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アニサキス・アレルギーかも?と思ったら(IgE抗体検査とプリックテスト)

2018年3月23日夜に魚を食べて、突然アニサキス・アレルギーになり、死にかけました。それ以来、大好物だった魚介類全般食べられません。ダシやエキスも食べられません。食べたら命に関わります。
このアレルギー、あまりに知られてません。不勉強の医者だとその存在も知りません。情報が少なすぎます。でも、あなたも明日なってもおかしくないアレルギーです。少しでも情報が多いほうがいいので、個人的経験談を書いて残しておこうと思います。


アニサキス・アレルギーって、誰でもなる可能性があります。

あ、アニサキス・アレルギーって何って方は、ボクがなったときの壮絶な話をまずは読んでください。

魚介類、ほぼすべて食べられなくなります。

生魚も、焼き魚も、フライも、煮魚も、練り物も、ダシも、エキスも、無理になる。
つまり、鮨も、刺身も、魚定食も、アジフライも、うな重も、鍋も、ダシを使うそばやうどんやラーメンも、蒲鉾とかキムチとかも、NGです。

ま、ざっくり、暗くつらい方向に人生変わっちゃいます。


アニサキス・アレルギー・・・厄介です。

アレルギー体質ではなく、他にアレルギーをひとつも持っていなかったボクですら、たったひと晩でなりました(花粉症すらもってなかった)。

つまり、あなたもなる可能性が十分にあります

というか、もうなっている可能性すらあります

青魚を食べて蕁麻疹がでたとか、魚にあたったことがあるとか、特定の魚介でイガイガしたりするとかだったら、それはもうアニサキス・アレルギーかもしれません。

というか、イタリアの、ある「魚をよく食べる地域」では、住民の15%がアニサキス・アレルギーだったという調査結果があるそうです。

日本の漁村地域に住んでいる方とか、普段から魚を多く食べる方とか、釣りをよくする方とか、あなたのそのだるさ、アレルギーかもしれませんよ。

実際、ボクの友人も、「魚をたくさん食べた翌日、なんかとても調子が悪い」と気づいて、念のため病院で検査してもらったら、見事アニサキス・アレルギーだったそうです。

それからは魚介類をなるべく避けて生活をすることで、カラダはとても楽になったそうです。


では、アニサキス・アレルギーかもしれない、と思ったらどうするか。

それをここから書いていきたいと思います。

なってみてわかったんだけど、アニサキス・アレルギーの情報って本当に少ないです。

ネット上でもほとんどないし、本も出ていない。
というか、アニサキスを専門に調べている先生自体が日本に一人か二人だったりする絶望的な状況です。

つまり、ボク個人の経験だとしても、少しでもお役に立つ可能性はあるので、ここにまとめてみようと思います。

なお、以下に書くのは、ボク個人が経験したこと、です。
一般的な症例でもないし、エビデンスもありません。

以下に書くことがあなたにとって正しいかどうかはまったくわかりません
ので、注意しながら読んでください。また記述に間違いがわかったり、違う考えやより正しい情報を手に入れたら、その瞬間に追記していきたいと思います。

では、なるべく簡潔に行きますね(とはいえ長いけど)。


検査方法は大きく3つある

一般にアレルギーのアレルゲンを特定する代表的な方法は3つあります。

(1) IgE抗体検査(血液検査)
(2)プリックテスト(アレルゲンを皮膚に刺して反応を見る検査)
(3) 食物経口負荷テスト(食べてみて反応を見る検査)

このうち、アニサキスがアレルゲンかどうかを特定する方法は、主に(1)です。

というか、(1)しかない、と思ってください。

(2)は、ほぼどの病院でもやってません。ボクは(2)を受けられたので、その経験は貴重です(後述します)。

(3)は、アナフィラキシー・ショックに至っていない人はできると思います。食べても死なないからです。ボクの場合は食べたら死ぬ可能性があるので(3)はできません。ゆえにここでも書けません。

以下、(1)と(2)について書いていきます。

何はなくとも「IgE抗体検査」を!

