空気線図_高温

「サウナの湿度」

突然ですが「湿度」には、2つの測り方があります。中学の科学を思い出してみてください。

<相対湿度>
ある空気の塊が含むことのできる水分量を100%として、含まれている水分量を割合で示したもの (温度が高いほど多くの水分を含むことができる)

<絶対湿度>
単位体積(1立方メートル)当たりに含まれる水分量を、重さ(グラム)で示したもの

ちょっと、ややこしいのですが、混雑する電車の乗車率に例えると

 乗車率=相対湿度
 乗車数=絶対湿度
 定員数=温度により異なる

定員数が何人かわからない電車で50%の乗車率、と言われても、何人乗車しているかわからないし、50人乗車している、と言われても、混んでるか空いてるかわからない。つまり、電車の定員数を前提にしないと、何のことだかさっぱりわからなくなってしまうのです。

さて、ここからが本題なのですが、それではサウナ室の適切な湿度って、相対湿度何% 絶対湿度 何g/m3なのでしょか?

現在の東京は、27度 相対湿度は82% 絶対湿度は約20 g/m3 です。単純計算なのですが、仮に90度のサウナで、絶対湿度を現在の東京と同じく「約20 g/m3」とした場合、相対湿度は5%です。「湿度5%」というと、カラカラな印象を受けますが、サウナ室では違います。逆に90度のサウナ室で、相対湿度がもし現在の東京と同じ82%だったら、人間はボイルされてしまいます。

つまり、サウナ室は気温が高いので、室内には沢山の水分を含めることができます。サウナストーンに水を掛けたり、多くの人が濡れた体で入室したり発汗しても、相対湿度は低く、絶対湿度には余裕があるのです・・

そんな中、きっと皆さんも感じたことがある、2つのケースを紹介します。

<ケース1> 
サウナの温度は高いのに、何故か全く発汗しない気がする

この場合は、湿度が極端に低く超乾燥しているので、大量に発汗しているのに、即効気化されてしまうケースです。きちんと発汗しているので、体温の上昇は防止され、サウナ温度が高い割には体も熱されず、肌が乾燥し痛かったりします。
私はこれを「汗のかき負け」と呼んでいます。

<ケース2>
サウナの温度は低いのに、何故かすごく発汗する気がする  

この場合は、湿度が高すぎて、体表面に触れた室内の水蒸気が結露して皮膚面に付着しているだけの、いわばミストサウナ状態です。汗をかいた爽快感が得られず、温度も低いから、体を熱するのに時間がかかります。

良いサウナ室は、きちんと発汗でき、汗は気化せず流れる程度で、体を十分に熱さなければならない。そのためのチューニングはとても奥が深くて、繊細なのです。

「サウナ 湿度 最適」でググると、ほとんどが相対湿度で語られていて「100℃くらいので5~15%」とか「100℃を超える場合は3%以下」とか「80℃~100℃で15%~25%」などなど、中には温度が示されずに「15%~20%」と謳われていることがあり、どれもこれも基準が曖昧でいい加減。

そもそも、高温域における相対湿度の計測は誤差も多く、また相対湿度における1%の変化は、大きな差になるので、サウナの湿度を語る時は「絶対湿度」で語るのが適切なようです。

日本サウナ・スパ協会発行のテキストを参考に計算すると
90℃で、絶対湿度45g/m3~61g/m3 (相対湿度10.7%~14.5%)を「マイルド」なサウナと示しています。

とあるフィンランドサウナメーカーは、頭の部分を70℃と設定した場合、絶対湿度は40g/m3 (相対湿度20%)と、示されていました。

ドイツサウナ協会は、以下のような基準を示しています。


天井の温度は100℃ 相対温度は2~5%
上側のベンチ部分で温度は70℃、相対湿度は5〜15%
床の上で温度は40℃ 相対湿度は20〜60%
(絶対湿度は、ともに10〜30g/m3)

奥が深いです。

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