片付け、洗濯、掃除などの家事全般やおむつ替え、入浴、絵本の読み聞かせなどを行いました。娘の成長を間近に見られることに喜びを感じています。自分としては、段取りよくできていると思っています。

 しかし、これまであった社会とのつながりが全くないことが不安です。子どもはかわいいのですが、言葉の通じない相手と一日中いることもストレス。家事育児のスキルが少し身に付いた程度で自己嫌悪に陥ることもあり、せわしなく働いていた方がよかったのかと思うこともあります。

 育児休業を終えると、かけがえのない時間だったと振り返れると思うのですが。心の持ちようを教えてください。(静岡・Y男)

(読売新聞2022年8月24日)

✅次のようなプロセスで、相談者の答えを引き出す質問、コーチングの展開を考えてみました💦


▶︎ 相談者の「困りごと」をまとめてみると

・育休により、これまでの社会とのつながりが全くないことが不安で、困っている。

・言葉の通じない子どもを一日中相手にしていることもストレスで、困っている。

・家事育児のスキルが少し身に付いた程度で、(身についたこともあまりなく)自己嫌悪に陥ることもあり、せわしなく働いていた方がよかったのかと思えて、困っている。


▶︎ 相談者の「困りごと」を「願いごと」に転換してみると

・育休においても、社会との繋がりを持ちたい。

・育児のストレスを軽くしたい。

・育児休業中にも、これからの役に立つことを身に付けられるようにしたい。(推測)

▶︎ 相談者の困りごとのパターンを考えてみると

  • 願いごとが叶わない、願いごとが不明確

  • 相手(幼児)や状況(育児休業)に振り回されている

  • 「自分」に自分が振り回されている
    (注:この場合の「自分」は、自分の気分や感情、喪失感、記憶、思い込み、もう一人のダメな自分、完璧主義の自分など指します)


🚩 以上をふまえて、次の質問や展開を考えました

・20代で、会社で早朝から夜遅くまで仕事していたところ、育児休業をとることができたことは、中長期の目で見たとき、大変な幸運なように思われます。ぜひ、子育てはもちろんのこと、できるだけ有意義なものにしたい、というあなたのお気持ちを大事にされてください。

・子育ても、一種のセルフマネジメント(自分が持つ、体力や、時間、お金、情報、経験、人間関係等の資源のやりくり)だと考えれば、あなたは、食事の準備や片付け、洗濯、掃除などの家事全般やおむつ替え、入浴、絵本の読み聞かせなど、娘の成長に喜びを感じながら、段取りよく、マネジメントをされていると思います。

・そのような中で、あなたが望まれている、「社会とのつながり」「身につけたいこと」「自分が理想とする育児休業のあり方」などが、具体的にどういうものかが、今一つ、よくわかりません。

これらの点について、それぞれ、あなたが考えていらっしゃる、できるだけ具体的なことを挙げてみてください。

・「会社でせわしなく働いていた方がよかった」とも、思われているようですが、「会社でせわしなく働くこと」によって、あなたは、具体的に、どんなことが得られると思われているのでしょうか?

・育児休業が終わったときには、「かけがえのない時間だったと振り返れる」と思われているようですが、どのような意味で、「かえがえのない時間」だったとして、振り返ることができることを、あなたは望まれているのですか?

将来振り返ったとき、育児休業では、こんなことができた、あんなことができたと、具体的に、どんなことができたと振り返ることができれば、満足できそうですか?

・奥さんとのこと、奥さんとの関係も含めて、「あなたの育児休業」がどのような時間であることを、あなたは望まれているのでしょうか。

一方で、奥さんは、どのようなことを望んでいらっしゃるのですか?

・以上のようなことを考えたとき、ちょっと変わった質問で、答えにくいかもしれませんが、今のあなたの「育児休業」の点数を付けるとしたら、10点満点で、何点くらい付けられそうですか?

・そして、あなたとしては、10点満点を目ざすのは、なかなか難しいかもしれませんが、現実的なところで、何点くらいのものにしたいですか?

・その点数に上がるためには、具体的に、今の状況に、何が加わったり、何が今と違うようになれば、あなたとして、その点数を付けられそうですか?

いろいろな観点から、幅広く、どんなことでも10コ以上、挙げてみてください。

・そして、もし、その点数に上げられることが、既に分っているとしたら、手始めに、一番簡単なことでかまわないのですが、どんなことを、早速してみたいですか?

・会社で働くことと、育児休業とでは、状況はかなり異なると思いますが、育児休業の今でも、あなたしだいでコントロールできる「あなたの自由域」は、相当広いものがあるように思えます。

ぜひそこで、あなたが望まれる、様々な願いごとの実現に、近づいていかれることを、応援しています。

・そのような、あなたが望まれていることを、少しずつでも実現して行けそうなとき、「子育てのストレス」については、今とどんな変化がありそうですか?