以下のような症状の方、ぜひ一度「IgE検査」を受けてください。

●魚を食べたらちょっと調子が悪くなることがある

他の要因ももちろん考えられますが、アニサキス・アレルギーに罹っている可能性がないとはいえません。

ちょっといがらっぽくなるとかダルくなるとか、たまーに蕁麻疹が出るとかも、アニサキス・アレルギーの軽いのに罹っている可能性があります。一度検査したほうがいいです。

というか、魚で蕁麻疹が出る人はすでにアニサキス・アレルギーである可能性があるという論文が出ています(←国立感染症研究所のサイトです)。検査しましょう。

こんなデータすらあります。
現在、アニサキス、激増中だそうです(このサイトではアニサキス症について書いていてアレルギーについて言及していませんがw このアレルギー、その程度の知名度なんです)。


●一度でも「アニサキス症」にかかったことがある

アニサキス症とは、生きたアニサキスが胃に食らいついて(もしくは分泌物を出して)激痛を起こすもの。アニサキスを除去すれば痛みは治まります(正露丸が効くという説もあります)。放っておいても3日あればアニサキスは死ぬそうです。

この症状はアニサキスをアレルゲンとするアニサキス・アレルギーとは違います。ですが、そのときにアレルギーになっている可能性があります

魚を食べて(アニサキスが死骸でも反応するので、焼いても煮ても反応します)、たまに「ダルい」とか感じるのであれば、一度検査をしたほうがいいです。

●アナフィラキシー・ショックになったことがあるが、原因が特定できない

死に至ることがあるアナフィラキシー・ショックですが、これになるとたいていはIgE検査をすると思います。

そのとき、抗体としていろいろな食品を検査項目にあげて検査をするわけですが、アニサキスを項目に上げる人は少ないのです。医師も知識が少なく、アニサキスを上げるなんて思いもしない医師が多数います(マジで)。

アナフィラキシーになりながら「まだ抗体を特定できない」という人って意外といます。そういう人はぜひ一度アニサキスを検査したほうがいいです。

IgE抗体検査は全国の多くの病院でやってくれますが、念のため一度電話してから行った方がいいかもしれません。やることは血液を採取するだけです。一週間後には結果が出ます。簡単です。

ちなみに、このIgE抗体検査は、IgG抗体検査とは違います(ややこしいけどココ大事)。

後者「IgG」はテニスのジョコビッチがやって有名になった検査です(例のグルテンフリーのやつ)。

でもこれは実は「医学的根拠に乏しい」らしく、「米国や欧州のアレルギー学会および日本小児アレルギー学会では、食物アレルギーにおけるIgG抗体の診断的有用性を公式に否定しています」とのことです(→〔学会見解〕血中食物抗原特異的IgG抗体検査に関する注意喚起

なので、今現在では、「IgE抗体検査」のみが血液検査としては有用なわけです。

とはいえですね、これがまた面倒くさいことに、100%の確度ではない、それどころか「わりと確度が低い検査である」らしいのです。

でも、可能性はわかるので、まずは面倒がらずにやったほうがいいと思います。

その際、食べた物を思い出しておく(メモっておく)ことが望ましいです。

検査する病院に行くと、疑わしい食事(症状が出た直前の食事)で食べた食材を、検査前に自己申告することになります。

ボクの場合は、レストラン側に問い合わせて、詳細に教えてもらいました。

いまやアニサキス症も「食中毒」ですので、聞かれたレストラン側は嫌がるかもしれません。
でも、誠実に気持ちを伝えて、ぜひ教えてもらってください。表面に見えていないところ(たとえばソーズなど)に使っている食材が、あなたのアレルゲンかもしれません。

ボクはこのとき、たまたまアニサキスを検査項目に入れました。
もちろんレストラン側が出してきたリストには「食材としてアニサキスをダシました」なんて入っているわけありませんw

ただ、その夜の同行者でアニサキス症になった人がいたので、念のため入れておいたのです。

そうしたらヒットしてしまったという・・・。

これ、アニサキスを検査項目に入れなかったら、どっかで魚を食べて再度アナフィラキシー・ショックになり死んでいたかもしれません(二度目だとヘタすると20分で死ぬこともあると聞きます)。

だから、まずはこの「IgE抗体検査」でアレルゲンを絞り込みましょう。これでアニサキスが出ないなら、ある程度安心です。

中途半端に高い場合や、ひどく高い場合は、残念ながらアニサキス・アレルギーの可能性が高いです。

この場合、次の「プリックテスト」に移ります。

日本ではほぼやっていないアニサキスのプリックテスト

プリックテストとは、アレルゲンを皮膚に刺して反応を見る検査で、血液検査より確度がかなり高い検査です。

ただ、小麦とか卵とか蕎麦とか手に入りやすいアレルゲンだと、いろんな病院で検査してくれるんですが、アニサキスって手に入りにくいじゃないですか(どっかそこらのスーパーで魚一尾買えばほぼ確実に「いる」んですが)。

