社会人だからこそ自分と向き合う時間が必要だった_マイフィールドコース濵野優貴さん【在校生インタビュー】
さとのば大学では、「地域おこし協力隊」や「地域コーディネーター」など、地域に根ざした活動をしている方を対象としたマイフィールドコースというコースがあります。
2024年度春よりマイフィールドコースを受講している濵野さんは、さまざまな研修やセミナーでの学びも経験する中で「ハウツーではなく、自分のモヤモヤ感を深堀りする設計になっているのがさとのば大学の面白い部分」と表現してくれました。彼がさとのば大学での学びで得たもの、感じたことについてお話を伺いました。
よくある研修やセミナーとは、いい意味で違う
ーそもそも濵野さんがなぜさとのば大学を受講したのか、きっかけを教えてください
もともと地域移住に興味がありましたし、オンラインで学ぶことにも可能性を感じていました。
大学の後輩で、コロナ禍になったタイミングで大学を休学して、1年漁師のところにインターンに行っていた人がいたんです。その人の姿を見て、すごくいいなと思って。復学した後も、そのまま漁師のところで活動しながら、オンラインで講義を受けることができたら。そんな風に、生の場で実践しながら学ぶことができたら最高なんじゃないかなと思ったんですよね。
ただ、日常の職場の中では、まだまだICTの活用などが進んでいない場面も多くあって、もどかしさを感じていました。
そんなときに、インスタでさとのば大学をたまたま見つけて。
まさに自分が「今後の教育はこうなっていくんじゃないか」と妄想していたことをやっていると感じて、自分もその場に飛び込んでみたいと思って受講を決めました。
ー実際にコースがはじまってみて、いかがでしたか?
よくある研修やセミナーとは、いい意味で違うなということはすぐに実感しました。
通常、研修・セミナーはハウツーというか、知識やスキルなどの習得を目的としたものが多いと思うのですが、さとのば大学のコースはそうじゃなくて、「わたし」ということにすごく重きをおいていて、そこにフォーカスする時間が多いなと感じています。
地域文脈でいうと、「地方創生」「地域活性化」なるもののハウツーを教えてくれるセミナーなどは増えていると思いますが、さとのば大学は、地域で暮らすことを通じて自分を見つめ直す、内省的な支え合うコミュニティだなと感じていて。これは、他のどこにもないと感じています。
理論と実践の行き来をしながら、自分自身を見つめ直す
ー「内省的な支え合うコミュニティ」という表現、まさにな気がしています。もう少し詳しく教えてもらえますか
さとのば大学は、精神的・内面的に自分と向き合う場・コミュニティだなと感じています。オンライン講義の中でも、地域での活動への振り返り・自分との対話・そこから生まれるモヤモヤ感と向き合う時間・ピアメンタリングなどをする時間を、とても贅沢にとっていると感じていて。
焚き火を囲むような感覚に近いと感じています。
ー「焚き火のような学び」ですか
焚き火を囲むって、なんとなく言葉にするのが難しいんですけど、すごく心地いいですよね。焚き火の前で静かに時間が流れる中で、何を考えているかをゆっくり言葉にする。
さとのば大学での対話の時間は、まさにそんな感覚です。沈黙もひとつの大事な時間として捉えられていて、競争とか急かされる感じがないんです。だから、ゆっくりと自分の考えを深めていくことができるんですよね。自分と向き合うことって、普段の生活だとなかなかできないんですけど、さとのば大学ではその時間が確保されていて、しかもその空間に安心感があるからこそ、自然と深い考えに至れるんだと思います。
それに、プロジェクトベースだからこそ、今自分が何にモヤモヤを感じているのか、どこを伸ばしたいと感じているのかなどについて、具体的な場面などを思い浮かべながら、考えを巡らせることができます。そこで考えたことが、また実践にも活かされていく。
単なる知識の獲得を目的とした学びの場というよりも、理論と実践の行き来をしながら、自分自身を見つめ直す場だなと感じています。
数ヶ月かけて、自分の想いを棚卸しして言語化していったのが大きかった
ー今、取り組んでいるプロジェクトについても教えてください
「haconiwa village(ハコニワビレッジ)」というプロジェクトに取り組んでいます。このプロジェクトは、地域でシェアハウス型のコミュニティを作り、地域と移住者が共存しながら成長していく場をつくることを目指しています。
僕の人生の究極のゴールは、「教育の地域格差と経済格差をなくすこと」だと思っていて。その手段として、誰でもチャレンジできる場所づくりに取り組んでいます。
もともと移住候補だった地域で物件探しをして、自分の理想に近い空き物件が見つかったので、今は物件の交渉中です。年内には、物件の取得と並行して、クラウドファンディングの企画、補助金その他の情報収集・申請、リノベーションの計画をしていく予定です。
ーこの数カ月間で、いろいろなことが猛スピードで進んでいっている印象を受けます
そうですね、もともと「誰でもチャレンジできる場づくりに、いつか取り組みたい」とは思っていたのですが、ボヤッと頭の中で浮かんでいる、くらいで深く考えられてはいませんでした。それが、さとのば大学の講義内などで考えを巡らせたりいろんな人に話して感想やアドバイスなどをもらっている中で、絵が具体的になっていって、行動にうつしたらあれよあれよとコトが進んでいる、という感じです。
ーなにか自分の中でスイッチが入ったタイミングはあったんですか?
