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掌編小説

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140字から始まる超短編小説です
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#嫉妬

君と僕の世界は【掌編小説】

君と僕の世界は【掌編小説】

「僕と君とは、持っている世界がぜんぜん違う。
僕は、君のようには作れない。
君も、僕のものは作れない。

ライバルって喧嘩するかい? 嫉妬もするのだろうか。

それでも僕は、君の世界が好きだよ。
応援してる。いつもエールと拍手を送っているよ。

きれいごとの意見かもしれないけどね」

ほら、僕は偽善者だからさ。と彼はシニカルな笑みを浮かべたけれど。

あの時の言葉は本心だったと、わたしは今でも思っ

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あこがれに似て、恋に似て【掌編小説】

あこがれに似て、恋に似て【掌編小説】

彼女は明るくやさしい。
誰にでも。
こんな地味な私にも。

(もっと私としゃべって。笑顔ももっと。どこにも行かないで。他の人としゃべらないで──)
蜘蛛の糸のような思い。ずっと自分のそばにいてほしいと願う。他の人をすべて排除したいという思い。

これは嫉妬だ。友情ではなく。
自分を恥じた。

都会への大学進学を機に、引っ越しをすることに決めた。

「行かないで」
駅のホームで涙ぐむ彼女。
「またね

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マスコット【掌編小説】

マスコット【掌編小説】

君のことをずっと見ていたのは私なのに。なぜ急に、カバンにうさぎのマスコットなんて付け始めたの。縫い目がバラバラなのは、誰かの手作りプレゼントかな。
「貸して」
奪うと、君は「返せよ」と。怒った声は初めてだね。
「おっと」
窓から落とすフリをして、止めた。君に本当に嫌われてしまいそうだから。

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こちらはTwitterの 140字小説( h

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