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複業フリーランスとは?副業や兼業との違いや働き方を紹介

日本で副業が解禁されてから、兼業や複業、ギグワーカーといったさまざまな働き方が増えてきました。今回は複業と副業、兼業などの定義の違いやフリーランスの種類をご紹介し、複業フリーランスとして働くメリットやスケジュール管理法といった実態についてお話します。

私は人事系の複業フリーランスとして「会社員+副業」の働き方から、個人開業して10社以上の顧客を抱える複業スタイルへと移行してきました。昨今の複業フリーランスを取り巻く環境変化や、実際の取引状況などを実体験ベースでお伝えできればと思います。


複業とは?副業や兼業など類似用語の解説

まず始めに、複業や副業、兼業といったさまざまな働き方に関する用語の定義を解説していきます。

複業とは

複業とは、その名の通り複数の収入先を持って活動する働き方を指します。複業で行う仕事は本業と副業(サブの意味)と分けず、どの仕事も本業という捉え方をするケースが多いです。

仕事の数は1~2社の人もいれば、私のように10社以上と多い人もいます。

また、複業フリーランスと複業家はほぼ同義語として使用され、個人事業主として活動する人やマイクロ法人を運営している複業家までさまざまです。

副業とは

副業とは、一般的に会社員が副収入目的で行う仕事を指します。「副」という言葉から分かる通り、主たる業務(本業)のついでに行う、サブ的要素の強い仕事が副業となります。

兼業とは

兼業とは、本業とは別に兼務している仕事を指します。「兼」という言葉には、2つ以上のものを合わせる、重ね持つという意味があります。つまり、兼業とは2つの仕事を行っている状態でも、3つ4つと多くの仕事を同時並行している場合にも使えると考えられます。

副業・兼業の促進に関するガイドラインとは

2018年(平成30年)1月に、厚生労働省により『副業・兼業の促進に関するガイドライン 』 が発表されました。本ガイドラインには「副業・兼業の形態も、正社員、パート・アルバイト、会社役員、起業による自営業主等さまざま」と表記されています。

副業は一般的に会社員が副収入目的で行う仕事とご説明しましたが、国の指針では、とくに雇用形態や法人化、個人開業といった手段を特定せずに広く副業を進めていこうと示しています。

パラレルワーカー・パラレルワークとは

パラレルワークとは、2以上の仕事を同時並行して行う働き方を指します。パラレル(parallel)を直訳すると、平行という意味となります。

パラレルワークに取り組む人をパラレルワーカーと呼び、パラレルワークを取り入れたキャリアパスを描くことをパラレルキャリアと呼びます。なお、パラレルワークと兼業、複業は、同義語として使われることが多い印象があります。

ギグワーカー・ギグワークとは

複業や副業の話をするときに、ギグワークという言葉も耳にすることがあります。

ギグワークとは、仕事の発注者と受注者が1回ずつの仕事契約を結び、単発的に働く仕事を指します。ギグ(Gig)とは英語のスラングで、「1度きりのセッションや演奏」という意味合いを持ちます。

企業と労働者のように長期的な雇用形態を結ばず、単発で契約(主に業務委託契約)を結んで仕事をする人たちを、ギグワーカーと呼ぶのです。ギグワークの概念は2019年頃にアメリカで発祥したもので、代表的なギグワークとしてUber eatsの配達員が挙げられます。

フリーランスの種類は細分化・多様化の傾向

複業や兼業などさまざまな働き方の名称をご紹介したところで、続いてフリーランスの定義や種類についても見ていきましょう。

フリーランスとは特定の会社や団体に属さずに、自由契約で活動する働き方や人を指します。フリーランスのなかでも税務署に開業届を出した人を、税法上では個人事業主と呼んでいます。

ちなみに私は個人開業を行っていますが、フリーランスと名乗ることもあれば個人事業主と自己紹介することもあり、そこまで厳密に使い分けはしていません。

従来のフリーランスは、ライターやデザイナー、ITエンジニアといったWeb系クリエイターが多くを占めていました。しかし多様な働き方の広がりからフリーランスに転身する人が増加し、非クリエイティブ系のビジネスフリーランスや職人フリーランスなど細分化・多様化となっている傾向です。

複業フリーランスのメリット

複数の仕事先を持ち、特定の会社や団体に属さず自由契約を行う複業フリーランスの働き方は、どういったメリットがあるのでしょうか。ここでは3つのメリットを抜粋してご紹介します。

1.収入源の複数化によるリスクヘッジ

1つ目のメリットは、収入源が複数になることで収入0円のリスクを減らせるという点です。フリーランスはある日突然、プロジェクトが白紙になることもあり、生活費の確保が大変…といった話をインターネットで目にした人も多いと思います(貯蓄がないことは別の問題ですが)。

フリーランスの取引先が常に不安定と断言するのはさすがに言いすぎですが、雇用されている会社員よりも収入減のリスクを抱えていることは事実でしょう。

実例としてお話すると、私は開業当初は3社程度としか取引をしておらず、1社から30万円(月額)他2社からは数万円ずつ(ライティング本数に応じて)の収入を得ていました。しかし主要取引先と提携方針が合わず、やむを得ず契約解除を申出たため、月々の30万円が0円になってしまいました。

契約解除後すぐに他の案件を見つけられたものの、以後半年間は「また大口顧客とそりが合わなかったら怖いな」と考えていたため、自然と取引先の数を増やして収益安定化を図ることになりました。

