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酔いどれ雑記 199 最期の一服

先日、漫画家のさいとう・たかをさんが亡くなりましたが、氏の代表作の『ゴルゴ13』にまつわるどうしても忘れられない思い出があります。

「もう生きては戻れないって分かってて原子炉に入るんだよな......そして最期の煙草に火を付けてもらう、このシーンがたまらなくいいんだよなぁ......」

中学3年の時の担任、わたくしが教師という職業の方で最も尊敬できる先生が授業中にボソッと言ったことなのですが、ぼんやりと聞いていたからなのか、先生はこれがゴルゴ13の『2万5千年の荒野』のエピソードだと言っていたはずなのになんていう作品なのかも全く覚えていませんでした。

そんな話も忘れかけて大人になって、問題の作品を偶然読むことになり「これは!!!」と記憶が呼び覚まされたのですーーああ、あれはチェルノブイリの話がベースだと思ってたのにアメリカの架空の話だったのか。読み終えて涙を禁じえませんでした。何で泣いたのか自分でもわかりません。けれど最期の一服はきっと極上のものだったと思います、そう信じたいです。