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月永先生の在宅医療エッセイ『Q&A 末期がんの父の選択と悩み』

延命処置の意思表示 その時は決めたけど…

Q.末期がんと診断された父と暮らしています。最期は自宅で過ごしたいという父の希望を叶えてあげるために、在宅医療を選択しました。在宅医療を開始してもらうにあたり、医師から延命処置の有無について確認をされ、父の意向により延命処置はしないと決めました。
そのときはそれでよいと思っていたのですが、延命処置の有無については後から変更してもよいものでしょうか?

A.多くの方が悩む問題です。今、厚生労働省では『人生会議』という、もしものときのためにあなたが望む医療やケアについて前もって考え、家族や医療・ケアチームと繰り返し話し合って共有する組織を推奨しています。ご本人の意思が前もってはっきりしていれば、このような悩みを減らすことができます。ただ、事故や急病などはそうはいきません。人の命に関わることですので決断が揺らぐこともあるでしょうし、最期の最期まで悩む事だと思います。

延命処置の有無については変更することは可能です。ただ、医学的に延命の決断が友好的な時期が限定されてくることもあるので注意しなければなりません。今後、前もって話し合う『人生会議』がとても重要になってくると思います。

複数の持病があるが在宅医療で診てもらえるか?

Q.70歳の母は糖尿病を患っており、近隣の病院の糖尿病専門外来に通っています。糖尿病専門外来のほかにも泌尿器科、整形外科にも通院していますが、車椅子のため外出が難しく、体力的にも複数の診療科に通うことが難しくなってきています。そこで在宅医療を検討していますが、診てもらっている病気をまとめて診ていただくことは可能でしょうか?また、糖尿病専門外来だけはこのまま通院を続けたいのですが、在宅医療を受けながらほかの病院にも通えますか?

A.もちろんそれは可能です。たくさんの診療科に次医院されている方は少なくありません。段々とその通院自体が辛く通えなくなる方も多いです。在宅医療に切り替える際に、元々のかかりつけの先生に相談し、通院が困難な旨をお伝えいただき、紹介状を書いてもらえると、よりスムーズに在宅医療に移行することができます。また、今回の相談のように、専門外や今までの信頼関係から、日ごろの健康管理は在宅医療をお願いして、限定的に外来通院などを継続することもできます。まずは現在のかかりつけの先生に相談してみてください。

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