ライター佐藤友美(さとゆみ)

ライター・コラムニスト 佐藤友美(さとゆみ)。主な連載はこちら→https://sat…

ライター佐藤友美(さとゆみ)

ライター・コラムニスト 佐藤友美(さとゆみ)。主な連載はこちら→https://satoyumi.com 著書に『書く仕事がしたい』『女の運命は髪で変わる』(19刷)『髪のこと、これで、ぜんぶ。』(4刷)など。お仕事はsatoyumi0225★gmail.comまで(★→@)

マガジン

最近の記事

いまどき「本」はオワコン……じゃない!? ——『本を出したい』刊行記念バディ対談

著者になろうぜ、という本ではなくて。——『本を出したい』、今までにない本でした。著者になるまでのロードマップが子細に描かれる中、出版にまつわるエモーショナルなエピソードが挟み込まれたかと思えば、「なぜ本を出すのか」「本とは何か」といった問いに対するさとゆみさんの考えが語られ……。 さとゆみ:ありがとうございます。著者としてライターとして、見たこと、聞いたこと、考えたこと、てんこ盛りしました。 ——まずタイトルが印象的ですよね。本を「書きたい」ではないんだな、と。 さとゆ

    • 書くは孤独。書くはひとり。だけど。

      今、私は毎朝CORECOLORでショートショートエッセイを連載をしているのですが、先日こんなエッセイを書きました。 書くは孤独です。書くはひとり。書くは自分の内面をゴリゴリえぐる作業でもあります。 だけど、仲間がいると書きやすい。それは、しんどいことを一緒に頑張れるからというのもあるけれど、そうじゃなくて、書くために行うすべての努力の楽しさを分かち合えるから。 私はいろんな職業の人と話をするけれど、書くことの楽しさだけは、書いた人同士でするのが一番楽しい。 そんな一生の仲

      • 映画「怪物」を観て1ヶ月考えた。世界を誰の目で見るのか。

        大きな声を出しにくくなる映画だな。 エンドロールが流れたあと、そう思った。 物理的に喉がからからだったのもある。でもそれ以上に、自分が大きな声を出すこと、自分の言葉を語ることに恐れを抱くような映画だった。 そういう気持ちになったのは、私だけじゃなかったと思う。 映画が始まる前は、ばりっばりと響く音でポップコーンを食べながら会社の同僚の噂話をしていた隣の2人組は、映画が始まったら、まるで手も口も動かさなくなった。映画が終わって会場が明るくなったとき、私はこそっと隣を盗み見した

        • ライターとエッセイスト(コラムニスト)。筆力が必要なのは、どちら?

          今から書くことは、ひょっとしたら、物書き業界では自明のことなのかもしれない。おいおい、さとゆみ、今さらそんな話? ってことかもしれない。でも、私が昨年いっちばん驚いたことだったので、書き残しておいていいですか。 拙著、『書く仕事がしたい』にも書いた話だけれど、私はそれほど筆力が高い(つまり原稿が上手い)書き手ではないと思っている。これは謙遜ではなくて、周りの同業者を見渡して、わりとフラットにそう思っている。 自分の持っている武器みたいなものをテーブルの上に並べると、 企

        いまどき「本」はオワコン……じゃない!? ——『本を出したい』刊行記念バディ対談

        マガジン

        • ライターさとゆみの日記
          153本
        • ライターさとゆみ今日の一冊
          57本
        • ライターさとゆみの「ライター100人押しかけ問答」
          4本
        • ライターさとゆみの「書アド検」
          10本
        • ライターさとゆみの「TOEICってナニソレ美味しいの?」
          5本

        記事

          死ぬことが怖くなくなった、は言い過ぎだけど

          最初のきっかけは、ロシア好きの講座卒業生だった。 彼女はかつて仕事の都合でロシアに住んでいたことがあり、ロシアが大好きで、私のライター講座でどんな原稿課題を出してもロシアに絡めて打ち返してくる生徒さんだった。 近くて遠い国、ロシアの魅力を伝えられる人になりたいと語る彼女。「ウラジオストクは、日本から一番短時間で行けるヨーロッパなんです!」が口癖で、何度も何度もロシアについて原稿を書いてくるものだから、同期のみんなも次第にロシアに興味を持つようになった。講座が終わるときには