・以上のようなことを、ここまで考えられて、どんなことに気がつかれましたか?


今回は、以上です。

✅参考:回答者(大日向雅美さん)の言葉です💖

 建設会社という、男性的な職場で仕事に明け暮れていたあなたが、よく育児休業を取得なさいましたね。お子さんの成長にふれられた喜びはいかばかりかと思います。それだけではなく、ワンオペ育児のつらさ、わけても社会との接点が奪われる焦燥感と孤独感を味わっているとうかがって、あなたが育児休業を取得した意味は十分にあったと思います。これまで母となった女性たちが直面してきた定番の悩みを分かちあってくれる男性の出現に、時代はようやくここまで来たかと感無量でもあります。

 できればあなたにもう一つ経験していただきたいことがあります。それは地域デビューです。お住まいの地域にどのような子育て支援があるのか、行政のホームページを開き、実際に子育て支援センターや子育てひろばにお子さんを連れていらしてみてください。地域の方々とふれるチャンスです。子育て支援に足りないものはなにかに気づくことは、暮らしに深く結びつくあなたのお仕事にも役に立つことでしょう。

 そして、育休期間が終わればあなたは職場に復帰できます。ゴールが見えている分、頑張れるのではないでしょうか。あとは後輩や同僚の育児を応援するという活躍も期待したいです。

(読売新聞2022年8月24日)


✅ 以下、選択理論コーチングの補足です。

                😋 筆者独自の見解や表現も入っています.

1,相談者が満たせると幸せ感が増えそうな基本的欲求

  • 愛所属の欲求(愛したい、愛されたい、仲間でありたい、仲間がほしい)

  • 力・自己価値の欲求(自分が価値ある存在でありたい、認められたい、自分を認めたい)

  • 自由の欲求(自由でありたい、自由にしたい)

  • 楽しみの欲求(楽しみたい、学びたい、追求したい)

  • 生存の欲求(生存に必要なことを満たしたい)


2,選択理論コーチングの基本的な三角モデル


3,今回使った「選択理論の考え方のエッセンス」

🌻 選択理論の第1の原理
・自分の考え方や見方、行動は、自分が自由に選択できるし、変えられる、と考えましょう。
 
・自分には、未来に向って自分が幸せになるために行動する責任がある、と考えましょう。

🌻 「外的コントロールの心理」から「内的コントロールの考え方」に転換
・変わろうとしない相手(変えられない状況、環境)に、自分が振り回されていることに気づきましょう。

・自分は自分なりに、相手は相手なりに、それぞれが「精一杯の行動」をしていると考えましょう。

・同じするなら、いやいやでなく進んでする方が自分のコントロール感も高く自由度も広がると考えましょう。
 
🌻 相手の内的コントロールと行動、願望、欲求充足
・相手の行動も、自分のと同じく、ニーズや価値観、欲求を満たすための精一杯の行動なのだと考えましょう。
 
・相手が満たせていない、相手にとって大事なニーズや価値観が何かを考えましょう。

・「相手がしてほしい行動で自分がしてあげられること」があれば、積極的に協力し貢献しましょう。
 
・「人間関係を育む行動」を習慣にしましょう。具体的には、傾聴する、支援する、勇気づける、信頼する、受け容れる、尊敬する、意見の違いは交渉する、などの行動です。
 
🌻 自分の「現状の知覚と願望」
・自分は今、人生やキャリアのどのようなステージにいて(入って)、未来(次のステージ)に向って何を望んでいるかを具体的に考えてみましょう。

🌻 相手との人間関係(具体的やりとり)の願望-人間関係の距離感
・自分は相手(職場、グループ)との関係で、未来に向って、どのような距離感で、具体的にどのようなやりとりができる関係(叉はしない関係)でありたいのか(自分の立ち位置をどこにするのか)、そして、そうであることによって、自分は相手とどのような人間関係を得たいのかを考えましょう。

🌻 自分の「自分」との関係
・もう一人の「自分」も、「自分なりに精一杯がんばっているんだ」と考えましょう。そして、もう一人の「自分」の心の声を聴き、応援者として励まし、勇気づけてあげましょう。
(注:ここでいう「自分」は、自分の気分や感情、喪失感、記憶、思い込み、もう一人のダメな自分、完璧主義の自分などを指すものとします)

🌻 自分の欲求充足
・自分が満たせていない、自分にとって大切なニーズや価値観、欲求が何か、を考えましょう。

🌻 現在とっている行動とこれからの行動プラン
・自分が願っていることのために、今どんな行動をしているか、それをしていて実現できそうか、どんな新しい行動ができるかを考えてみましょう。 

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将来に向けての、自分の社会活動のプラットフォームとして、「選択理論でコーチング塾」のサイトを立ち上げました。選択理論とコーチングについても、わかりやすく紹介しています。よかったら訪問してみてください。

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