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#SaveOurLife 記者会見より ー 春日空(入管問題についてのさまざまな活動を行う個人有志団体 #FREEUSHIKU)

給付対象から一部の外国籍者が外されている現状

こんにちは。#FREEUSHIKU メンバーの春日空です。我々 #FREEUSHIKU は、入管収容、正規の滞在資格を持たない外国籍の方を収容する施設なんですけれども、その入管収容問題をはじめとする、日本で暮らす外国籍者の方々が直面する諸問題の解決に取り組む市民グループです。

今回、我々#FREEUSHIKU は、今回のコロナ関連の処置としまして、仮放免者及び不安定な状況にある外国籍者あるいは被収容者を給付金の対象にすることを強く求めます。現状、政府の10万円の一律給付は4月27日時点で住民基本台帳に記録されている人とされており、仮放免者をはじめとする脆弱な立場にある一部の外国籍の方々は対象から外されています 。日本国内の全ての人達への給付から一部の外国籍者を外すことは許されることではありません。

「わたしたちは人間だ」

今回この登壇にあたって、仮放免の当事者の方に話していただくことを考えました。しかし、それは様々な事情で断念せざるを得ませんでした。その事情というのは、仮放免の方たちがかなり不安定な立場に置かれており、こういったところに出ることで入管に特定されてしまうリスクがあること。難民庇護申請者、母国からの迫害を受けて日本に逃れてきた方たちが、表に立つことで母国の加害者から特定されることを避けるため。そして『仮放免』、『移民』、『非正規滞在あるいは不法滞在』という言葉が極めて偏ったイメージで語られがちな現状で起こりうる差別被害、それを防ぐためです。今回私は一支援者として彼ら彼女らのメッセージの一部を紹介させていただきたいと思います。

私たちが入管で収容されている方やその家族、あるいは仮放免という形で暮らしている方達から一番多く言われる言葉は、「わたしたちは人間だ」ということです。「外国人も人間だ」ということを皆さん口を揃えておっしゃいます。コロナウイルス拡大防止のためには、すべての、ここで暮らす人間に生きるためのお金を渡す必要があると思います。特にもろい足場にいる方、差別的な社会構造の中でもろい足場に追い込まれざるを得なかった人たちにこそ、生きるためのお金を渡すべきではないかと考えています。これは今日を生きるためのお金であり、同時に同じ社会で共に生きる人たちへのメッセージとしても作用します。

一律給付は絶対に渡さなければならない

平常時に全国17カ所の入管で収容されている被収容者は1200人ほど。仮放免者として暮らす人は2500人ほど、またそれ以外にも様々なご事情で住民基本台帳に記載されない状態の外国籍の方々がこの国に暮らしています。日本で生まれ育ち、ずっと仮放免という立場の方もいれば、何らかの事情により在留資格を失った人もいます。家族がいる人もいない人もいます。それぞれに人生があり、少なくともこの瞬間この場所で生きている人間である以上、一律給付は絶対に渡さなければならないと考えています。

仮放免の状態で暮らしている青年から送られたメッセージがあるので、そちらを一部ご紹介したいと思います。

仮放免の状態で暮らしている青年のメッセージ

私は3歳頃から日本で生活しています。インドシナ難民として両親とともに来日しました。私は小中高と日本の学校に行っていて、日本語の読み書きしかできません。在留資格は家族全員永住権を取得していたのですが、私は罪を犯してしまい在留資格を取り消されてしまいました。現在、両親と実家で3人で暮らしています。国を捨てて逃げてきたので帰るところは日本しかありませんし、生活基盤も日本にしかありません。現在退去強制処分を受け、仮放免という形で社会にいるのですが、家族も頼れる身内もおらず、家もなく言葉も分からない生活したこともない国へ帰されることは私にとって死を意味します。

高市総務大臣は4月24日の会見で無国籍者にも給付金が行き渡るように、無国籍の方にも給付金を寄付すると仰っていました。日本に住むすべての方に行き渡るようにと仰られていました。素晴らしいご英断だと思います。

4月28日の総務省委員会で高木錬太郎議員が仮放免者の給付について質問してくださいました。ですが、マニュアルを読むように対象外というようなことをおっしゃいました。会見では国民ではなく日本に住むすべての方々に行き渡るようにということでしたよね。私のように色んな事情を抱えた方がたくさんおられます。現在、緊急事態宣言が発令され、行動の自粛を要請しているのにもかかわらず、私たちは救済措置の対象に入っておりません。ということは給付の対象外の方は自粛の対象にもならないととってよろしいのでしょうか。自粛を要請しながら、日本に住んでいる同じ人間の方を区別するのは差別じゃないんでしょうか。どうか仮放免者やその他の同じような戸籍を持つことのできない方の救済措置も含めコロナ給付金の支給をご検討くださるようお願いいたします。

収容というシステム自体の見直しが必要

今ご紹介した方のように、様々な思いで日本に暮らしていらっしゃる方がいます。私たちは今後の動きと致しましては、入管収容施設は集団感染リスクが極めて高いとされています。このコロナ以後の世界においては収容というシステム自体を考え直す必要があるかと思います。全ての被収容者をできるだけ早く解放し、同時に送還の見通しが立たない新規収容の中止を求めます。入管長が作成した感染対策マニュアルがありますが、それが被収容者の要請に沿ったものなのか、またマニュアルが適切に運用されていくのか、情報公開を求めていきます。

そして入管法の抜本的見直しを求めます。特に全件収容。少しでも入管法に引っかかると収容され、長期無期限の収容とされてしまう制度の廃止、入管ブラックボックスと呼ばれる入管の透明性確保、管理だけではなく多文化共生を目的とした省庁の設立などを求めていきたいと思っています。また、先ほど紹介した仮放免者、難民庇護申請者、様々な非正規の滞在資格をお持ちの方に、正規の在留資格を与えて、安定した生活を築くための仕組みを制定するよう求めていきます。これらの全ての事をまとめてもう一度申し上げると、外国人は人間であるということ。全てのここで住む人が生きるために考えて行動していかなくてはいけないということです。今後の動きについてはサイトやTwitter でも告知していきますのでぜひご覧ください。

【新型コロナウイルス感染拡大防止に努めるあらゆる人の仕事と生活を守る継続的な支援を求める署名】
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfmg6jhOPO2P6uHGb2RcH4GWzCb7b3_cr1WLulJVUoCHv4E7g/viewform

Photo: Yosuke Torii