          死ぬことが怖くなくなった、は言い過ぎだけど

          原稿の「赤字」をお金で買わなきゃならない時代に

          今まで一度も赤字を入れられたことがない 『書く仕事がしたい』にも書いたけれど、私は「編集者さんからの赤字は、ラブレター」だと思っていて、原稿に修正が入ると「ああ、人様のお力で、今日も私の原稿がもっと良くなってしまう。ありがたやー」と、赤字を拝んでいます。 とくに、雑誌の原稿では、いろんな人の赤字が入る。 少なくとも、担当編集者/デスク/編集長/校閲の4人が、それぞれの立場で疑問を書き出してくださったり、修正要望を出してくださったりした。 記事によっては、ここに、薬機法など

          原稿の「赤字」をお金で買わなきゃならない時代に

          【対談・さとゆみ×シャープさん】 「書くこと」は、本当は選べたはずの可能性を殺していくこと。それでも、書き続ける理由 

          他人の言葉を捻じ曲げる罪悪感が今でも強く残っている さとゆみ: シャープさんはSHARP公式Twitterの中の人であるとともに、ご自身で文章を書くことも長くやってきていますよね。そんなシャープさんが今書くこととどう向き合っているのかなって、すごく興味があって聞いてみたかったんですよね。 シャープさん: 僕はまず、言葉を扱うことに対して人よりも少し敏感になっているかなと思います。特に言葉を削ることに関して。 さとゆみ: というと……? シャープさん: もともと僕はTw

          【対談・さとゆみ×シャープさん】 「書くこと」は、本当は選べたはずの可能性を殺していくこと。それでも、書き続ける理由 

          【満員御礼】「さとゆみビジネスライティングゼミ」、2期生を募集します

          「さとゆみビジネスライティングゼミ」とは?「さとゆみビジネスライティングゼミ」、1期生との怒涛の12週が終わりました。毎週朝の9時に集まり(オンラインで)、書くことについて考え悩み、そして再び書く時間は、なんというか、ボクシングの打ち合いような時間でした。めっちゃ汗かくし、めっちゃ筋肉痛になるし。でも、そんなふうに一緒の時間を過ごしたみなさんとは、今は「ともに生き延びた仲間」感があって、これからも一生付き合っていくし、支え合っていくんだろうなって気がします。 そんな「さとゆ

          【満員御礼】「さとゆみビジネスライティングゼミ」、2期生を募集します

          【対談】地方で書いて稼ぐ。仲間と仕事を分け合う。家族との時間を優先する。これからのライターの働き方。

          地方で書いて生きていくこと──ライターはライバルのいない仕事 さとゆみ: 江角さんは大学からずっと京都にお住まいで、広告代理店や出版事業も手がける会社 で働かれたのち、29歳でフリーライターになったと聞きました。地方に住んで書くことの魅力、メリットはどういうところですか? 江角: 私自身は京都でライターになってよかったと早い段階で思いました。というのも、京都は全国紙で必ず年に何度か特集が組まれるくらいブランド力がある地域なので、東京の編集者の方とも繋がりやすかったんです

          【対談】地方で書いて稼ぐ。仲間と仕事を分け合う。家族との時間を優先する。これからのライターの働き方。

          【対談】20年書き続けるには何をすべき?——これからのライターの「生き残る力」

          『書く仕事がしたい』(CCCメディアハウス)の発売を記念して、「書く仕事」にまつわるテーマについて、さまざまな方と対談させていただいています。今回のお相手は、編集者で、コンテンツ・メーカー、ノオト代表の宮脇淳さん。全国各地で「#ライター交流会」やライター向けの講座を開催したり、コワーキングスペースの運営を行ったりと、「全国規模でライターとつながりのある編集者」とも言える宮脇さんとお話しをさせていただきました。原稿を書いてくれたのはライター仲間の塚田智恵美さんです。 相手は人