そういうこともあってか、アニサキスのプリックテストをしてくれる病院は、日本にほぼないと思います。少なくともボクは知りません。

※愛知県の藤田医科大学病院総合アレルギーセンターでやってくれることが判明しました。

そういう意味で、ボクは数少ない症例のひとつになると思います。

アニサキスにあたって、一生ほとんどの魚が食べられなくなった話」でも書いたとおり、IgE抗体検査をしたあと、医師とこんな会話をしました。

「これは・・・アニサキスがアレルゲンということですか?」
「いやぁ、血液検査ではわからないことが多いんですよ。。。アニサキスが可能性が高い、ということしか言えません」
「今まで何百回と食べたもので出ることはほぼないと聞いたのですが?」
「いやぁ、この検査だけではなんとも言えないので...」
「プリックテストをすればわかるんですか?」
「確度は上がります。でも完全特定できるわけではありません」
「とはいえ、このままだとアニサキスを疑って一生魚が食べられない人生ですよね」
「・・・そうですね」
「だったらプリックテストをしてください」
「いや、アニサキスのプリックテストは・・・アレルゲンであるアニサキスを集められないので、この病院では無理です」
「え?」
「他の病院でもほとんど無理だと思います。海洋大学とかの協力を得ないと無理ではないかな」
「ここでは無理なんですか?」
「すいませんが、無理ですね」
「・・・じゃ、自分で病院探します。紹介状とか書いていただけますか?」
「もちろん紹介状は書きますが・・・アニサキスのプリックテストなんて、やっている病院あるかなぁ・・・」

・・・これが現実です。

その後、いくつかの病院に電話しました。
アレルギー関係では日本では圧倒的に先進であり権威だという「独立行政法人国立病院機構 相模原病院」にも電話しました。

でも「アニサキスのプリックテストはやっていない。アニサキスを持ち込んでもらっても無理」とのこと。

「アレルギー相談センター」にも電話しましたが、「相模原病院でやっていないなら日本でやっているところはないんじゃないか」という返事でした。

がっくりです。
なんとなく疑わしいまま、念のため魚を食べないという生活を一生続けないといけないの・・・?


アニサキスを捕まえろ!

ただ、ボクの場合、この経緯をブログに書いたことで道が開けました。

神戸のある皮膚科のお医者さんからメッセージがあり(初対面の方)、診察したうえで紹介状を書いてもいい、とおっしゃってくれたのです(その節はありがとうございました)。

そして実際に神戸大学病院を紹介していただけました。

神戸大学も普段からアニサキスのプリックテストをしているわけではありません。ただ、紹介してくださった先生が交渉をしてくださり、今回可能になったわけです。

神戸大学の先生の出した条件は「アニサキスは患者さん本人が持ち込んでください」ということ。「持ち込んでくれればやりますよ」と。

そいつはありがてえ!
すぐスーパーに走りましたよ!

そしてアジを5尾買いました。
一般的にはサバやイカのほうがアニサキスがいるんだけど、そのときは「生きたアニサキスが必要」と思い込んでいたので、魚が新鮮なほうがいいと思い、その魚屋で圧倒的に新鮮だったアジを買ったのです(あとで、死んだアニサキスでも検査できると知った)。

ポイントは、まるごと買うこと。
捌いて開いてある魚ではダメです。なぜならアニサキスは内臓にいることが多いので、内臓を取り除いた魚では「いる確率が落ちる」からです。

5尾のうち、2尾を三枚におろし(鮨教室に通っておいて良かったと思えた瞬間。でも二度と鮨は握れないけど...涙)、内臓とともにまな板に広げて、老眼を凝らしてじぃっと探します。

いた!
いたいたいたいた!
生きているのを5匹捕獲!

みなさん、そこらのスーパーで買ったアジに、生きたアニサキス、5匹もいたですよ!(しかもたった2尾から)

写真も動画も載せませんが(検索してください。線虫タイプの見た目が苦手な人は覚悟して検索してください。まぁイトミミズみたいな感じですが)、生魚を食べるときは「アニサキスはいる」と思って食べた方がいいです。

※よく噛んでも、酢をかけても死にません。生を食べる場合は「目視」しか取り除く手はないです。

プリックテスト、衝撃の結果

さて、病院に行く二日前の土曜日に「生きたアニサキス」を捕まえたわけですが、ヤツら強いので、そのままジップロックに入れて保冷剤で冷やしといたんだけど、月曜の朝でも全員元気にうねうね生きてました。しぶといわ。。。

神戸までヤツらと一緒に旅をしてもピンピンしてました。

そして神戸大学病院に到着し、うやうやしく先生に5匹を捧げました。
(神戸大学は紹介状がないと診察してくれないので念のため)

アレルゲンだと疑われる物質をすりつぶして皮膚に針で刺してみる、というのがプリックテストです。腫れたら陽性。めでたくアレルゲンです。

助手の方々が、別室でアニサキスをすりつぶします(一緒に旅したせいか、少し不憫w)。

また、熱を通したアニサキスも調べました。
熱したアニサキスをすりつぶすわけですね。加熱するとタンパク質が変性する可能性があり、もしかしたらアレルギー反応が出ないかもしれません。出なければ、少なくとも焼き魚や煮魚は食べられることになります。

