見出し画像

「失敗を語ろう。」 HIRAC FUND古橋編

このnoteは、マネーフォワード代表辻の「失敗を語ろう。「わからないことだらけ」を突き進んだ僕らが学んだこと」の出版に合わせた、公式スピンオフ企画です。

創業初期〜『BOXIL(ボクシル)』がリリースされるまで

こんにちは、HIRAC FUND代表パートナーの古橋です。
今回マネーフォワードグループ代表の辻さんが書籍出版されるということで、便乗して僕らも失敗を語っていこうとこの企画がスタートしました。

私もご多分に漏れずたくさんの失敗を経験しているのですが、今回は、私が創業し、現在は会長として経営に関わるスマートキャンプでの、創業初期〜『BOXIL』がリリースされるまでを書きたいと思います。

2014年スマートキャンプを設立。当初は資料作成代行サービス『SKET(スケット)』を運営していました。

当時はビジョンとして「日本のホワイトカラーの生産性を飛躍させる」ということを掲げており、銀行でもベンチャーでも資料作成にかなりの時間を費やしていたことと、クラウドワークスやランサーズなどのクラウドソーシングサービスが一気に立ち上がるタイミングでもあったので、特化型でやっていこうというのが狙いでした。
※ソシャゲのイラスト特化など、急激に成長したスタートアップも出てきた時期だったと思います。

リリース直後から発注はあったものの、デザイナーの確保が追いつかず、面白いくらいにスケールしませんでした。(苦笑
デザイナーの森重くんのレベルが高く顧客満足度は良かったのですが、冷静に毎月数十万の売上をずっとやっていても伸びないし、かつ属人的すぎて急成長を目指すベンチャーではないよねということで、立ち上げて半年ですぐにピボットを決断しました。

初めてのプロダクト開発『BOXIL』

『BOXIL』の開発を開始した当初は、まだフルコミットエンジニアがおらず、週末だけ手伝いに来てくれていたジャック※を中心に、副業で来てくれていたエンジニア5〜6人でチームを作って開発をスタートしました。
※ジャックは中国出身のエンジニアで、「モウ・ショウシン」が本名です。みんなであだ名を付け合った際に、目の前にあった「ジャック・マー」の書籍から着想して「ジャック・モウ」にしようということで決まりました。全員忙しさに冷静さを失っていたことを物語っていますw

当時、私はディレクション経験がなかったため(今もできないのですが)、周りのフリーランスや先輩経営者の方に教えを請いながら、手探りで開発を進めていました。

そして、誰が何にどれくらいの工数をかけているかもわからないまま時が過ぎ、3ヶ月経った頃に「デモができた」ということでワクワクしながらチェックをすることに。

サイトを開いた瞬間、絶句しました。

(デザインなんか思ったのと違う、、なぜか全体的に赤い、、?)

(この機能は単なるスライドシェアでは、、?)

これはとてもじゃないけどリリースできないな、、ということでチームを一旦解散。私とジャック二人だけで改めて開発をすることになりました。

週末しか来れないジャックに無理を言って頑張ってもらい、なんとか2015年4月末にローンチすることができました。結局フルコミットメンバー0、ディレクション経験0のままサービスローンチまでこぎつけたのです。

当時進捗の悪さに、資金調達したソラシードスタートアップスタジオ柴田さん(創業初期からの投資家/取締役)から「私がディレクションしましょうか?(怒)」と言われていたのですが、ここは自分がやらないと成長しないだろうと思い奮起しました。
温厚な柴田さんが怒り気味だったのは後にも先にもこの時だけだったと思いますw

スクリーンショット 2021-06-23 23.27.48

ローンチされた日のFacebookポスト。SKETの名残があるので、魅力的な資料との出会いを推してますw

今は月間数百万PVを有するSaaSマーケティングプラットフォームに成長した『BOXIL』ですが、リリース直後の初速PV数はなんと「10」。UUではなくPVなので、私が詳細ページ等を行き来した数字も含めて「10」です、、。

「失敗を語ろう。」でマネーブックをリリースした時に友人しか使ってくれなかったというエピソードがありましたが、まさに同じような感覚を味わっていました。

学んだこと

あれから6年、その後もSaaSを世の中に浸透させていくという思いで、諦めず開発を続けたことで、『BOXIL』はスマートキャンプを牽引するプロダクトになりました。

当時の失敗から学んだことは、「駄目だった時の撤退判断」&「逆に望みがある場合の次の打ち手に移行するスピード」の重要性です。

実際、『SKET』に固執せず早々に撤退し、手探りながらも『BOXIL』を開発着手していたこともあり資金調達もすることができたので、「この事業スケールしないなぁ」や「できる人がいないから開発できないなぁ」と泣き言を発しているだけでは、今のスマートキャンプはなかったと思います。
勿論現在社長である林、COO阿部、CFO峰島といった経営陣を中心に優秀な仲間達が集まってくれたことも、成長する大きなきっかけとなっています。

事業撤退も含めた撤回発言は経営者にとって勇気が要ることです。事業や組織が大きくなるとステークホルダーも増えるので、なおさらですね。そういった意味で、創業初期の段階でこの失敗を体験でき、その後のサービス成長につなげられた体験は、僕にとって大きな財産になりました。

今後も、撤退・推進ともにシビアな判断とスピードを求められる機会があると思いますが、事業や組織の規模に惑わされずに、意思決定をしていければと思います。

興味を持っていただけた方は、是非本編も読んでいただけますと幸いです。

その他のスピンオフ記事はこちら!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?