          【対談】20年書き続けるには何をすべき?——これからのライターの「生き残る力」

          長老との対話

          長老は、出版社で長年児童文学を編集していた方。業界の大先輩でもあり、大切な友人でもある。 これは、『書く仕事がしたい』を書いていた時の、長老とのメッセンジャーでの対話です。 ⁡ 作家という存在、書くという行為について。 ⁡ 長老は「僕の意見はさとゆみと逆だ。でも、説得しようとは思わない。異なる意見のまま会話を続けよう」と言ってくれた。 _____ 長老:さとゆみは平易な文章が書ける人だって認識しているよ。書籍でもSNSでの投稿でも、これまでどんな文章を読んでも、その文

          書く「資格」と、書く「才能」

          大学4年間、通いに通い詰めたある劇団が、脚本家の養成をすると聞いて、受験しに行ったことがある。 ⁡その頃のわたしは、劇団を4つ掛け持ちしていて、演じるより裏方の方が面白い気がする、みたいなことを思い始めていた時期だった。 ⁡ そこで、面接官だった人に言われたことは、今でもよく覚えている。 ⁡ 「キミみたいな明るくて健康で元気で忙しい人に、演劇の脚本なんて書けないんだよ」 と。 演劇の本なんて、他に何もできなくて暇で暇で仕方ない人間が書くものなんだって。 ⁡ その人の顔も名前も

          書く「資格」と、書く「才能」

          さとゆみビジネスライティングゼミ、1期生を募集中です

          宣伝会議さんの「さとゆみライター講座」が、私がちゃんと告知する前に埋まってしまったという、嬉しいけれど、お待ちくださったみなさまにはごめんなさいな件がありましたのと、 以前から「ライター以外も参加できる講座を作って欲しい」「ビジネスに生きるライティングを教えて欲しい」というご要望が多かったという、2つの理由で、「さとゆみビジネスライティングゼミ」をスタートすることになりました。 2022年1月6日から(新年早々!)、毎週木曜日の朝、9:00-10:30でみっちり12回コース

          さとゆみビジネスライティングゼミ、1期生を募集中です

          余命宣告と、ひとつの質問

          「ライターになって一番良かったと思ったのはいつでしたか?」と、聞かれたことがある。 これに関しては明確に答えられるのだけれど、2019年9月11日、です。その日、私は札幌のがんセンターにいた。 ⁡ ・・・・・・・・・・ ⁡ 母から、「お父さんがスキルス胃がんになった」という電話がかかってきた。 父は「まだ、ゆみには言うな」と言ったらしいけれど、来週詳しい検査結果が出て今後の方針を相談するから、その場に立ち会ってほしいと母は言う。一も二もなく、私は北海道に飛んだ。 札幌のがん

          余命宣告と、ひとつの質問

          【対談】編集者に萎縮して思考停止したらもったいない。病まずに書き続けるために――『書く仕事がしたい』が生まれるまで(後編)

          10月30日発売の『書く仕事がしたい』。この本について担当編集者の田中里枝さん(通称・りり子さん)とさとゆみが対談しました。前編に引き続き、後編では「書き続けられる人とそうでない人は何が違うのか?」といった質問に二人で答えています。 見つけてもらうのを待つより、すでにある「書く仕事」を取りに行こう――『書く仕事がしたい』には、書くことを仕事にするためにまず何から始めるか、企画の売り込み方など、「仕事のつくり方」が具体的に書かれています。今は企業勤めなどをしていて、伝手もない

          【対談】編集者に萎縮して思考停止したらもったいない。病まずに書き続けるために――『書く仕事がしたい』が生まれるまで(後編)

          【対談】「文章が上手くなってから書こう」ではデビューできない!――『書く仕事がしたい』が生まれるまで(前編)

          病まずに健やかに、ちゃんと生計を立てながら「書く」仕事を続けていくことについて考えた書籍、『書く仕事がしたい』が本日、発売になりました。この本がどのようにして生まれたのか、担当編集者の田中里枝さん(通称・りり子さん)と私、著者の佐藤友美(さとゆみ)が対談しました。聞き手は、一足早く本を読んでくれたライター仲間のちえみです。 大事なのは「てにをは」だけじゃない。「disコメントとどう向き合う?」――本の帯の「書いて生きるには 文章力“以外”の技術が8割」という言葉、すごいイン

          【対談】「文章が上手くなってから書こう」ではデビューできない!――『書く仕事がしたい』が生まれるまで(前編)