今回は比較のために他の物質もいろいろ調べました。

サバ、サケ、タラ、マグロ、イカ、エビ、アニサキス生、アニサキス加熱、生理食塩水、ヒスタミン。

ヒスタミンとはアレルギーの元。これは必ず腫れるのだけど、その大きさと比較するため、刺しました。

すりつぶして溶液と混ぜたものを、腕に一滴たらして、その上から針を刺します。

「このまま15分くらい待ってください」と言われ、じっと待ちます。

だんだん痒くなってきたので、その時点で「あぁ、ダメなんだろうなぁ」と絶望的な思いでいたんだけど、やっぱりダメでした。

写真一枚目と二枚目は、15分後のボクの腕。

画像1

画像2


わかります?
「アニサキス生」と、「アニサキス加熱」が大きく腫れ上がってます。ヒスタミン以上に。。。

生は仕方ないにしても、加熱が腫れ上がったということは、やっぱり焼き魚も煮魚も無理ですね(泣)。

体の表面が腫れ上がるということは、これが内臓に入ったら管の表面も腫れ上がるわけで・・・たった一滴で気管とかがこんな感じでボコボコに腫れ上がるんだったら・・・まぁ死ぬかもですね。

というか、医師によると、「人によっては心臓の周りにある冠動脈が狭まってしまって30分〜40分で心停止になる」そうです(怖すぎる)。


写真三枚目は一日半経ったボクの腕。

画像3


一日半経ったのに、生も加熱も大きく腫れ上がったままです。
特に生は大きい。こりゃすごい反応だわ。

ということで、死刑宣告を受けたみたいなものです。
一生、魚、無理ですね。
かなり厳密に。
(減感作療法で治す方法はありますが、まだ完治した症例はありません)


プリックテストを受けるために

すいません、ちょっと筆が滑ってドキュメンタリー風になってしまいました。

ボクはプリックテストを受けられてラッキーでした(結果はアンラッキーだったけど)。

ただ、需要が高まれば、今後病院が増えていく可能性はあります。
お知り合いに皮膚科やアレルギー科の先生がいらっしゃるなら、頼み込めばやってくれるかもしれません(ただしアニサキスは持ち込みでしょうが)。

少しでも疑わしいと思われる方は、やってみる価値はあると思います。

病院によっては「一泊入院して検査する」というところもあるかもしれません。もしアナフィラキシー・ショックになったら大変だから念のため、ということですね。

これに関しては、神戸大学病院の先生は「ごく微量を刺すだけなので大丈夫でしょう」と、日帰りオッケーにしてくれました。

食物経口負荷テストについて

前述したように、ボクはアナフィラキシー・ショックを再び起こす可能性があるので、食物経口負荷テストはできません。ただ、症状が軽い方なら、これを試す手はあるかもしれません。

とはいえ、アニサキスがその魚にいるかどうかをわからずに魚をひたすら食べ続けても仕方がありません。
やはり、アニサキスを捕まえて、それをどういう方法でか口に入れて様子を見る、という検査をしないといけないと思います。

ただ、万が一それで激烈な反応が起こると大変なので、どういう方法かでプリックテストを受ける方がいいかと思います。


アニサキス・アレルギーだとわかったら、患者の会にぜひ

もしアニサキス・アレルギーだとわかったら、以下のグループをお役立てください。アニサキス・アレルギーになった人のために作りました。

2020年3月現在で350人くらい入っています。

情報交換したり、なぐさめあったり、励ましあったりしましょう。
魚を食べられない人生、日本人にとって相当つらいです。
そして、なにしろ情報が少ないので、いろいろ情報交換しながら生きていきましょう。


ということで、少しでも疑わしいと思ったら、まずIgE検査を!

自分の不調の原因をしって取り除かずに、いろんなものを食べていると、いつ激烈な症状になるかわかりませんし、まだ軽い症状であれば治ることもあるので、ぜひ。


※※
いくつか、取材された記事にリンクを張っておきます。



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古めの喫茶店(ただし禁煙)で文章を書くのが好きです。いただいたサポートは美味しいコーヒー代に使わせていただき、ゆっくりと文章を練りたいと思います。ありがとうございます。

ありがとうございます!じっくりじんわり書いていきます。
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コミュニケーション・ディレクターです。 さとなお名義で食やエッセイの本、佐藤尚之名義で広告関係の本を書いています。最新刊は『ファンベース』(ちくま新書)。 1995年から個人サイト「さとなお.com」を運営しています。