明確なタイミングがあるというよりは、コアキナイ演習(さとのば大学の講義の1つ)の中で、数ヶ月かけて、自分の想いを棚卸しして言語化していったのが大きかったような気がしています。想いや大事にしたい部分って、そんなにポッとでるものではない気がするんですよね。少しづつブラッシュアップしていくプロセスをふめたのがよかったです。
あとは、毎週講義があるので、何かしら次の週までには進んでいたい気持ちもわいて。小さなアクションでもやってみることにつながっていったと思っています。行動した中ででてきた「ここどうしようかな」とか「よくわからないな」みたいな疑問なども翌週に講義内で場にだして解消できたりしたのもよかったです。
ーまさにさっき話していた「理論と実践の行き来」をしていたんですね
本当ですね。「地域で場作りをしたい」という漠然とした自分の中にあるワクワクした想いと日々のアクションの積み重ねが絡み合って、より具体的になってきている感覚です。講義が毎週あるのも、「未完成でもいいから場に出してプロジェクトをもむ」、「小さくでもいいから何かしてみる」、みたいなサイクルをまわすのに手助けになったと思っています。
1人ではなく、仲間と進める価値
ー印象に残っていることを教えてください
さっきの話の延長になりますが、こうゆうプロセスってけっこう1人だとしんどくなる気がするのですが、意見を求められる仲間と進められたのは大きかったです。
受講する前は、「地域で場作りをしたい」ということを考えてみても、「本当に自分ができるのかな」とか「そしたらどうやって食べていくんだ?」とか、自問自答の中で自分でプロジェクトのハードルを高くしていました。でも、「小さくでもいいし完璧じゃなくていいからまずはやってみよう」とか踏み出せるようになったのは、講義内容ももちろんですが、応援してもらえる他の受講生や講師の人たちと出会えたからこそな気がしています。
だからこそ、オンラインで話している他の受講生とリアルに会えたときの嬉しさはひとしおでしたね。宮城の女川で受講生・さとのば事務局メンバーで集まったときは、リアルでははじめましてなのに全然そんな感じがしなくて。普段のオンライン講義の中で、プロジェクトなどを通して、お互いの自己開示をすごくしあっているからこそ、すぐに縮まる距離感、みたいなものを体感しました。その感じは、他のオンライン研修とかでは考えられないような、さとのば大学だからこそのものだなと思っています。
「思い描いていた自分」と「現実の自分」との間で、ズレを感じている人へ
ー入学を検討している人へメッセージをお願いします
僕みたいに、社会人として働きながらも、じっくりと自分と向き合う時間の必要性を感じている、そんな人に届くといいなと思っています。
自分の将来・これからのキャリアや自分が本当にしたいことについて、ちゃんと考えたいと思いつつ、日々をこなすことに追われて後回しになって。その漠然とした不安だけがどんどん増してしまっている人って、社会人として普段は普通に働いている人の中にも、案外多いのではと思うんです。
さとのば大学の「旅する大学」というキャッチフレーズに文字って言うと、さとのば大学は「“わたし”を旅する大学」だなと思っています。
プロジェクトを進めるためのハウツーではなく、終始一貫して自分のモヤモヤ感を深堀りするカリキュラムになっているのが面白い部分です。
人生全体を長い目で見て、自分の内側とじっくりと対話することに主眼が置かれているので、少しずつ、自分のやってみたいことがクリアになっていって、結果的には自分の将来・これからのキャリアについて展望をもつことができる設計になっている。
もし「思い描いていた自分」や「社会・世間や周囲の関係」と「現実の自分」との間で、ズレを感じている人、チューニングの必要性を感じている人に、おすすめしたいです。
あとは、こういう自分の内側にフォーカスすることって高尚に捉えられがちというか。ちょっと俗世とはかけ離れたものと思われがちですが、さとのば大学の周りには、いろんな考えを持ったり行動を起こしながら、ときにはへこんだりもしながら、一般社会の中で、普通に生きている人が全然たくさんいて。
手の届く範囲の世の中にそういう人がいっぱいいる、ちゃんと生きて暮らしてるなってことを体感できるのも、大事な気がしています。
🔻その他のマイフィールドコース生インタビュー
https://note.com/satonova/n/n55d4770c0053
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