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シン・エヴァンゲリオン劇場版:|| ネタバレありの感想日記

最初にエヴァを映画館で観たのは友達に連れて行ってもらった立川シネマシティーのレイトショーだった、今から25年ぐらい前の話になるのかな?

その時はよく分かんないけど凄かったなあという極々一般的な感想だった。

その後のエヴァンゲリオンの映画はなんだか気恥ずかしいのもあって観てなかった。

勿論映像配信とかでは観たが、映画館に初日に行って、誰よりも先に見たいとか、誰かと一緒に観て感想を語り合いたいとかそういう事は考えもしなかった。

そういう冷めた人間が初日の朝七時開始の上映回に行くというのは、別に最後を看取るぞとかそういう気持ちでは無く、ただ公開一週間前に知り合いに会ったとき

「うぉー公開日決まった!まだ準備ができてない、早すぎる・・・」

という、テンションマックスな知人の話を聞いて、その熱を直に感じて、そういえば最初のエヴァ映画の頃ってそういう熱さあったなあと、僕も懐かしい気持ちになったからで

「確かに早い・・・だが時計の針は元には戻らないけど、自分の手で進めさせる事はできますよね?」

っとテンションマックスな人に迂闊に声を掛けてみようかと思ったけど言わなかった自分は歳を取ったなあとおもったのですが、そんな知人の方の様子も気になりつつ、他にも地元で初回上映に行く人が居るというので、いつもの出勤よりも早い時間に家を出て、近所の大泉学園駅からちょっと歩く映画館へと向かった。

同居の母親は「今日は出勤早いのね」と言っていたので「今からエヴァンゲリオン観に行くんだよ」とは言わず、愛想笑いして家を出て行った。

通勤電車はいつものようにマスクをした人達でそれなりに席が埋まっていて、月曜日平日だなあと言う気持ちでいっぱいになった。

大泉学園駅で降りると同じ回を予約した人と、待ち合わせしたわけでも無いのに会って一緒に映画館へ向かった。

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映画館までは時々歩道が狭く人とすれ違う時は縦に並ぶ、並びながらこの後仕事だ、僕は全休とりましたとかたわいもない話をして、鬼滅の刃の垂れ幕がどーんと久しぶりに映画館で映画を観るおっさんを迎えてくれた。

それなりの人混みの中で便利なQRコードで発券してくれる機械でチケットを発券して、もうひとり一緒の回を観るなあと言っていた人が居たが遅れてるっぽいのでとりあえずそのままコーヒーだけ買って入場する。

チケットの半券にはそれぞれエヴァの有名な台詞が1枚1枚にプリントされていたのだが、半券受け取った時には勿論気がつかなかった。

知人達がチケット獲れましたという深夜のLINEのやりとりを翌日の通勤電車の中で見ていて、とれるのかなと覗いたときに空いていた壁際の端っこの席に座ると、それなりに人は居たが完全な満員という感じではなかった。

上映前、知人が言っていた「大泉自動車教習所のCMが見れるのはここだけですよ!」っという話を聞いていたので「ずみずみずみずみ大泉」という分かりやすいフレーズが館内に流れると少しホッとした。

そして何となくしか覚えていない前回までのあらすじが流れると本編へ、何十年ぶりのエヴァの映画を映画館で観る事が始まった。

あの時、若かったときに観たように話の筋はまったく分からなかった、分からなかった事を分からないといえるくらいプライドは擦り切れたオッサンになった自分はただスクリーンに流れる映像を眺めていた。

前作でブチ壊れたニア・サードインパクトの世界、そんな世界でも避難して暮らしてる人々。そこには大人になったキャラクター達が居て、子供も生まれて生活していて、エヴァのパイロットだけ歳を取らずに子供のままだった。

大人になったキャラクター達は立派な大人で、周りの人と協調して優しい人間になっていた。

そんな大人達が今では既に日本から無くなり始めている古い鉄道の操車場や小さなホームと掘っ立て小屋しかない秘境駅で暮らしてる。

その姿に震災などの避難所生活を重ねることもあるだろうし、ぶち壊れた世界でも世界はしぶとくて人間は集まってすぐに暮らしを再開させるという姿が描かれてた。

巨大ロボットもビルからミサイルも出てこない、触れたら壊れるような小さな山間の集落が描かれているのが印象的だった。

そこからすったもんだあって、エヴァンゲリオンの話は終わった。

二十数年前に観た話が、何度かの公開延期を繰り返しても話は終わった。

終わったあとスクリーンの右端に終劇の文字が出たとき自然と拍手が出そうになったが、誰も叩いてないので音を出さない感じで手を弱々しく叩いた。

その後遅れて拍手する音が出たので自分も手を叩いて音を出したが、そんなに大きな音が場内に響くことは無かった。皆、足早に劇場を後にする、僕みたいに三時間膀胱の尿意と闘ってたのかも知れない。

