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第10回:ITベンチャー2年間を経て、福祉分野にキャリアチェンジしました

個人的な話で恐縮ですが、僕にとって大きな転機なので書いてみます。正直1年前はこんなふうに進むとは思いもしてなかったので、人生どこでどんな決断をするかわからないな、面白いもんだな〜と感じます。

2018年6月末で新卒入社して2年間と2ヶ月ほどお世話になったIT企業を退職し、
7月より新天地として、学生時代を謳歌した福岡に戻ってきました。

新卒入社した宮崎のIT企業では採用・広報を中心に幅広く充実した仕事ができて、本当に濃い経験をさせてもらいました。少なくとも3年はいるつもりで入社したので予想より早い卒業ですが、人生最初の就職先として最高の選択だったと思っています。

次の場所は、株式会社ウェルモ。ウェルモは「社会課題をICTと先端技術の力で解決する」というミッションのもと、介護領域と障害児童教育領域で躍進中のソーシャルベンチャーです。

IT業界から福祉業界と聞くと、傍目には大きく異なる業界へのキャリアチェンジに見えると思います。しかも、業務内容も経験のある採用・広報ではありません。

キャリアチェンジした2つの理由

今回のキャリアチェンジの理由は?、と尋ねられれば、単純にこうです。

「福祉をやりたいと直感的に思ったから」
「少子高齢化に向き合いたいという思いがどうにも消えないから」

決断の理由はシンプルに、それをやりたいから、でいいと思っていて、純粋に上記の理由になります。

とはいえ、僕もなかなか理屈っぽい性格でして、自分の直感的な選択に説明を求めるのは野暮だなと思いつつも、言語化しないことにはどうにも収まりがつきません。
そこで、整理してみると、だいたい2つの理由がありました。

1つ目:新しいきっかけをくれた介護現場の友人

1つ目は、まずきっかけとして、「介護」の現状に疑問を抱いたからです。

正直にいうと、僕はこれまで福祉というテーマにさほど関心がありませんでした。友人知人には福祉関係で仕事をしている人も少なくなく、関心を持つ機会は比較的多かったはずですが、どうにもピンときていなかった。きっと、本当に困っている「切実さ」を身近に感じたことがなかったからだと思います。

昨年のこと、久しぶりに会った友人から、介護現場の仕事を辞めたと報告をもらいました。控えめに言ってもとても優秀な人だったので、介護現場でもかなりの期待をされていたと思うのですが、話を聞くと、優秀が故に色んな仕事が彼女に集中し、とんでもないハードワークになっていたようです。明らかに業務過多で、自分がやりたい仕事にも手がつかない。介護施設の労働環境については耳にしたことがありましたが、初めて生の声として実感しました。

「彼女のように優秀で想いある人が活躍できないようでは、介護現場はどんどん悪くなる一方じゃないか...」

そんな疑問を抱いてから、少しずつ介護問題に関心を持つようになりました。少子高齢化の進む日本で、介護業界は今度ますます重要になってくるはずなのに、現状がまったくその未来に追いつけていないように思えたのです。
同時に、福祉というテーマについて、色々と考え始めるようになりました。
その友人は今はまた別のかたちで福祉に取り組んでいます。僕に新しい視点を与えてくれた彼女には本当に感謝しています。

2つ目:少子高齢化は人類史上最大の問題

2つ目は、少子高齢化という問題が、めちゃくちゃやりがいがある問題だと、学生時代からずっと思っていたからです。

人生100年時代、という言葉も、最近ではテレビですら聞かれるようになりました。僕はいま27歳。これから70年近く生きると仮定して、僕が生きている間に世の中で起こる大きな問題は何だろう...? 

僕が生きている間に日本で顕在化する切実な社会問題を考えると、主に3つ思い至りました。早めに顕在化するほうから順に、少子高齢化問題、エネルギー不足問題、そして資本主義の限界の3つです。

学生時代は主にエネルギー不足問題に目を向けていましたが、上述した友人の話を聞いた際に、まずは少子高齢化が日本で一番大きな問題になると改めて思いました。よく耳にする地方創生といった地方の問題も、少子高齢化が根本的な問題にあります。(3つ目の資本主義の限界というのは、およそ不完全な資本主義の次となるモデルを僕らの世代で作り上げることができるはず、という想いなのですが、それについてはまた別の機会に書いてみます)

そこで試しに掲げてみたのが「少子高齢化社会にテクノロジーで適応する」という個人的なミッションです。

テクノロジーに重きを置いているのは、世の中がガラッと変わるようなテクノロジーが、ここ10年〜50年でまだまだたくさん起きると確信するからです。インターネットが世界を繋げてグローバル化を促進し、個人の力を最大化したように、同等レベルあるいはそれ以上の圧倒的なテクノロジーが、デジタルもサイエンスも含めて、これからたくさん登場します。

少子高齢化という人類史上最大級の問題に、その問題にどの他国よりも先に直面する日本で、隆盛する色んなテクノロジーを駆使しながら、その解決に向かってアレコレ仕掛けていく。
そう考えると、少子高齢化という問題は、めちゃくちゃやりがいのあるテーマだと思いました。

