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【沢登り】 天気、水位、降水量の確認方法

沢登りって岩の上を歩いて、崖を詰めて、時には高巻いたり、泳いだり、登攀したりするわけで、そこには滑ってこける、落ちる、溺れる、迷う、落石、動植物などのリスクがある。

これらのリスクの大きさはコンディションにより大きく異なる。岩が濡れていれば滑りやすくなるし、登攀には気を使うだろう。特に水量の影響は大きく、歩ける場所は減り、水は重さを増し、予期しないルートをとることが増える。

増水した川は平水時とは全く別のグレードであり、ちゃんと天気と水位を確認した上で沢に入りましょうよというお話。

① 天気

これはもちろん天気予報で確認するわけやけど、雨雲予測とピンポイント天気の2種類を併用するのがおすすめ。

SCW
地図でみる雨雲予測
局地モデル(2kmメッシュ):有料 308円/月(過去3時間実績は無料)。30分単位で雨量、雲量を10時間先まで
詳細モデル(5kmメッシュ):1時間単位で雨量、雲量を39時間先まで
広域モデル(20kmメッシュ):1時間単位で雨量、雲量を264時間(11日)先まで

雨雲予測はみんな大好きSCWで決まり。定番。気象庁や米国海洋大気局等の気象予測モデルをスーパーコンピュータで計算した気象予測で、精度が非常に高い。過去はGPVを使っていたが、SCWはこれに機能追加してスマホ対応をした後継版。正直使いやすいとまでは言えないが、これしかない。ひとまず使っておきましょう。


ウェザーニュース
ピンポイント天気
1時間ごと:天気、降水量、気温を38時間先まで
週間天気:日単位で天気、気温、降水確率を1週間先まで

ピンポイント天気については正直なんでもいいと思ってる。登山だと風速、山頂付近の気温という特殊な項目がほしいので専用の天気予報があるが、沢登りだと基本的に谷、樹林帯をいくわけで稜線メインではなく風速とか気にしない。

ウェザーニュースについてはフリップで登録した複数地点の天気をすぐに確認できる機能が便利、ピンポイントの単位が細かい気がする、なんとなく他の天気予報より精度が高く感じる、という理由でこれにしている。

ピンポイント天気で行きたい沢(複数)に近い場所の天気を確認して行く場所を検討、直前になって天気が際どい感じならばSCWで雨量と時間を見ながら入渓できそうな場所とタイミングを探す感じ。SCWは抜け道探しとして非常に優秀。

② 水位

当日の天気がよくても前に降った雨で増水していれば沢は入れない。山には保水力があり、雨が降った後の水が増える量と早さ、水が引く早さは地形、地質や森林によって結構違う。そのため過去の天気だけで川の状況は分からず、ある程度水量のある沢にいく場合は天気だけではなく水位をみて判断した方がいい。

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国土交通省が提供している川の防災情報で調べる。正直かなり見辛いページだけど、情報は有用。入渓する沢と同じ水系の観測所を選択 → 「観測所拡大図へ」→ 「河川の水位の時間変化」→「過去一週間分のデータ」を選ぶと以下のようなページが表示される。

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これで1週間分の水位変化が確認できるが、ひとつ大事な注意点がある。それはこの1週間の平均水位がこの川の平均水位に近いとは限らないこと。例えば、この南木曽の例で言えば1週間の水位が2.2〜2.6mの間で推移していたことがある。恐らく南木曽の平水時水位は1.4〜1.5mとかそのあたりだと思うが、上記の1週間水位を見たときにはデータ上では水が増えていることには気付けない。1週間というのは平水時の水位を知るためには全く十分ではなく、その点を注意しながら判断する必要がある。(誰かどこかで1週間以上のデータ or 平水時水位を確認する方法があればぜひ教えてほしい。。)

③ 降水量

天気予報ではこれからの天気は見れるがこれまでにどのくらいの雨が降ったのかは確認できない。連続雨量が100mmを超えていたら沢は可能性無いと考えた方がいいし(一度、80mm降った直後に湯檜曾川を渡渉したが困難を極めた。。)、50mmを超えると多数の林道が通行止めとなる。登攀があるときには岩が乾いているかの参考にもなる。

データソースとしては2つある。

XRAIN(エックスレイン)
レーダ雨量計(+ 地上雨量計?)
国土交通省
アメダス
地上雨量計
気象庁

XRAINは先の水位と同じ国土交通省が提供元なので、同じウェブページで確認が可能。県の表示では「雨量観測所」を示す水玉のようなアイコンが表示されないので注意。市区町村まで選択すると地図上に表示される。

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アメダスについては下記ページで最大72時間の累積降水量が確認可能。

ただし国土交通省同様、お世辞にも見やすいとは言えないので(特にスマホでは)、tenki.jpで確認するのもいいかも知れない。(tenki.jpもデータソースはアメダスなので差異はない)

さいごに

結局、いくら調べても当日現地状況の予測でしかないし、調べるのは面倒だという人は多数いると思う。極端な話、現地で状況を見て適切に撤退の判断ができるのならばそれほど綿密に調べなくても問題はないと思う。ただ私は貴重な休みは確実に沢に入れるようにしたいし、現地までいったのに入渓できないというのは可能な限り避けたい。そして「ここまで来たんだから。。」「行けるところまで。。」と現地で明らかに水が増えている川を見ながら入渓してしまうことは多々ある。要するに沢を前にして「適切に」「安全係数をかけて」撤退判断をとれる自信がない。そういう訳でリスクを取りすぎないように、沢に入れる機会を増やせるように事前調べを大切にしている。At your own risk でそれぞれ楽しみましょう。

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