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【対談】医師×理学療法士 「訪問リハビリテーションが在宅医療に絶対必要な理由」

こんにちは。さつきホームクリニック広報です。

さつきホームクリニックでは、在宅医療の現場で訪問リハビリテーションを担当する理学療法士・作業療法士・言語聴覚士を募集しています。

2019年5月に開所にしたさつき訪問リハビリステーションは、さつきホームクリニックで診療している患者さんを対象として、より効果的な訪問リハビリテーションを提供することを目指しています。

そこで今回は、「僕が目指している医療には訪問リハビリテーションが絶対必要」と断言する当クリニックの月永院長と理学療法士の水沼さんに、医師と理学療法士というそれぞれの視点から、「訪問リハビリテーション」をテーマに対談してもらいました。

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月永洋介(つきながようすけ):右
さつきホームクリニック院長。日本在宅医学会 専門医・指導医。兵庫医科大学卒業後、順天堂大学泌尿器外科学教室に入局。丸山記念総合病院にて泌尿器科部長を務めた後、在宅医療の必要性を感じ、2016年4月に在宅医療専門の診療所さつきホームクリニックを開院。

水沼史明 (みずぬまふみあき):左

さつき訪問リハビリステーション所長。理学療法士。JCHOうつのみや病院で急性期病棟や回復期リハビリテーション病棟、通所リハビリテーション、介護老人保健施設等の経験を通し、退院後の在宅でのリハビリテーションの重要性を実感。訪問看護ステーションえすぽで訪問リハビリテーションの実績を積んだ後、より医師との距離が近い環境で質の高い訪問リハビリテーションを実現するため、2019年5月よりさつき訪問リハビリステーションへ。

在宅医療はあきらめの医療じゃない

―さつきホームクリニックが大切にしていることは?

月永院長(以下院長):在宅医療というと、どうしても看取りというイメージがつきまとうというか。最初の感覚ではそれでもいいと思うけれど、結局在宅医療というのは看取りだけじゃなくて、かなり早い段階からどんどん在宅医療に来ることが多いので、「在宅医療=看取り」ということだけではやっていけなくなっていると。

患者さんもまだまだ生きたいし、まだまだ良くなりたいし、っていう思いを持ったまま在宅医療に来られている方が多いので、「在宅医療はあきらめの医療じゃない」という想いでやっています。

水沼:やはり月永先生といろいろ話すようになって、さつきホームクリニックの訪問診療や訪問看護に入っている患者さんに訪問リハビリテーションが加わることで、患者さんの可能性がすごく広がると思いました。

付加価値というか、引き出しの一つになることで患者さんにとってプラスアルファがもたらされるのかな、と。

訪問リハビリテーションは、身体機能の改善が見込める人だけが対象になるわけではありません。

「在宅医療はあきらめの医療じゃない」との月永先生の想いに共感したから、私はさつきホームクリニックに入職していますし、どんな人でもさつきの訪問リハビリテーションを通して、生活だったりQOLだったりが良い方向へ進む可能性があると思っています。

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院長:治らない病気が多くあって、治し支える医療っていうのをやっていかなれければいけない中で、薬とか手術などといった治療ができなくても、リハビリテーションという名の治療は誰でもできる。「リハビリだから介護」とかそういうことじゃなくて、あくまでも治療の一つの選択肢なんだと。

なので、治療としては何もできませんとなった患者さんに対しても「じゃあ少しでも体がなまらないように頑張ろうよ」とか、そういう選択肢を我々が持っていることはものすごい強みだっていう意味で、さつき訪問リハビリステーションを立ち上げているんだよね。

僕はもともと泌尿器科医だからリハビリテーションのことは詳しくは分からない。その患者さんがどこまで関節が動いて、どこまでやったら危なくなくて、どこまでだったら向上できるのか、維持できるのかっていうのを適切に評価するためにも、やっぱり理学療法士だったり作業療法士だったりっていうセラピストが必要になるので、そういったセラピストの人たちがチームの一員になってくれることに、僕は大きな意味があると思っている。

リハビリテーションは医療であり治療である

―当クリニックに訪問リハビリテーションを入れる構想はいつから?

院長:多職種連携といわれている中で、最初は外のサービスとの連携で良かったんだけど、やっぱり一歩遅くなる。会社が違うと理念やクオリティも違ってくるので、クオリティを保つ、もしくは向上させるとなると、診療と同じくセラピストも僕の見える範囲で動いた方が、患者にとってはメリットなんじゃないかなというふうに経営方針が変わってきました。

リハビリテーションは医療であり治療であるから、必要に決まっている、と。

―在宅医療における訪問リハビリテーションの役割は大きい?

院長:とても大きいです。

―現場で「こういう時にセラピストがいればよかったのに」と思うことも多かった?

