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【9】発達障害の私が翻訳者になって気ままな在宅で自由に生きるまで

ツールの使いかたを学ぶには派遣はおすすめ

翻訳には、大きく分けて産業翻訳、文芸翻訳、映像翻訳(メディア翻訳)などの分野があります。

そして実際に仕事がたくさんあるジャンルが産業翻訳です。言い換えれば稼げるジャンルとも言えるでしょう(映像翻訳などのメディア翻訳の需要も増えていますが、仕事のボリュームから言えばやはり産業翻訳です)。文芸翻訳を手掛けている人でも、気分転換や定期的な収入確保のために実務翻訳もやっているということもあります。私がやっているのも主に実務翻訳です。

個人で仕事をすることの多い文芸翻訳では、MicrosoftのWordで翻訳作業をする場合もあると思いますが、産業翻訳の世界は基本的に「翻訳ツール」というものを使います。

この翻訳ツールを使いこなせるかどうかが、実務翻訳者としての事実上の登竜門といってもいいでしょう。ここでは翻訳ツールに親しむための王道のひとつについて説明します。

〜〜 このマガジンの目次です 〜〜

【1】はじめに 〜どんな人に向けて書いたのか〜
【2】発達障害が見つかったきっかけ…それは瞑想の先生
【3】発達障害が判明してからがスタート
【4】5年間のブランクから脱しようとするも、ブラックに落ちる
【5】プログラミングスクールの落ちこぼれ 
【6】3つのスキルをかける。100万分の1の人材になる方法
【7】
日本人が英語を使う仕事をするならTOEICは避けられない
【8】翻訳者にとって語学力以外に重要なこと

【9】ツールの使いかたを学ぶには派遣はおすすめ<< this note!
【10】メンタルのコントロール

あなたに専門はありますか?

実務翻訳は、法務、特許、金融、経済、マーケティング、医薬、機械、IT・コンピューター、環境やエネルギー、旅行などさらに細分化されます。

どれほど英語力が高くても、専門知識がないと、ある単語をどのように解釈するか(訳語)がわかりません。つまり、プロとして翻訳の仕事をするには、英語力に加えて、専門知識プラス日本語力が必要になります。

このため、駆け出しの翻訳者は日々翻訳の勉強に加えて専門分野の勉強もしなければなりません。このことを、とても大変だと感じる人もいるかもしれませんが、知らない世界の学びを探求したいという人にとっては、楽しい努力だと言えるでしょう。

膨大な未知の世界に乗り出していくことにワクワクできる人は翻訳が向いています。

ITの基礎力が求められる翻訳ツール

実務翻訳は、通常ひとつのプロジェクトを複数の翻訳者で分担するために、用語がばらばらになったりしないよう翻訳ツールを使って行います。さらに翻訳終了後品質管理のためのツールを使ったりします。

これらのツールの操作は、慣れればたいして難しいものではありませんが、初めてだと確認しなければならない項目が多く、戸惑うかもしれません。

私は何人もの人に実務翻訳の仕事を紹介していますがあるレベル以上のIT理解力とオンラインでの問題解決力がなければ、実務翻訳者になれないと感じています。英語が得意で、英語力を生かした仕事をしたいという人に、実務翻訳を紹介したくても、たとえばやや複雑なファイル構造が理解できないという場合は、仕事を紹介するわけにはいかないのです。

また、メールチェックが1日1回だったりすると、テンポの早い実務翻訳の世界にはついていけません。

つまり、ある程度ITに馴染んでいるということが重要な条件になります。

たった一人で問題解決することができるか

さらに、通常、仕事はオンラインで行われるため、ツールの使い方などは基本的にオンラインで動画を見たり、WordやPDFで送られてくる資料を読んで学ぶことになります(そしてほぼすべてが英語です)。不明点があれば、英語で質問して解決していかなければなりません。

