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いちばの本棚〜ニルスのふしぎな旅〜

2018年 11月掲載
文:HOA BINH TABLE
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わたしたちは毎年6月名古屋で行われる「こどもハッピーライブ」に出店させていただいています。

ライブは男性4人組みのバンド「チルドレンミュージックバンドCOINN」。小さい子どもから大人までが楽しめる、家族で楽しみにしているイベントです。

COINNの楽曲は良質な児童文学や楽しい絵本のような曲ばかりです。

そんなCOINNの楽曲の中の「大切な話し」という題名のうたをきいた時、息子に読み聞かせた「ニルスのふしぎな旅」のことを思い出しました。


そのことを、曲をつくったギターのしらいわさんにお話ししたところ、昔アニメで見た気がするけど読んだことはないとの事でした。その後、私たちが何か月もかけたこの本を早速に読んだと連絡してくれました。

COINNは寝る前の読み聞かせのような「おやすみライブ」を動画で配信していて、その時このエピソードと共に「大切な話し」をうたってくれました。


スウェーデンの児童文学「ニルスのふしぎな旅」は、20世紀初頭、産業革命による社会構造の変化に危機感を感じた教育者が、新しい時代に目を向けた教育改革の必要性を感じ、求められたのが、自国について学べる新しい地理の教科書でした。そこで白羽の矢が立ったのが、教師の経験を持ち、作家としてデビューしていたセルマ・ラーゲルレーヴでした。

この物語は6年の歳月をかけて書かれました。主人公のニルスが小さくなった体でガチョウに乗って空からながめる景色によって地理を知り、様々な体験では地方に伝わる伝説や歴史、人々の暮らしぶりなどを美しく伝えています。

豊かで深いお話を地理の教科書として形にできる作者はもちろんですが、それを教科書として求めた大人たちの情熱に、親としての大切な視点を教えてもらっているようです。作者の郷土愛からの深い知識を思うと、今こども達に大切なことにを考えさせられます。

秋の夜長、お子さんに読み聞かせだけでなく、大人も楽しめるこの物語を読んで、ぜひ感想を聞かせていただけるとうれしいです。

               


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