院長:実際、たとえば寝たきりの患者さんの所にいった時に、寝たきりだけど脚を動かしてみたら動く、脚に力を入れてみてって言ったら入る、と。じゃあなんで座ってないの、みたいなことがしょっちゅうあって。

でも僕はプロじゃないからこれで座らせ方を失敗したら困るし…というような小さい悩みが実はいっぱいある。

水沼:何らかのリハビリテーションサービスを利用した方がいいのか、やらなくていいのかの判断も含め、とにかくセラピストの目が訪問診療の時からあることで、対応の幅が広がるという話は、入職前から月永先生と話していました。お酒を飲みながら(笑)。

セラピストが医師の近くにいることで、その患者さんが良くなる可能性がかなり大きくなる…とにかく医師との距離感を近く、密に連携するのが大事かなと思います。

あとは、距離感が近いということに甘えることなく、しっかりと意見を伝えられるように気をつけています。

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院長:そう。たとえば今、脳梗塞・脳出血などの脳血管障害で、救急車で運ばれて適切な治療を数時間以内で急性期の脳外科や脳神経内科で行って、その直後、1週間も経たないうちに回復期病院に移行すると。その中で医師の指示のもと、速攻でリハビリテーションに入ることで、麻痺を元の状態に少しでも戻そうという医療が当たり前のように行われている。そしてこのチームを在宅にも持ってきたいというのがある。

だから、医師のすごく近くに看護師とセラピストがいる状態じゃないと。患者さんの可能性をつぶさないためにも、そこにタイムラグがあってはいけない。(タイムラグが)あればあるほどマイナスなので。

水沼:どうしても、病院から退院しちゃうとリハビリテーションの支援が途切れてしまうことがあります。近くにセラピストがいなくなってしまう。デイサービスとか訪問リハビリテーションとかに繋げたりはするんですけど、月永先生がおっしゃったように、支援に入るまでにちょっとワンテンポ遅くなることもあって。

結局、リハビリテーションの必要性を判断するにも医師の近くにセラピストがいた方が早く気がついて繋げられるし、退院から在宅まで切れ目なく支援できるというのが、すごく強みだなと思います。

さつき訪問リハビリステーションのこれから

―これから目指す訪問リハビリテーションの形は?

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水沼:在宅でも、急性増悪したとき、状態が安定しているのでリハビリテーションをしっかりやったほうがいい時期、がんのターミナルとかの終末期と、時期によってそれぞれ関わり方っていうのが変わってくると思うんですけど、どの時期でもしっかりセラピストとして医師と看護師と連携しながら、どんな人でも在宅でしっかり支えられるステーションにしていきたいです。

在宅医療のチームの一部として、機能できるようにしていきたいですね。

院長:リハビリテーションというものが医療における治療の一つだっていうことは決まっているので。どんなリハビリステーションが作りたいかっていうことよりも、単純に僕が目指している医療には訪問リハビリテーションが必要だということ。その一部のチームとしてやっていきたいということで、すべてはより良い医療をやるためにあると。

水沼:そのフレーズはセラピストに非常に響くと思います。チームにセラピストが必要だと言ってくれる医師がいることが何より嬉しいです。

―今後、どのようなセラピストに入ってきてほしいですか?

水沼:一番は、医師や看護師などさつきのスタッフとのコミュニケーションがしっかりとれて、患者さん、利用者さんのために誠実であること。それと、在宅医療とか訪問リハビリテーションっていうところに、「やりたい」という想いのある方です。ちゃんとした想いがあれば、訪問リハビリテーションが未経験でも全然良いです。

在宅医療や訪問リハビリテーションをやりたくてさつきに入職して、それをきっかけに今後はこういうことをやってみたいとか、興味のある分野を発展させていくのも全然ありだと思います。

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院長:医者である僕としては、医療行為のプロフェッショナルなので、それを使って患者さんを良くしたいと思っている。それは体の健康を良くするのもそうだし、在宅医療だとしたら生活の質を良くしたいっていう要望に医者として何ができるかっていうのを日々考えているし。

一方で、看護師も看護力っていうものと看護師のプロフェッショナリズムで、その人の健康を、生活力を良くしたいっていうことしか考えていないので、セラピストも同様に、自分の持っている技術の守備範囲で、患者さんをなんでもいいから良くしたいっていう気持ちを持ち続けていればそれでいいのかな、と。

決められた指示があるからやっているんじゃなくて、患者さんに無理難題を言うのでもなくて、「歩けない中でもここを少し変えてあげたらこんなに良くなるんだよね」とか「こうやりたいんですけど先生どう思いますか?」みたいに言ってきてくれるような。人が好きでその人の何かを良くしてあげたいという想いが少なからず欲しいなと思います。

実はこれはさつきのどの職種でも同じことで、たとえば事務なら事務で、その仕事をすることで周囲の人に対して気分が良くなるかなとか、気持ち良くなるかなっていうことを考えられないような人は、さつきにはいらないのかなって思っています。あとは元気な人かな。

水沼:元気で健康的な(笑)。訪問は、病院と違って相手のホームにお邪魔するので、笑顔で話せる方が良いですね。

院長:まぁ、ある種部活みたいに、もう本当に勝利に向かってみんなで頑張ろうよっていう感じだよね。

水沼:はい! 自分だけがよければいいやとかじゃなくて、しっかりチームの一員として…。みんなで楽しく切磋琢磨して、さつきホームクリニックのリハビリテーション部門を盛り上げていきたいです。

院長:「One for all, All for one」。ラグビー色出しまくっていこう、ワールドカップ前だから(笑)

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