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酔いどれ雑記 188 バナナの皮


私は卒業アルバムを見るのが好きなのですが、特に面白いのは寄せ書きと作文ですね。小6の時はいじめに遭っていたので寄せ書きはゼロ。中高のアルバムには寄せ書きがびっしり書いてありますが、個人の作文は載っていません。今日は高校時代の卒アルの寄せ書きで思わず懐かしくも笑ってしまうものを紹介します。

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読みづらいかも知れませんので書き起こします。

「〇〇(私)へ
〇〇には本当に色々とお世話
になりました.高校卒業したらもう
バナナなどのかわを食べるのはやめてね.
たまには電話してね
from××」

解説全くなしでこれを理解できるのはこの世でわたくしのみでしょう。
「バナナのかわ」ってまずなんだよ、そしてそれを食べるとは!?って。
かわ=皮、文字通りあの果物のバナナの皮のことなんですが......。

当時は90年代半ば。あの頃は妙な時代で、それなりの世紀末感がありました。サブカルが流行って、好奇心旺盛(というのか?)な中高生にありがちでしたが私や友達はその手の本を教室で読んだりしていました。これをサブカル本に含めていいものかどうかと思いますが、有名どころでは鶴見済著の『完全自殺マニュアル』など。死ぬ気があった人もなかった人も好奇心や怖いもの見たさで読んだという方は多いのではないでしょうか。あとは違法なクスリ関係や暗殺術だのエログロだの、今なら18禁、成人指定、有害図書認定されそうな本がビニールカバーなしで店頭に並べられていました。

で、バナナというのはとあるクスリ関係の本に載っていたことと関係しています。その本には非合法のドラッグから合法のもの(酒とか煙草とか)、はたまたナチュラルハイになれる方法という怪しさ満点なものまで、クスリの魅力と危うさがこれでもかという程、著者の実体験を交えて書かれていました。そこにバナナの皮(筋)を乾燥させて食べるだか炙ってその煙を吸うだか、かなり記憶が怪しいですがそんなことが書かれていたのです(実践しないでくださいよ!うろ覚えですし、わたくしは責任取れませんよ!)。かなり手間のかかる方法なのに、全然トリップ出来そうもなくて大笑いしましたが、その本に載っていたもので簡単に手に入りそうなものがそれ(つまりバナナ)しかなかったので「これ、やってみたらどうなるのかねぇ」とわたくしがボソッと言ったのをずっと覚えてたんでしょうね、寄せ書きの彼女は。
「卒業したらもう~」と書いてありますが、一度もやったことないですよ(笑)。

あ、高校生の頃に読んだその手の本の著者に40手前で偶然出会って驚いたことがあります。あるところで知り合った方(本とは何の関係もない場所)なんですが、その方は何冊か翻訳を手掛けていたりもするジャーナリストで、雑談中に「昔〇〇って本の翻訳を頼まれてさ、あまりにもひどい本だったからどうしようか迷ってたんだけど、やけくそで無償で引き受けたんだよ。一度限りのペンネームでという条件で。そうしたらその本が売れちゃってさぁ。まさか売れると思わなかった、あんなのが。〇〇〇〇(誰もが知っているであろう政治家)の利益に全部なっちゃったよ」と苦笑いしたのです。「え!その本わたくし読みました!××の方法とか書いてあるあれですよね」と言ったら「そうそう。君、よくあんなもん買ったね~そのお金も全部〇〇〇〇の懐に行っちゃったわけだ」と言い、2人で大笑いしました。

バナナと言って思い浮かぶのは何ですかね、わたくしは漫画史上、重要な大傑作『BANANA FISH』とThe Velvet Undergroundのアルバムのジャケですね、アンディ・ウォーホルの。両方とも、高校時代に出会って、今でも愛している作品です。そういえば両方とも思いっきりドラッグに深く関係ある!すげぇぜ、今からバナナでも買ってくるか......。