現在では、常時10社以上の取引先を抱えており、一時的に1~2社の案件がお休みになったとしても生活面での影響は感じない程度まで安定しています。これは、複業という働き方の大きな利点だと感じています。

2.複数スキルを同時に養える

複業フリーランスの2つ目のメリットとしては、多様な取引先を持つことで自身のスキルが縦横斜めに広がっていく点です。

会社員であれば、社内の評価制度に従って縦軸にキャリアを積み上げていきます。会社員で副業をされる方の場合は、縦軸に副業という横ないし斜めに広がっていくイメージでスキルアップをします。

複業の場合は、取引先の企業規模や取り組みプロジェクトの種類が多様であるほど、さまざまな方面に自分のスキルを拡張していくことが可能です。

実例として、私が今取り組んでいるお仕事を一部ご紹介します。

①中小企業の採用コンサルタント
②人事労務系の編集者、ライター
③人材紹介会社の営業推進、経営企画
④金融系サービスのプランナー(サービス導入の営業系ポジション)

中小企業の採用コンサルタントでは、50名以下の企業の経営者や総務などと連携をとり、採用方針の決定から採用面接の実施、入社後面談などフォローアップまで対応しています。

一方、金融系サービスのプランナーは、某サービスの体験に来られたお客様をカウンセリングし、必要に応じてサービス加入の案内を行う営業系の業務となります。

このように、複業先の業種・企業規模や職種もそれぞれ異なることから、求められる知識やスキルの幅が非常に広くなります。悪く言えば「1つのことに集中できず中途半端」となりますし、前向きに見れば「どんどん視野を広げてスキルアップできる」と言えるでしょう。

1つの会社内でルーティンワークをするのが苦手な人には、複業は魅力的に感じるかもしれません。

3.契約内容も働く時間も自由

3つ目のメリットとして、フリーランスならではの「自由度」についてご紹介します。

フリーランスはどのような顧客と契約をしても良いですし、顧客先へ常駐しても、完全在宅で働いても問題ありません。

取引先の業種・企業規模・エリアも自由に選べますし、もし雇用契約を結んで働きたければ1社だけ正社員、その他の仕事は業務委託としても良いです。

なかには「コロナ禍でテレワークへの理解が進んで会社員も働く場所を選べる」と仰る方もいます。しかし、企業や人事へ取材を続けていると、「会社から許可をもらわないとリモートワークできない」「リモートワークしていても何かしら会社に報告を入れなくてはならない」など制約がある場合がほとんどです。

一方フリーランスは、契約内容の業務遂行に支障さえ出なければ、その日の気分で働く場所や働く時間数、業務内容も完全自由に決められます。これは、会社員では実現し得ないメリットだと身をもって感じています。

とはいえ、自由には責任が付きまとうのは常です。スケジュール管理がうまくいかなければ自分自身で仕事のケリをつけるまで休むことはできません。

実体験としてお話すると、スケジュールミスでうっかり夜22時~23時まで仕事の対応をした日もあれば、今日のように寝坊して午前11時過ぎまで寝込んでいた日もあります(朝が弱いので、仕事のスケジュールにゆとりがあれば、だいたい12時近くまで寝ています…)。


また、契約自由のフリーランスだからこそ、ものすごく相性の良いお客様と好きなだけ働くこともあれば、とんでもなく相性の悪いお客様を引き当ててトラブルになりかけた場合も自己責任となります。どんな働き方にも、メリットの裏側にはデメリットがあることを覚えておくと良いでしょう。


複業フリーランスで大変なこと

どんなメリットも裏返すとデメリットになり得ます。複業フリーランスとして働いていて1番大変なのは仕事がとれないことではなく、仕事チャンスがありすぎて受注しきれないことです。

とりわけ私は好奇心旺盛で、好き嫌いせず何でもチャレンジしたいタイプなのですが、良かれと思ってさまざまな仕事を受けた結果、やはり限界はやってきました。

自分1人で受注しきれない仕事は、外部パートナーに依頼をするのですが、1人でずっと働いていると受けられる仕事量に限界があるのはデメリットと言えます。

割に合わない外注をするか、自分1人で乗り切るか

私は、取引案件が15件ほどになったタイミングで初めて仕事がさばき切れなくなり、パートナーに外注を行いました。具体的には、私の執筆する記事の下書きとして情報集めや、顧客に提案する下準備となるリサーチ業務を依頼する内容でした。

パートナーに仕事を手伝ってもらって非常に助かったものの、事前に利益率などを計算して発注しないと、赤字になると知ったのも事実です。

例えば1つ1万円の案件を受注して、パートナーに部分的な作業を5千円で発注した場合、私の売上は残りの5千円になります。仮にこの案件の残り作業に3時間ほど稼働数が必要となれば、時給換算で2000円以下となりますから、フリーランスとして生活するには厳しい価格感となるわけです。

このように中途半端に外注するくらいなら、法人化して受注する売上額を拡大していかないと、割に合わないと感じたのは複業フリーランスの悩ましい点でした。

まとめ

今回は、複業や副業、兼業といったさまざまな概念や、多様化するフリーランスの働き方についてご紹介しました。

複業フリーランスで働くことで、収入安定やスキルアップなどのメリットはありますが、案件が増えれば増えるほどスケジュール管理が煩雑になったり、受注キャパの上限に悩まされたりします。

次回はもう少し、複業フリーランスの受注管理やスケジュール管理方法、外部パートナーに発注するときの方法や注意点についても掘り下げていきたいと思います。


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