脳スト

「脳からストレスを消す技術」とはストレスを消さないこと

「脳からストレスを消す技術」
(有田秀穂著、2008、サンマーク出版)

2008年当時は「ストレス」という言葉はいまより病気の名前みたいなイメージだったのかもしれません。(そうでもないかな)

■ 1、読む目的

どなたかのおすすめ本で挙がっていたのがきっかけ。奥付を見て出版年にひるみましたがさらっと読むつもりでページを開きました。「ストレスを消す」とはどういうことでしょうか。

■■ 2、ざっくり印象

ストレスの仕組みがだんだん明かされてきた(当時)ということで、勝手な印象ですが、自己啓発本というより「科学の本+自己啓発」という感じでした。ストレスの研究ってまだまだ最近のものなんですね(10年を最近というかどうかは別として)。流行の自己啓発本に登場するセロトニンの仕組みやコルチゾールについて、研究者視点で書かれてあり、セロトニンを活性化させる方法についても具体的に取り上げられていました。

■■■ 3、全然ちがう感想

マウスにストレスを与え続けると死に至り、精神的ストレスをあたえても同様の結果になるという実験についてさらりとかかれてありました。ストレス=死、という結果は動物にとって必然なのだと突きつけられた気がしました。ところで肉体的ストレスを与える実験というのはまあ想像できますが「マウスに精神的ストレスをあたえつづける」実験とはどういう……はい、書いてました(涙)。ここでは書けません。とにかく実験としては間違いないかと思います。この辺に感想の大部分をもっていかれました(言い訳)。

■■■■ 4、まじめにまとめ

リズム運動がストレスを緩和するセロトニンを活性化させるということがポイント。歩く、呼吸、咀嚼などのリズム運動は、どれも身体にとっては自然な活動です。セロトニンが増えると前頭前野が活性化し共感能力があがります。いじめ問題で共感能力が未発達で、相手の表情も読めずいじめてしまう子供の話がありますが、前頭前野が活性化することで、共感能力が上がり、相手の顔色などの非言語情報を読み取れるようになり、人間関係がうまくいくそうです。また共感能力が上がるということは相手のことを思い遣ることができるので人格形成にも影響が出てきます。セロトニンは副作用もなく自家精製できる魔法の薬とったところでしょうか。

最近ストレス関連の本を読んでいて、セロトニンを増やそうとか、コルチゾールを抑えようではなく、ストレスをコントロールすることが重要ではないかと感じています。セロトニンとコルチゾールのどちらが善玉/悪玉ではなく、どちらも人間が生きていくうえで必要な身体の仕組みの一部のようです。過剰なストレスに長期間さらられていることが問題であって、どうやら「ストレス」自体は人間が生きていくうえで必要なものらしいです。ストレスにヤられたことのある自分としてははなはだ不本意ですが、どうやらストレスを消すのではなくストレスをコントロールするというのがポイントみたいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?