帰りの通路で「この後リモートワークだよ・・・」と言う声も聞こえた、よく見たらスーツ姿の人も居る。これから出勤するんだろうと思わされた。

エヴァンゲリオン終わったし、さあこれから仕事だ。

まるで現実の世界に帰って行くようにみんな足早に劇場を後にする。

周りの人達はそんな風に僕には見えた。

それともパンフレットを買いに行列が出来る前になのだったのかも、僕もとりあえずと列に並んだら物販の列に並んでしまい、凄く買うまでに時間が掛かった。

一緒に来てた知人は「さわださんが物販買うなんて珍しいと思ってたけど、やっぱりパンフレットの列と間違ってたんですね(笑)」とバレてて恥ずかしかったけど、誤魔化しでグッズ買おうと思ってやっぱりやめた判断は間違ってなくてよかった。

もう一つ次の7時半の回に入場してた知人を待ちながら、近くのロッテリアで食事しながら待つことにした。

「三人居るからこのファミリー席っていうのに堂々と座れますね」と僕が言ったら「それは土日祝日限定ですよ」とファミリー席と書いてあると張り紙の下の説明文を読んでねと言われた。

三人で感想を言いながら、なんとなく「終わってよかった」という事が感じられた、前にエヴァ観たときはどんな気持ちだったけなあと思ったけど思い出せなかった。眠かっただけだったかも知れないが、今回は朝7時の回だけど全然眠くない。

そして、程なく別の回を観た知人とも合流してみんなで「終わった、終わった、よかった、よかった」という類いの話をした。

僕も満足した気持ちに浸りながら、ふと作品の中に何度も出て来た電車のシーンを思い出していた。

最近YouTubeプレミアムに入ってるおかげで観まくってる日本の鉄道、乗り鉄さん達の動画で、秘境駅や廃止される夜行列車や線路などを紹介してる動画の事を思い出した。

最初のエヴァンゲリオンの映画から、僕らの周りには新しく出来たものもあれば無くなったものも多い、いや、こう書いていて無くなったものの方が多いのかも知れない。

劇中に出て来たDATオーディオ、ワンダースワンはスマフォに統合されたし、劇中に出て来た護衛艦も戦艦も古くさい兵器になった。そう言えばエヴァって人工知能っぽいもの無いね、マギシステムとかも古いコンピュータのイメージではあるかなあと。

細かいモノはたくさんあるけど何よりも地方では鉄道はどんどん廃止されてバスに置き換わっているし、街も無くなった、いや、放棄された街は震災のイメージなのかも知れない、けど震災が無くても僕らの周りからは色々なものがノスタルジーとして絵に記憶され初めている気がする、それは自分が歳をとったからなんだろうか?

僕がエヴァを最初に観た後に生まれた人達にはスクリーンに映った映像を懐かしいと思うのか、それとも目新しい風景だとおもうのだろうか?

こうだと決めつけるほど知見も無ければ気力も無い僕には、シン・エヴァンゲリオンでみた綺麗で懐かしい風景がただただ印象的だなあと思った。

自分にはそれが制作者のメッセージだよなんて言い切れる自信も知見も勇気も無いので、ただ懐かしいとそう思った。

この後も自分の周りか色々なモノが無くなって、新しい姿に変わっていく。

それでも自分は死ぬまで変わらない自分のままだ。

エヴァンゲリオンっという話、日本で一番のめちゃくちゃ絵を描くのと動かすのが上手い人達が集まって作った作品を観ながら、残した風景をスクリーン越しに見て、押しつけがましい感じの無い、どこか懐かしい原風景とそこから生み出された新しいイメージが生んだ幻想的な風景を観て興奮と言うよりは静かに良いなあと思えるのはやはり観たモノをノスタルジーに頭が変換してるのでは無いかと、今書きながらそう思った、それくらいの時は作った方も観た方も重ねてるのかも知れない。それを老害と言われたらソレまでのような気がするが、うん、そうかも知れない。

「なんかブンダーに付いてた加速ロケットのノズルの並び方が旧ソ連のN-1ロケットのノズルみたいでしたねー」

とか、そういうことはどうでもよくて、ただ観た後に面白かったなあと興奮よりも静かな気持ちになってるのはやっぱりノスタルジーを僕はシン・エヴァンゲリオンに感じたのだろうか?

なんだか分からなかったので、ポロポロと書き始めてみたけど、どうやら結論としては

「やっぱりエヴァンゲリオンはよく分かんないけどおもしろいなあ」

っという事だろうか?

久しぶりに?いや初めてなのかも、公開初日に観て映画の感想を書いてみるという事をした。

それくらい僕にとって、シン・エヴァンゲリオンというのは何かを書きたくなる素敵な作品だった。

なんか家に帰ったらキーボード叩いて感想・日記を書いてみよう。

そんなことをシン・エヴァンゲリオンを見終わって、傘を差しながら帰るときに一人でボンヤリと考えていて、書いてみたのが以上の文章になります。

僕は初日にシン・エヴァンゲリオン観たのでこれで誰に会っても話が出来るぞ(ワクチン接種みたいなもんかなあ?)、Twitterの歯切れの悪いコメントを見てモヤモヤしないで済むぞ!と安心してますので、誰かシン・エヴァンゲリオンの話をしたかったらいつでも僕に声掛けてください!

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