立川(24.9/24)

これは本当になんて事ない一日のことで、いつか同じ感覚を味わうこともきっとあると思う。そう信じたいが、保証はないので一度言葉にして取っておくことにする。

東京に秋が来た。なんとも味気なく品のないカットインだった。趣深い四季など伝説かもしれない。とにかく先週末までの残暑が嘘のようだ。
だが、9月後半とは思えない汗ばむ陽気に嫌気がさしていたのは事実であり、寒暖差に小言を言いつつ涼しい夜風にはゾッコンであった。

昨日は友人たちと、都内某公園で開催されていたドイツビールのフェスへと足を運んでいた。銘柄に詳しいわけではないが、知らないビールを飲むのは好きだ。単純にビールが好きだし知的好奇心が満たされる。とカッコつけてはみたものの、昨日飲んだビールの名前は全然覚えていない。またどこか飲むことがあったら、そのときに昨日の事を思い出せれば良いと思うのだ。
まあともかく、前日に思いつきで決めた行先ではあったが、それなりに期待は膨らんでいた───

ビール1杯1600円!

1500円のサイコロステーキ、6切れのみ!

ステーキの中心が、冷たい!
冷めているのではなく、冷たい!

19時前後、我々は立川へ帰って飲み直すことを決意し東京タワーに背を向けた。立川に着いたあと、とりあえず目指してみたお店の道中で新しい居酒屋を発見したのでトライしてみた。安くて良い店だった。1人がさっそく腹を下していた。


そして今、時刻は18:30。また立川にいる。
用件は本屋で取り置きして貰っていた教科書を買いに行くことのみである。
4限まで講義を受け、山手線で東京駅まで向かい、中央線の座席戦争を制してここまで来た。
座れたしほとんど寝ていたけど、それでも満員電車は疲れる。目が覚めると知らない人で視界が埋め尽くされているのだから。三鷹で起き、国分寺で起き、三度目の正直、立川に着いた。

人の流れに逆らいながら北口のアーチへ出ると、やはりもう暗かった。空気も冷たい。

その瞬間、えも言えない感情で体内がいっぱいになった。寂しくもあり、愛しくもあり、懐かしくもあるような、言葉にし難い感情。

当時は気が付いていなかったが、暗くなってから1人で帰るのはすごく寂しかった。寒くて心細かった。母校の制服を着た集団を見て、そんなことを思い出した。


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