少子高齢化問題は「出生数の減少」「高齢者数の増加」「労働者世代の減少」の3つに分解できます。なら、まずはこれら3つの課題に関わる領域で仕事をしたい。具体的には、保育、子育て、介護、外国人労働者、女性・シルバー人材、AIなどの領域、そして子供若者が減少するからこそ重要性が高まる、教育の領域です。そんな軸で色んな取り組みを探したときに、今の会社を見つけたのでした。

※少子高齢化についての整理では、「未来の年表 - 人口減少日本でこれから起きること(著:河合雅司)」が大変参考になりました。

いまは、福祉事業そのものに向き合ってみたい

先ほど述べたように、僕が福祉に興味を持ったのは「介護」がきっかけでした。ただ、今はもっと広義に、福祉そのものに、もっと言えば福祉事業そのものに関心を持っています。

本当にこれまでは全く知らなかったのですが、介護や医療のビジネスは介護保険や医療保険で成り立つが故に非常に特殊な世界です。飛び込んだばかりの僕は未だにルールを理解しきれていませんが、制度面だけでなく、人間のセンシティブな側面と向き合う性質のために考慮すべき点も多く、一般のビジネスとは違うなと感じるところが多いです。

でも逆に、もっと一般のビジネスの知見やテクノロジーの力を活かせるのでは...?とも思うのです。福祉業界で想いを持って働く人々と話せば話すほど、僕にもまだまだやれることがあるように思えました。

そのため、まずは、福祉事業の当事者として関わるところから始めたいと思っています。
具体的には「UNICO」という、児童発達支援、放課後デイサービスの事業所の運営に関わることになりました。コンセプトやメンバーの熱い想いに共感するとともに、自分がぼんやりと考えていた教育のあり方に近づけるようにも感じています。先日初めて事業所のお子さんやスタッフと会いましたが、人も空間も本当に素敵。この事業の詳細や意義についてはまだまだ知らない部分が多いので、もう少し現場や実践を経てから書いてみたいと思います。

また、同時に今まで同様に、スタートアップ界隈、テクノロジー界隈の人々とも分野横断的に、もっと積極的に関わっていきたい。本業以外でも、異なる業界の言語を翻訳して可能性を探り、色々とトライしていくところに、今後は注力したいと考えています。

問題意識を持ったとき、もっとかろやかに動ける社会

最後に、今回の転職を通じて感じたことについて。

ここまでさんざん個人的な想いを書きましたが、福祉についても、少子高齢化についても、僕の知識や経験はビギナーレベルでしかありません。もっと熱い想いを持ってその問題にずっと向き合い続けている人もたくさんいます。この記事を書くときも、”福祉”はどうしても切実でセンシティブなテーマであるので、何も知らない僕ごときが何を語れるのか...浅はかに聞こえやしないか...と思う部分も少しありました。

でも、切実で、センシティブなテーマだからこそ、重たい空気にならずに、もっとかろやかに問題解決に当たってもいいのではないか。宮崎でお世話になった方にそのようなことを言っていただく機会があり、それを聞いて、なんだか足が軽くなったように感じました。

生きているなかで「これっておかしいな」「なんかこのままじゃまずい気がする」という疑問や怒りを持つことって、誰にでもあると思います。そういう問題意識を持ったとき、さらにはその問題を解決したいと思ったときに、遠慮や足踏みをせずにもっと”かろやかに”取り組んでみてもいいんだと思います。

特に、切実なテーマになるほどに、どうしても語るに億劫になってしまうことが多いですが、何も遠慮せずに思ったことを思ったままに言い、気になるからやってみよう、くらいの気持ちで何かアクションしてみる。

そんなふうな社会になると、もっと色んな能力を持った人材が色んなフィールドに現れて、思ってもない角度から物を言い、思ってもない解決策を見つけたりしそうだなと思うのです。人材の流動性を高めるためには、やってみよう的な軽い気持ちで動くことを許容する社会が必要だなと。

前職で新卒採用に2年間関わってきても感じましたが、就職活動も、もっと軽い気持ちで取り組んでいいと思うのです。その選択一回で死ぬわけでないし、新卒チケットを取り損ねても別に面白い働き方はいくらでもある。軽い気持ちで色んなたくさんの選択を重ねてきた人のほうが絶対面白い。

なんだか、一個一個の選択や決断を、もっと軽い気持ちでエイっと決めちゃえるできるような、そしていくらでもやり直しできるような、そんなかろやかな社会にしていきたいなとも、今は思っています。

伊地知は福岡で、福祉の仕事をはじめたので仲良くしてください

...ということで、僕は福岡に戻ってきて、福祉分野の仕事をはじめました。先ほどからつらつらと大それたことを書いていますが、0からスタートなのですぐに音を上げてしまわないとも限りません(笑)。そうならないよう、まずは本業に集中してしっかりとやっていきたいと思います。その内容についても、もう少し整理できるくらい現場を体感してから書いてみたいです。

また「少子高齢化社会にテクノロジーで適応する」という個人的ミッションも大事にしつつ、色々と他にも仕掛けていきたいなと思うので、面白い話があれば、かろやかにお声かけいただけると嬉しいです。

Photo by Ross Findon on Unsplash

ここまで読んでいただいて本当にありがとうございます! 少しでも楽しんでいただけましたら、ぜひスキをお願いします!