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認知症の父とアルバム 〜警察沙汰になった後悔〜

先日、部屋を整理していると
アルバムが出てきた。
「おぉ〜懐かしい〜」とめくってみる。
動物園や海水浴で撮った写真など
父も母も若いし、姉もまだ子供。

私が3歳の誕生日に
ケーキを見て喜んでいる私を見て
笑っている父が写っている。
それを見て私は、
「愛されていたんだなぁ〜」
と感慨深い気持ちになった。

両親が認知症になり、
姉と二人で介護をしていた頃、
父が家中の食べ物を食べまくっていたことに
悩まされていた。

ある日、父が冷蔵庫に入れていた
晩御飯を勝手に食べたことに
私は腹を立て、父を蹴ってしまった。
その弾みで父は転倒、柱に頭をぶつけて
額に軽いケガを負ってしまう。

私は手当てをして
ケアマネジャーさんに連絡。
「一応、警察に連絡してください」
と言われたので、最寄りの警察に電話。

そうすると1時間後、
パトカー2台で警察官がお出迎え。
そのまま加害者の私と被害者の父が
別々のパトカーに乗り、警察署へ。

私は2時間程、取り調べを受けるが
事情聴取を受けている認知症の父が
「額の傷は、散歩中に転んでケガをした」と
息子に蹴られたことを覚えておらず、
私は、厳重注意で釈放。

この警察沙汰をきっかけに
父を施設に預けることになった。
施設に入居して2年が経ち、末期癌が発覚。
入院して1ヵ月半で他界。

結果的に私が警察沙汰を起こし、
父を家から追い出してしまった。
本当に申し訳ない気持ちでいっぱい。

アルバムの写真を見ながら
いろんな所に連れて行ってくれた父に
「楽しい思い出をありがとう」
と感謝の気持ちを持ちつつ、
認知症になった父に
「もっと優しくしてあげればよかった」
と後悔している。

#創作大賞2024 #エッセイ部門

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