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寺子屋という教育の素晴らしさ

住友 4月から高校の新学習指導要綱が始まった。
三井 いわゆる「新課程」だね。
住友 現在の高校1年生が受験する2025年の大学入試も大きく変わることになる。
三井 どう変わるの?
住友 新課程の理念の沿った内容になるんだ。
三井 新課程の理念って何?
住友 文部科学省によると「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力」「主体性、多様性、協働性」を育成することらしい。
三井 つまりどういうこと?
住友 今までは知識や技能が重視されてきたけど、これからはそうした知識や技能をどう活かせるかが問われることになる。
三井 学んだことを理解するだけでなく、学んだことを役立てる能力が求められるんだね?
住友 そう。そのために教育の内容が一新されるんだ。
三井 新しく「公共」「歴史総合」「地理総合」「理数探究」といった教科が増えたね。
住友 教科だけじゃないよ。授業の進め方も変わってくる。
三井 どのように?
住友 授業に「主体的、対話的で深い学び」を取り入れるそうだ。教師による一方通行の指導から、生徒自身が主体的、能動的に参加する授業に変わってくる。こうした指導方法は、「アクティブラーニング」と呼ばれているんだ。
三井 ずいぶん変わるんだね。
住友 先を見通すことが難しい時代だからね。子どもたちが困難を乗り越えて未来に進む力が必要なんだ。言い換えれば、真の「生きる力」を身につけなければならない。
三井 たしかに変化の激しい時代に「生きる力」は重要だね。でも、それを教えるのは難しくない?
住友 ぼくはあまり悲観していない。
三井 どうして?
住友 じつはアクティブラーニングは、日本の近世においてすでに実践されてきた教育方法なんだ。
三井 どこで実践されていたの?
住友 寺子屋だ。
三井 寺子屋って、江戸時代の寺子屋?
住友 そう。主体的、対話的な理想の授業が行われていたんだ。
三井 どんなところが?
住友 寺子屋の授業風景が描かれた古い文献を見ると、机の向きがばらばらだ。現代の学校のように、全員が一律に教壇を向いていない。
三井 一方通行の授業じゃないんだね。
住友 しかも教科も学年も定まっていない。読み書きを学ぶ生徒もいれば、算盤を学ぶ生徒もいる。年齢の異なる生徒たちが、同じ教場で自由に自分の勉強に取り組むんだ。
三井 寺子屋の先生はたいへんだね。
住友 一人の先生がすべての生徒を教えるわけではない。たいていは年長者が年少者の勉強を見てあげる。人に教えることによって、自分自身の勉強にもなる。どうしてもわからないときは生に教えを乞う。生徒の質問を聞けば、その生徒がどこまで理解してどこから理解できないか、先生は把握できる。だから効率よく指導することができる。
三井 機能的な授業方法だね。
住友 主体的、対話的な理想の授業なんだ。
三井 新課程では、ぜひ寺子屋方式を導入してほしいね。
住友 もう導入している予備校もあるよ。
三井 じゃあ、2025年の入試は万全だね。
住友 気が早いって。
三井 受験生の皆さん、頑張ってください。
住友 頑張ってください。


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