各ライブハウス、クラブによる個別の自助努力(クラウドファンディングやグッズ販売によるサポート)などの動きについてのSaveOurSpaceの考え方

現在、各地のライブハウス/クラブがそれぞれクラウドファンディングなどを行うケースが増えてきています。
私たちSaveOurSpaceの活動と密接に関わるものでもあり、このことについて様々な意見をいただくことも多くなりました。ここで、クラウドファンディングやグッズ販売によるサポートなど、「自助努力」(互助、共助含む)についての私たちの考え方をお伝えしたいと思います。

自助努力と公的な補償はどちらも必要不可欠

私たちはクラウドファンディング(などのサポート)については、尊重し、応援したいという立場でおります。それぞれのスペースが営業の自粛をせざるを得ない状況の中でスペースを存続させるための苦渋の決断として行っているものと考えています。
一方で、#SaveOurSpaceが政府に対して求めている補償/助成は、COVID-19の感染拡大防止という公衆衛生を目的としたものです。あらゆるお店が安心して自粛できるように公的なサポートが必要不可欠です。
クラウドファンディングなどの自助努力と、公的な補償を求めていくことは二者択一ではありません。どちらも必要不可欠であり、#SaveOurSpaceはどちらの動きもサポートしていきます。

その上で、クラウドファンディングが乱立し、増えていくことに関しては、以下のような懸念を抱いています。

1.スペースの知名度や人気の高低、また技術面での可否による格差を生んでしまうこと

現在、規模の大小にかかわらず各地のスペースが窮地に追い込まれております。そのような状況の中、クラウドファンディングによって(100パーセントではないにしろ)「助けられる」お店とそうではないお店が出てしまっています。知名度や人気の高低がクラウドファンディングの結果に影響するでしょうし、そもそも技術的な問題、人員の問題などでクラウドファンディングができないお店もあります。クラウドファンディングをしているお店と、していない(できない)お店の間にも当然格差があり、クラウドファンディングをしているお店の中にもまた、格差があります。私たちが求めているのは全てのスペースの救済です。誰も見捨てたくありません。また、COVID-19の感染拡大を防止するという公衆衛生の観点からも、感染拡大防止のために全てのスペースが安心して営業を一時停止することができるようにする必要があり、クラウドファンディングなどによる自助努力ができないスペースが営業継続という選択をせざるを得なくなる状況を作ってはいけません。

2.スペースだけが「助けられる」存在になること

クラウドファンディングにより、ライブハウス、クラブというスペースに注目が集まり、スペースを救済することにはなりますが、従業員、アーティスト、フリーランスのエンジニアなど、スペースに関わる全ての方の救済は難しいと考えます。もちろん、クラウドファンディングを行っているスペースの中には、そういった関係者に還元するプランを含むケースもあると思います。しかしながら、多くのケースにおいてはそこまでのフォローを行うこと現実的ではなく、今後、アーティストやエンジニアなどが、それぞれクラウドファンディングを立ち上げていくという状況も予測されます。そこでもまた、知名度や人気による格差、また業種による格差が生まれる可能性もあります。

3.「持たざる者」が「持たざる者」を助ける状況

クラウドファンディングは、「応援したいと考える人」が金銭的に援助するシステムです。全ての人の生活が変わってしまっている現状で、「応援したいと考える人」もまた、多くの場合救済されるべき人です。このコミュニティの中でお金を回すということ自体に、限界があるのではないでしょうか。みなさんそれぞれが自分の生活が今後どうなっていくかもわからない状況の中、応援したいお店が複数あっても、金銭的に支援する先を取捨選択しなければならないことはとても残酷です。しかも、支援をした人自身が困窮していくことにもなります。このように、クラウドファンディングの乱立は金銭的に持たざる者が持たざる者を助けるという負のスパイラルを生むことにもなっていくでしょう。本来、彼らを助けるべきなのは国や地方公共団体です。スペースやそこに携わる多くの人たちも、私たちの社会の重要な構成員です。現在、国や地方公共団体からの営業の自粛要請に従って困難に直面している人たちを救うために使うのが税金であるはずです。本来、国や地方公共団体が税金を投入すべきもののの肩代わりをコミュニティの中で強いられてしまうことを良しとは考えられません。

分断ではなく、連帯を

私たちは、4日間で集めた30万を超える署名の効力を余すところなく使い、今後も「公助」すなわち国や地方公共団体による助成を求めるべく活動を引き続き行っていきます。スペースのみなさんのクラウドファンディング等の自助努力については情報の共有という形でサポートさせていただければと考えています。また、クラウドファンディングをしている/していない関わらず、どのような事業者様でも有効利用していただけるような情報の共有により力を入れていきたいと考えています。

クラウドファンディングに限らず、個人がサポートできる様々なプロジェクトが立ち上がっていますので、順次、一覧でご覧いただけるようにまとめております。この一覧への掲載を希望される方はSaveOurSpaceまでご連絡ください。

引き続き、SaveOurSpaceは公的な補償(助成)を得るため声を上げていきます。この声明によって新たな分断が生まれないことを祈ります。分断ではなく、連帯を。ご意見やご質問は引き続きお寄せください。