英語圏の担当者の中には、言葉足らずで説明が不十分な人もいます。それでも食らいついて、たった一人で不明点を解消して、ツールを使いこなさなければならないのです。

これまで翻訳の仕事を紹介してうまくいった人は、ほぼ全員が「バックパッカー歴」のある人だったのは偶然ではないと思います。駆け出しの翻訳者は、まるで一人ぼっちで旅先で途方に暮れるような状況に陥るのです。そこでがむしゃらに活路を開くことができるかどうかが、その後を左右するように思います。

プログラミングスクールから翻訳会社の派遣社員になる

私は王道のコースのひとつを選び、翻訳の世界に入ることができました。プログラミングスクールを終えて求職しているときに、翻訳会社に派遣として働くことを選びました。

ときどきあるのは、翻訳スクールを卒業してから、プロの翻訳者として独り立ちするために翻訳会社で働くというケースです。翻訳会社に入ることで、実務翻訳とは、どのような役割の人が関わって、どのような流れで納品まで行われるのかがよく理解でき、さらにツールの操作方法もマスターできます。

翻訳ツールの中には数十万円もする高価なものもありますが、翻訳会社で働いていれば無料で利用できます。私は、この点だけでも翻訳会社の中の人になってみることのメリットはあると思いました。私も一通りの操作方法を教えてもらったことが、その後のスムーズな仕事獲得に役立っています。

私は知人を何人も翻訳者としてスカウトしましたが、相当ITの理解が深い人でも、最初は翻訳ツールの操作方法に戸惑っています。知り合いの場合は実際に対面で操作しながら教えましたが、通常はオンラインの動画や資料を見るだけなので、かなりハードルが高いと感じます。

遠回りなようで近道だったプログラミング

翻訳者としてスタートした当初、私のTOEICのスコアは700点台と、はっきり言って低いものでした。このスコアだと派遣と言えども翻訳会社に入ることは難しいです。ところがプログラミングを学んだことが功を奏して、業界に滑り込むことができました(TOIECのスコアは、翻訳者としてスタートしてから900点台まで上げました)。

すでに説明したとおり、実務翻訳には英語力に加えて専門性が求められます。その点を評価していただけたことはありがたかったです。

たとえば高い報酬が得られると同時に難易度の高い医薬翻訳でも、医師や薬剤師、看護師の免許を持っていればぐっと参入が容易です。また法務や金融の実務経験があれば、関連ジャンルの実務翻訳の仕事を獲得しやすいのは当然です。

社会人になってから翻訳者を目指すのであれば、どのようなジャンルにおいて専門性を発揮できるのか、これまでの自分のキャリアを振り返ってみましょう。

そこに英語のスキルを加えていくことで、思いもかけない道が開ける可能性があります。

外資系や国際的な仕事を目指すなら

もう一つ、盲点とも言えるポイントが学位です。日本では大学院に行くと就職率が下がる可能性があるため、通常大学の学位を取得した段階で社会人になるのが一般的ですが、国際的な基準では、専門職の場合は修士がほぼ必須です。日本人で大学院に行く人はあまり多くないので、翻訳者の場合は必須だとは言えませんが、外資系に就職したり、英語圏のエージェントに登録する場合は学位はプラスです。修士はもちろんのこと、博士号は非常に評価されます。勉強する時間が取れるのであれば、大学院に行くことも検討するsといいと思います。

なお、どうしても翻訳やローカライズを専門にしたい場合は、関連する学位を取ることを強くおすすめします。

〜〜 このマガジンの目次です 〜〜

【1】はじめに 〜どんな人に向けて書いたのか〜
【2】発達障害が見つかったきっかけ…それは瞑想の先生
【3】発達障害が判明してからがスタート
【4】5年間のブランクから脱しようとするも、ブラックに落ちる
【5】プログラミングスクールの落ちこぼれ 
【6】3つのスキルをかける。100万分の1の人材になる方法
【7】日本人が英語を使う仕事をするならTOEICは避けられない
【8】翻訳者にとって語学力以外に重要なこと

【9】ツールの使いかたを学ぶには派遣はおすすめ<< this note!
【10】メンタルのコントロール



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